未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学

著者 :
  • 東京大学出版会
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130331081

感想・レビュー・書評

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  • 政治学の入門書。都内の女子校での講義をベースにしたもの。トランプ大統領や電通の自殺の件など、国内外の時事問題を具体例として扱いつつ、政治学の話題に繋げていっている。とくに第4章の選挙制度の話が面白かった。できれば、現代政治の重要な要素として官僚制についても話題にしてほしかったところ。
    いずれにせよ、わかりやすい政治学の入門書としてお勧め。イラストも内容理解に役立つ。

  • 平易な言葉で社会の仕組みを解説している点は素晴らしい。
    様々な制度を根本から見直してみましょうと、出張講義で問いかけ。周囲との関係を、経済と政治につなげて考える。
    東京大学の戦後の学問系譜。

    経済をベースにすると個人が主体となり、地政・宗教・思想・文化の違いが見落とされてしまうので、家族・会社・地域・国を守りバランスを取ることが議論されなくなってしまう。
    平和教育内だけで語ることの危険性を感じる。
    人と生きる現実を考えるのであれば、譲り合えない価値観の取り扱い、最も大事な要素が欠けてしまった感あり。

  • 今年最初の読了本。元日に読むのにふさわしい、希望に満ちたタイトルである。

    東大社会科学研究所の教授で政治学者の著者が、東京・豊島丘女子学園の高校生・中学生を対象に行なった、全5回の「政治学講義」をまとめたもの。

    高校生・中学生が相手なのだから、どこまでもやさしく噛み砕いて教えなければならない。そのために著者が取った方法は、一般の政治学概説書の言葉のレベルを下げるようなやり方ではない。
    「そもそも政治とは何か?」という問いかけから講義が始まり、「政治とは本来、互いに異なる人たちが共に暮らしていくために発展してきたものです」と著者は定義する。

    以降、そもそも民主主義とは何か? そもそも多数決は正しい方法なのか? ……などという、政治の根源に向き合うような問いかけがなされ、著者はその問いを生徒たちにじっくり考えさせる。「ソクラテスの産婆術」を思わせる見事な手際で……。

    豊島丘女子学園の生徒たちが、また非常に優秀で利発な子揃いであり、打てば響く感じのやりとりがなされていく。一般公立校ではこうはいかないだろう。

    中高生はもちろんのこと、大人にとっても読み応えある、異色の政治学入門である。

  • 出前授業の書き起しだが面白い。再読希望。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140325

  • もっと若い、学生の頃に出会いたかったなあと思う本。中学生、高校生にオススメ。
    巻末の参考文献もチェックしたい。

  • 中学・高校で行われた5回の講義。難しい内容を扱っているが学生向けなのでわかりやすい。
    あとがきにもあったが、「君たちはどう生きるか」の続編として、高校までの教育と大学での教育の間のギャップを埋めるという狙いはすばらしいと思う。

  • めちゃくちゃおもしろかった、本書に出てきた書籍も読む

  • 政治をテーマにした女子高での講義をまとめたもの。
    同じような類の本は、池谷教授の脳科学や加藤教授の昭和史などがあるが、本書も学生たちとのコラボで素晴らしい一冊となっている。
    著者の宇野教授の本は、以前読んだ新書では難解であった記憶がある。さすがに本書では中高生相手とあって語り口とテーマは平易だが、しかし内容は濃い。政治とは人と関わること、自分の意思を持ちながら周りと仕組みを作り、それを営むことだという。自分自身を振り返り、決まりきった人たちだけの接触で、すっかり考えなくなっていることに思い至らされた。
    本書の舞台の豊島丘女子は確かに名門校ではあるが、こんなすごい生徒達がいるのかと改めて驚いた。

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著者プロフィール

東京大学社会科学研究所教授

「2023年 『法と哲学 第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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