グリフォンズ・ガーデン (ハヤカワ文庫 JA ハ 10-3)

著者 :
  • 早川書房
3.62
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本棚登録 : 435
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313272

感想・レビュー・書評

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  • 久々に新規作家で面白かった。『プラネタリウムの外側』もそのうち読みたい。

  • 繋ぎ留められている、のか、
    繋ぎ留めてくれている、のか。


    大学の頃、「女の子と会話してると選択肢が見えて、その選択肢の中からどれを選べばこの子とのルートに乗れるのかが直感的に解るんだ。バックグラウンドで動いてるプログラムが俺には見える」と云っていたバイト先のM君。
    エロゲのやりすぎで頭おかしくなったんだと思ってたけど、実は彼はもっと凄いことを云ってたのかもしれない。
    …いやいや。ルートに乗るってなんやねん。


    さてさて。
    なんてロマンチックなんでしょうね、これは!
    恋愛小説としても勿論、なんていうか論理的ロマンに溢れているというか…
    もちろん全体の構造と、それによって提示されるミステリ的な魅力も大きくあるのだけれど、
    んーなんというか、そのへんはもう、思考の先にある必然で。
    論理を突き詰めた先にあるものが、それがどれだけ馬鹿げて見えたとしても真実である、という言葉を思い出しました。

    奇書、と呼ばれるものの多くが、論理的にありとあらゆる可能性を追求する迷宮のような構造をしているのに似ているようでいて、
    その迷宮が、実は恐ろしく身近にあるものなのだと知らされてぞっとする。
    けれど、そのぞっとする感覚には続きがあって。
    日々の暮らしの中で、どうにか騙し騙し宥め賺している違和感―疎外感? ちょっと違う。乖離している、ズレている、という感覚。此処に居るのだけれど、此処に居ない感覚? 浮遊感、というのがいちばんしっくり来るかもしれない、そんな感覚、に、そのぞっとする感覚が繋がったとき、
    自分が全く逆の意味でぞっとしていたのだと気付いてしまったり、して。


    ……はふう。
    とにもかくにも登場人物がまったく、なんていうか浪漫武器で、その会話と云ったらもう、読んでてにこにこしてしまいました。
    きっと何度も読み返すんだろうなぁ、と久し振りに素直に思えたので☆5です(そういえば元々そんな基準だったような気がしてきた。)

    General-Purpose Humanの章とMiniature Gardenの章がいまのところお気に入り、ですが、きっと読み返すタイミングに依って変わるのでしょう。単行本から削られてる部分もあるとか云われるとそれも気になる…うーむ。
    ちなみに現代のGoogle日本語入力はふいんき、で雰囲気に変換してくれます。便利さは罪か?

  • 少し時間が空いてしまったけれど、プラネタリウムの外側、の前日譚ということで、ドキワクしながらよみはじめました。


    最後の数ページで、思わず一番最初に戻り、読み直しして、おぉ?ぉお!となりました。


    また読もう。




    そして、前作の時も思いましたが、物語の大学ととリアルな大学との差分を見つけつつ読むのも楽しい。北大って、学生だけじゃなくて、一般の方も普通にお散歩してるので、そんなところを楽しむのも良さそうだな、と。

  • 「プラネタリウムの外側」の前日譚のような話らしい。
    プラネタリウムの外側よりさらに抽象度が増していて、あまり乗り切れずに終わってしまった。

  • 「プラネタリウムの外側」に続いて読了。
    認知とバイオコンピュータの織りなす切ないラブストーリー。
    驚くべきは、この作品が書かれたのが20年以上前だということ。

  • 緻密で計算されていてしかも面白い。めちゃくちゃ面白かった。
    22年?も経過しているとは思えないくらいの内容だけれど、逆に言えばそのくらい人工知能の研究は進みが遅いのかも。方向性が多様すぎてそれぞれが少しずつしか伸びていかないみたいな。
    今日日のAIは統計学的なアプローチが多い印象だけれど、演算能力を高めただけだとたしかに限界はあるよなあ。
    とにかく面白かった。読んで良かった。

  • 主人公は、有機素子コンピュータ内に、もう一つの世界を作ったはずなのに、主人公の世界ともう一つの世界はだんだんと侵食しあい、ねじれあい、最後には...と。どちらとも受け取れる、あるいは、もっと上位の世界の可能性も示唆しつつ。

  • 2018/10/4 29冊目

  • 現実世界とバイオコンピュータ上の仮想世界で展開される僕と恋人と彼女の三角関係っていうお話。
    読み終わっての印象は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹)の構造で『スティル・ライフ』(池澤夏樹)の会話をやってるみたいな感じなんだけど、どちらも大好きな小説だから楽しめた。
    シンプルで読みやすい文章なのに、どこかモヤモヤというかフワフワ感があって、最後のドンデン返しでは現実世界と仮想世界の見分けがつかなくなってしまうという不思議体験ができた(๑>◡<๑)

  • 境界が曖昧になる不安感がたまらない

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