グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150315559

作品紹介・あらすじ

月と火星開発が進みながらWindows2021が発売されたばかりの夏紀の宇宙。そして登志夫の2021年では光量子コンピュータが異常を示す。

感想・レビュー・書評

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  •  青春小説でSF。「SFが読みたい! 2024年度版」ベストSF2023国内編第1位の作品。

     以前から読みたいと思っていたのだが、なぜか踏ん切り(?)がつかずズルズルと積読状態だった。パラレルワールド物で、しかもガールミーツボーイ物だ。夏紀と登志夫、やはりラストは切ない。

     そのうちアニメになりそうな気がする。

  • Fumio Takano's Official Website
    http://takanofumio.world.coocan.jp/

    home | kfkx
    https://www.kashiwaikfkx.com/

    グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船 | 種類,ハヤカワ文庫JA | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015518/

  • 高野史緒「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」読了。土浦が舞台の青春SF。3年ほど土浦の近隣で暮らした事があったので、当時の情景が思い出され懐かしかった。多元宇宙をモチーフにしたSFならではのストーリー展開が素晴らしかった。さらに随所の伏線が最後見事に回収されとても切なく感動した。

  • 高野史緒の作品は初めて読んだ。他の本として「混ぜるな危険」は所有しているもののまだ読んでいない。これまでもいくつかの作品が上位にランクインしていたが、この度ベストSF2023国内篇でめでたく第1位を受賞された。おめでとうございます。その様な評判もあり早速購入して読んだ。

    裏表紙のあらすじやSFが読みたい2024年度版の書評を頭に入れて読み進めた。すぐにでも今流行りのSFアニメ映画になりそうな予感がする。話の設定・構成も申し分ない。本の表紙を見るといい感じの青春SFで、特定の地域が脚光を浴びる等、話題性も十分に獲得できるだろう。もしかしたら私の知らない所で既にその様な話が進んでいて、数年後には新海誠監督で公開され、日本アカデミー賞を受賞するかもしれない。

    半分くらい読んだところで、ふと考える。話がなかなか広がって行かない。文調の変化が乏しく、初期設定とあまり変わらないやや単調な展開が続く。この雰囲気は全体の3/4まで続く。そして急な展開が訪れ、いきなりハードSFモードに突入する。結末は、ありがちなパラレルワールドの融合。しかも、女子の方の世界が吸収されるだなんて、男性の作家がこの様な結末を選んだら、もう世間から叩かれまくるだろう。結果的には全体の構成が少々バランスに欠けており、映像や演出サイドでかなり作り込まないとアニメ化の際にはなかなかしんどいと思われる。

    大森望・日下三蔵・藤井大洋・林譲治の後押しが大きいということは今後も素晴らしい作品が出てきて高評価を得る可能性は高い。多分今回の作品が1位に選ばれたのはその様な要素があるからなのだろう。私は1位でない作品の方を評価している。これは私の個人的な見解であり、いつの日か蔵書の「混ぜるな危険」も読む日がきっと来ると思うが、それまでにはかなり長い年月が必要だ。

  • 高野史緒『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』読了。
    2018年の年刊傑作選にも採られた短編を長編化。土浦を舞台に百年前に当地に寄港した飛行船に関する幻の記憶を有する少年少女のボーイミーツガールを主軸としたジュブナイルSF。
    百年前に飛来したはずの飛行船を幼少の頃に実在しない親族の異性と目撃したというなんともエモい思い出が物語を駆動させていくのだけれども、もう少しその特別な関係性を掘り下げるものが欲しかったかなぁ。SFとしても少し説得力に欠けるというか。。

  • 所謂パラレルワールド・ラブストーリー。しかも主人公は十代の少年少女と来れば、アニメっぽい話だなあと思ってしまうのは仕方がない。パラレルワールドの描写は歴史改変された近現代の日本を思わせるもので、この辺は作者さんの得意とするところ。とはいえ如何にも面白そうなネタが途中でぶった切られるようにして終ってしまうのは、もったいない気がする。

  • おもしろかったし、量子力学の知識も必要ではあるんだけど、これが「SFが読みたい」年間国内1位だと言われると、かなりソフトな印象。

  • さらっと読める青春SF……なんだけど、エンタメではない。エンタメの皮被った私小説、純文学寄りだ。後書きまで読むと、より尚更。
    二つ別々の世界を生きる女の子と男の子。グラーフ・ツェッペリン号を中心に、茨城は土浦を舞台に繰り広げられるひと夏。ハードSFでも、単なる青春SFともエンタメとも違う、この独特な詠み終えた後の気持ちを、ぼくは大切にしたい。

  • 並行世界のそれぞれに暮らす高校2年生の夏紀と、17歳だけれども飛び級で東大2年の登志夫が、著者の故郷土浦を舞台に交差していく長編SF。甘酸っぱさ漂う良質のYAであり、ネット空間に堆積されていく情報の本質にせまっていく作品でもあり、と思いながら読み終えて、あとがきに書かれた著者の近況を読み、さらに心打たれた。夏紀に生理がくることが物語のなかで重要な要素のひとつになっているのだが、生理のない女性である自分にとっては、これは読んでいて、かなり苦しく、つらかった⋯⋯それでも、この物語が、自分は好きです。

  • 女子高生の夏紀と大学生の登志夫(年齢は夏紀と同じ)は異なる宇宙(並行世界)にいる。土浦に到着する飛行船グラーフ・ツェッペリンを介して出会う。この二人は量子の性質である情報のあるなしが同時に存在しているのと同様な存在である。この二人の関係は恋人になるものではなく、恋人でもあり兄弟でもあり本人でもあるような量子的存在だ。だからこそ、ラストに向かう現象は、シュレディンガーの猫のように観測されるまでは状況が確定しないことになる。量子の振る舞いを17歳の男女として表現したところが、あやふやな立場と相まってより揺れる心の不安定さが伝わってくる。さくっと読めて面白かった。

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著者プロフィール

1966年茨城県生まれ。茨城大学卒業。
お茶の水女子大学人文科学研究科修士課程修了。
1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』でデビュー。著書に『アイオーン』、『赤い星』など。編書に『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(東京創元社)がある。2012年、『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩賞を受賞。ほかの著書に『翼竜館の宝石商人』などがある。

「2022年 『大天使はミモザの香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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