- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150401740
感想・レビュー・書評
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こんなすごいのを今まで読んで無かったとは、出会えてよかった。
引き込まれる展開。非情、冷酷な世界観に圧倒され、一気に読み終えた。
他のも読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「スマイリーの言葉は正しかった。攻撃への攻撃、報復にたいする報復、これは永久にくりかえされて、停止するところがない」
イギリス秘密情報部(通称サーカス)のリーマスは、「ベルリンの壁」で分断された東ドイツにおける諜報活動の責任者だった。だが、東ドイツ諜報機関の副長官ムントによってイギリスが築き上げてきた諜報網はあえなく壊滅。リーマスはベルリンからの撤退を余儀なくされる。
酒に溺れ、組織の金を横領し、サーカスをも追われたリーマスは職業安定所で紹介された図書館で働き始め、愛し合う女性ナンシーと出会うも荒んだ生活は変えられず、トラブルを起こしてついに投獄されてしまう。
やがて出獄したリーマスを待っていたのは、東ドイツの工作員だった。彼らによって多額の報酬を保証されたリーマスは、再び東ドイツの地へと帰っていく。
だが、それは宿敵ムントの失脚を図るサーカスが巡らせた、巧妙な罠だった――。
東西冷戦下、壁によって東西に隔てられたベルリンを舞台に繰り広げられる、東ドイツ諜報機関とイギリス秘密情報部の二重スパイを巡る暗闘。前線のエージェントはしょせん作戦上の手駒にすぎず、作戦の全貌と真の目的を知るのは一握りの上層部の者のみ。一体どこから仕組まれていたというのか?
冷徹なまでに完璧に作り込まれた作戦はしかし、思わぬところから綻びが生じ、崩壊していくのだ。
派手なアクションもなく、胸の空くようなオチもない。リアリズムに徹した物語は苦渋の連続で、ル・カレ作品ではお約束、全てが終わった後のこの虚無感と言ったら……。
東側の国を「寒い国」と表現する言葉のセンスが素晴らしい。1963年に出版され、一躍ジョン・ル・カレの名を世界に知らしめたスパイ小説の傑作。 -
おもしろいのだけどなんだろ、いうほどめいさくなのだろうか。著者はそこまで称賛されるべき書き手なのだろうか。
リーマスが身を持ち崩す(ように装う)様子などそこまで克明に詳しく描く?もっと短く済ませられないもの?尋問の内容などもそこまで詳しく描く?断片的に済ませられないもの?後半の裁判のシーンなどはスリリングな場面だしどんでん返しも含まれているから書く必要があると思うけど。
まあ最後のどんでん返しもスリリングだしラストの壁のシーンもすごく美しいしいいんだけど、別の書き手がかいたほうが間延びしないのではなかろうか。 -
英語で読んでみたいと思わるる
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スマイリー三部作を読了したので戻って本書を読んでみた。
スマイリー三部作より話がだいぶわかりやすく、アクションシーンというか手に汗握る展開も多めだったので楽しく読めた。
オチはやっぱこの作者だとこうなるよねえという感じだったけど感慨深い。
これで新作の『スパイたちの遺産』を読む準備が整ったのでしばらくしたら読みたいなあ。
それにしてもスパイたちの遺産のあらすじ本書のネタバレになっちゃってる気がするんだけど…本書は発売されたのだいぶ前だからもうネタバレでもいいだろって感じなのかな。 -
原書名:The spy who came in from the cold
1963年度ゴールド・ダガー賞、1965年エドガー賞(長編賞)、2005年Dagger of Daggers賞
著者:ジョン・ル・カレ(Le Carré, John, 1931-、イングランド、小説家)
訳者:宇野利泰(1909-1997、千代田区、翻訳家) -
スパイ小説の古典的名作。
WW2後の東西冷戦時のベルリン、ロンドンを舞台にイギリス諜報部のスパイを描いている。
時代のせいか、ちょっとわかりにくい箇所が多いと感じたが、後半の疾走感や緊迫感はさすがと感じた。ジョン・ル・カレ氏の作品は初めて読んだが、他も読んでみたいと思う。 -
スマイリーは脇役出演。
これが初めだったのかあ。
スマイリーとギラムって割と同年代? -
内藤陳が「月刊プレーボーイ」に連載していた書評集「読まずに死ねるか」のシリーズが好きで、その本の影響で「深夜プラス1」「高い砦」などを読んだ。もう20年以上も前のことである。
この本も「読まずに死ねるか」で知り、今まで未読だったのだ。
歴史的背景に疎いので、分かりにくい箇所もあるが、面白かった。
ラストは意外だった。