火刑法廷[新訳版] (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-20)

  • 早川書房
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150703707

作品紹介・あらすじ

広大な敷地を所有するデスパード家の当主が急死。その夜、当主の寝室で目撃されたのは古風な衣装をまとった婦人の姿だった。その婦人は壁を通り抜けて消えてしまう…伯父の死に毒殺の疑いを持ったマークは、友人の手を借りて埋葬された遺体の発掘を試みる。だが、密閉された地下の霊廟から遺体は跡形もなく消え失せていたのだ!消える人形、死体消失、毒殺魔の伝説。無気味な雰囲気を孕んで展開するミステリの一級品。

感想・レビュー・書評

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  • 読後感は随一でした。エピローグが本作の魅力を決定づけ、思いもよらない結末に衝撃が走ります。
    ミステリーなのかホラーなのか、はたまたオカルトなのか。色々な要素があり、様々な解釈や楽しみ方をさせてくれる本作はやはり素晴らしい作品であると思いました。
    詳しくは書けない作品の一つではありますが一読の価値はあると思います。

  • 世評の高いミステリー。期待して読み始めた。

    「火刑法廷」という題名からも推測できるが、オカルティズムに溢れて、魅力的な謎に密室。そして訳ありの登場人物の面々と、てんこ盛りではあるのだが、どうにも気に入らないのは、最後に登場する探偵役に今一つ魅力とキレがないことと、登場する必然性に作為がありかなり無理がある事。

    ただこれも、最後の最後に訪れるビッグサプライズの布石だと思えば納得できるが、この最後のサプライズで本書はミステリーからホラー小説に変わる。

  • オカルトムード漂って何が事実かどうかわからないままずっと進みでいった。状況がイマイチ想像力足りずついていけず、入り込めなかったけど最後5ページで、最後まで読んで良かったと思った。が、スッキリはしない!

  • 火刑法廷は17世紀フランスで行われた裁判。小説に登場するマリー・ドブレーは実在した毒殺魔の名前。この小説はデスパード家当主急死の謎を解くミステリー。だが最後5ページで小説はミステリーから怪奇小説になる。

  • 「広大な敷地を所有するデスパード家の当主が急死。その夜、当主の寝室で目撃されたのは古風な衣装をまとった婦人の姿だった。…」
    作品自体が凄いのは勿論なのですが、私が感動しちゃったのは、この裏表紙のあらすじです。的確に小説の筋を紹介しながら、一切ネタバレになっていません。このあらすじだけを読んで、本編を読まれた方は、それがどれだけの幸せをもたらすか知る事でしょう。編集者の方の技量にも感服した一冊です。

  • 全編を覆う薄気味悪い空気の描き方がうまい。疑惑の渦中にいる人物は登場こそ少ないものの、物語全体に不気味な影を落とす。正直、西洋のオカルト要素に恐怖は感じないし、不死者や黒魔術などと言われるとファンタジーかと構えてしまう。でも終盤までのオカルトに完全にはオチない紙一重の緊迫感は実に見事だった。どちらかと言うとオカルト比重の方が強く、終盤に訪れる論理的な真相解明が残念に思えるほど。お陰で納得の『評決』(好みではないけど)。どちらに転んでも細かい疑問は多々あるが、それが気にならないくらい秀逸な出来栄えだった。
    行方不明になったあの人がどこに消えたのか…はかなり気になるところ。

  • 火刑法廷がこんなモダンな表紙になってる!カバーイラストは旭ハジメさん。

    ひたひたと何かが迫りくる不気味。主人公の不安が伝染する。これこそカーの醍醐味。

  • 時代故か人々の思考はちょっとオカルティックで、もっと後の時代の王道タイプのミステリと違うのかなとも思いつつ読み進めたが、そんなことは無かった。
    文化を共有できていないミステリを読むと、どっちのルールでやっているのかを考えねばいけないのが難点だと、常々思っている。

    解説にも書かれているが、なるほど当時はこの第5章を以って締まったんだろう。

  • 読んでみたいと思っていたディクスン・カー。
    古典の正当な推理ものとしての面白味と怪奇ものとしての面白味と両方楽しめる作品。
    殺人、遺体消失、壁に消える女といった謎を解いた先に待っているものとは。

    読み終わると結局どういうことと悩んだりもするけれど、そういうところもこの作品の魅力なのかもしれない。

    面白く読み終えた。



    簡単な感想になっちゃった。
    大掃除の仕上げして、注連飾りつけないと。
    昨日、植木屋さんばりに植え込みを手入れして全身筋肉痛と闘っています。

  • 初めて読んだジョン・ディクスン・カーの作品。登場人物も背景も展開も、ミステリアス。読めば読むほど引き込まれていく。「Ⅴ 評決」の章が賛否両論だと言われているようだけど。


    やっぱ、マリーは○女なのでは?

    全部読んでから、最初のページを読むと、そういう意味だと思えてくる。
    「いくつかの意味で墓地のそばに住んでいた。」

    それから、マリーのぶっちゃけ。
    「わたしはあたなより歳上よ。ずっと、ずっと歳上なの。」
    これ、このときの会話でなぜ出てくるのか、ずっと気になっていたのだけれど。そういうことかと。きっと言うつもりはなかったけど、勢いで言ってしまった。隠していた女心。本当に彼を愛している。でも、きっと、、歳上すぎる。

    そして、マリーの意味深な予想。
    「何も見つからない。」
    やっぱり彼女は、なんかいろいろ知っている。

    最初のページの記述にある「読者や私(作者?)とさして変わらないエドワード・スティーブンス」には、コトの真相はわからない。

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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