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本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784151300349
感想・レビュー・書評
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科学者サー・クロード・エイモリーは、ポアロに国家機密の化学式を国防省の役人に手渡す役目をお願いする。頼みを引き受けたポアロは彼の屋敷へと向かうが、到着前に書類が屋敷の住人の誰かに盗まれてしまう。部屋を暗くしている間に書類を戻すよう皆に伝えたサー・クロード・エイモリーだが、明かりがついたとき彼は息絶えていた。
犯人は誰か。そして化学式の行方は。
ポアロ長編を読み進めてきて、いよいよラストの『カーテン』を残すのみ、と思っていたら、この本が刊行されていた。戯曲の小説化なので、戯曲で読もうか、と迷った末結局読んだのだが、やはり戯曲で読むべきだった。
まず、文章がぎこちなく説明的なのである。あれ、と思ってあとがきを見ると、なんと小説版はクリスティ研究家が書いた、とあるではないか。せっかく親友ヘイスティングズも登場するのに、妙に言動が堅苦しく、おちゃめな魅力も半減である。
ミステリとしても、別の作品と同じトリックが使われており、あまり驚きはない。うーん、これは戯曲で読んだ方がよい。さらに良いのは演劇を観ることなのだろうが、なかなかそれは望めない。
とはいえ、長編の中では短めでさくっと読めるので、『カーテン』を読む前の軽い助走ということで良しとしよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戯曲の小説化だが、書いたのはクリスティー本人ではなく研究家の手になるそうだ。
元の戯曲は読んでいたので、この小説版を読むことで、話がより立体的になったとはおもう。が、クリスティーは戯曲として書いているので、やはり演じられる劇を観てこその話だよな、という認識を新たにする。今なら三谷幸喜脚本とかで、映像でやっても面白いかも。
あと、やはりクリスティーの語りは抜群に巧い、というのもよくわかる。サーヴィスのつもりなのだろうが、研究家は余計なことを書きすぎるんだよね。現代的な視点や表現が混ざり込んでいるのも気になった。 -
戯曲を小説にしたもの。初めの方のごちゃごちゃした描写が少しわかりづらかったためか、犯人当てのワクワクが薄れてしまったのが残念。舞台で見たらまた違うのかなと思うので、戯曲版も読んでみたい。
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戯曲として書かれた作品の小説版。
先日最終巻を読了したこともあり、嬉しいような懐かしいような気持ちで読んだ。
若々しいポアロとヘイスティングスが微笑ましい。
支配的な当主が不可解な死を遂げ、一族の者は皆何かを隠している。
これぞ王道展開だわ、と楽しく読んだ。
だけどこれでポアロシリーズは本当に終わりなんだと思ったら、めちゃくちゃ恋しくなった。 -
小説版と、オリジナル戯曲と両方読んでみた。
こちらの小説版のほうで気に入ったセリフが、オリジナル戯曲にはなかったりして、へー小説で付け加えたのだったか(それもアガサ本人じゃない)…とちょっと驚いた。 -
ブックオフ。推理物だけは3色ボールペンのうち緑しかつかえないね。
女の勘よりも私は男性の論理的思考を愛する。それよりさらに想像力のきいたポアロの推理を愛する。 -
小説版と表紙に書いてあったことからそうなのかもな、と考えていたが、やはり最初から小説として作品が作られたのではないらしい。
面白かった。 -
細かい描写はあまり無くとも、容易く情景や状況が目に浮かぶほど分かりやすい。登場人物たちがこれまた個性的なため、混乱なく読み進めることができた。ポワロとヘイスティングス大尉が仲良く登場し、チャーミングなやり取りは必見。毒ものは単純で広がりが少ないと思っていたが、さすがはクリスティー。しっかり愉しめた!
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2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。戯曲版のブラック・コーヒーは既読。なのだが意外と覚えていなかった。当然なのだが『登場人物の事情がいろいろと露見する』部分は同じのはずである。ただ、なんとなく、その事情が戯曲版の方がはっきりしていたような気がする。確かではないのですが。
解説:「ホットチョコレート好きのポアロが探る、ホットコーヒー殺人」(料理研究家&料理探偵)貝谷郁子、
著者プロフィール
アガサ・クリスティの作品





