オリーヴ・キタリッジの生活

  • 早川書房
3.89
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本棚登録 : 562
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152091628

作品紹介・あらすじ

アメリカ北東部の小さな港町クロズビー。一見静かな町の暮らしだが、そこに生きる人々の心では、まれに嵐も吹き荒れて、生々しい傷跡を残す-。穏やかな中年男性が、息苦しい家庭からの救いを若い女性店員に見いだす「薬局」。自殺を考える青年と恩師との思いがけない再会を描いた「上げ潮」。過去を振り切れない女性がある決断をする「ピアノ弾き」。13篇すべてに姿を見せる傍若無人な数学教師オリーヴ・キタリッジは、ときには激しく、ときにはささやかに、周囲を揺りうごかしていく。ピュリッツァー賞を受賞した珠玉の連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • ピュリッツァー賞受賞作、地区センターにてお借りし、1度期間を延長、それでも読み終えることが出来ずに一旦返却させて頂いた本書。

    途中で返却したのが気になり、地区センターにて再度手にして続きから...

    241Pにて断念しましたm(_ _)m

    まだまだ未熟だなぁσ(゚Д゚*)


    <あらすじ>
    ピュリッツァー賞を受賞した連作短編集です。アメリカ北東部の小さな港町クロズビーを舞台に、一見平凡な町の住人たちの生活が描かれています。物語の中心には、元数学教師であるオリーヴ・キタリッジがいます。彼女は大柄で頑固な性格ですが、時には温かく繊細な一面も見せます。夫のヘンリーは薬局を経営しており、穏やかな性格で町の人々に好かれています。息子のクリストファーは成人して医者になり、二度の結婚を経験します。この短編集は、オリーヴと彼女の家族、友人、町の住人たちの交錯する人生を通じて、人間の複雑さや苦悩、喜び、そして人生の儚さを静かな筆致で描き出しています。

    すべての人生が、いとしく、切ない。ピュリッツァー賞を受賞した珠玉の連作短篇集。

    アメリカ北東部の小さな港町クロズビー。一見静かな町の暮らしだが、そこに生きる人々の心では、まれに嵐も吹き荒れて、生々しい傷跡を残す――。
    穏やかな中年男性が、息苦しい家庭からの救いを若い女性店員に見いだす「薬局」。
    自殺を考える青年と恩師との思いがけない再会を描いた「上げ潮」。
    過去を振り切れない女性がある決断をする「ピアノ弾き」。

    13篇すべてに姿を見せる傍若無人な数学教師オリーヴ・キタリッジは、ときには激しく、ときにはささやかに、周囲を揺りうごかしていく。

    出版社からのコメント

    「陰鬱な短篇にも、人と人との絆から生まれたぬくもりがかすかに光っている……私たち自身の感情のように生々しく、また、いとおしく共感できる密やかな悲しみが描かれているのだ」(ワシントン・ポスト紙)、「読書の純粋な喜びを味わえる」(サンフランシスコ・クロニクル紙)などと高く評価され、ピュリッツァー賞を受賞したほか、全米批評家協会賞候補ともなった作品です。登場人物たちの鮮烈な心情に共感せずにはいられない傑作だと思います。

    著者について

    1956年にメイン州ポートランドで生まれる。第一長篇『目覚めの季節 エイミーとイザベル』(1998)でオレンジ賞とペン/フォークナー賞の候補となり、《ロサンジェルス・タイムズ》新人賞および《シカゴ・トリビューン》ハートランド賞を受賞。第二長篇Abide with Me(2006)を経て、2008年に発表した本作で2009年度ピュリッツァー賞(小説部門)を受賞。《ニューヨーカー》など多数の雑誌で短篇を発表している。現在ノースカロライナ州クイーンズ大学で教鞭を執る。ニューヨーク市在住。

  • 主人公の異なる短編が連続する。共通点は同じ町。いろんな人の主観のエピソードの中で、オリーブ・キタリッジは背景程度だったり、割と目立つ役だったり。
    本人のエピソードもあって、だんだん彼女のキャラクターが見えてくる。
    中年のオリーブは攻撃的で扱いにくい。その自分を若く愚かだったと思いながら、老年には自分の素直な気持ちを受け入れる。
    自分に素直になれるのは歳をとることのメリットだと、共感する。
    オリーブの頑固で感情的な一面、優秀で子供のことをよく見ていた教師としての一面、いろんな面があり、人間の複雑さや、哀しさのようなものが伝わってくる。
    「飢える」の短編が印象的。
    「好きでこうなってるわけじゃない」「そりゃそうでしょう。だから何とかしてあげたいんだわ」
    なお、表紙の食器の絵がファイヤーキングのような色遣いで、内容に合ってるのもいい。

  • こんな作品との出会いを待ち望んでいた、と読んでいる最中から強く感じた。

    メイン州の架空の田舎街グロスビーに住む、元数学教師が主人公の短篇連作集。短篇集にはありがちなのだが、短いストーリーの中で新たな登場人物がひょこっと現れたり、そこから話が展開するので、注意深く読まないと、すぐに読み落としてしまいがち。だから短篇集は苦手なのだけど、この作品集には最初の作品から何というか、良い意味で引っ掛かった。

    主人公オリーブの性格は、時に破天荒で周りの人をヒヤヒヤさせるが、正義感のつよさもある。短篇によってメインの登場人物は異なり、彼女がメインを引き立てる対比役となることもある。

    登場人物はいずれも年齢に関係なく、何らかの人生経験を重ねた人物像として描かれている。例えばオリーブの息子クリストファーも離婚、再婚を経て母親と対等に対峙できるようになって、ようやくチョイ役から主要人物として描かれる。いずれの作品も、一人では生きていけない、どこかで人と繋がっていたいという人間の弱さ、哀しみ、人生の機微を、情景描写と共に巧み表現している。作者の構築した世界に居心地の良さを感じながら読者する愉しみ、これぞ小説の醍醐味。ただこの小説の世界は、分断化が進む広大な米国にあって、かなりリベラルな地域なんだろうと推測する。続篇『オリーブ・キタリッジふたたび』で、そのあたりどのように描かれているか楽しみだ。

    自分の知らない世界や考えを見せてくれるというより、あー人生なんてこんなものだよね、ここわかるわーと共感できる、そして傍に置いて折りにふれ何度も読み返したい本。
    人生に夢や希望を持つ、あまり人生経験を積んでない人にはちょっと刺激が強いかも。

  • メイン州の片田舎を舞台に、そこに生きる、市井の人の生活をさまざまな視点で描写する。
    ジョジョは四部が好きなので、このタイプの短編集は好き

  • まるで母のような…というのが第一印象。言いたいことは言う、お節介に感謝しないと怒る。皮肉な口調、若い女(嫁)への嫉妬、息子が悪くて自分は悪くない、傷付けられたと思ってるが傷付けたとは思わない。そして、根っこにある善意。読むだけでも苦痛だが、続編も読む。すでに縁の切れた老母はこんな人生を生きてるのかもしれない、と思うために。
    しかし、これが賞を取るんだなぁ。(批判とか否定ではなく、あまりにも母だったので驚き)


  • 爽やかな装丁とは違う読後感。 アガサクリスティの「春にして君を思う」のお母親とオリーブは似てると思う。息子とのやりとりは哀しい。しかし中高年を主人公にした小説は少なく面白く読んだ。それでも続編は読むのを迷う。何かチクリと刺さるんだよな。

  • 心にしまい込んだ苦い記憶、口にすべきではなかった言葉。知りたくなかった真実。耐えがたい己の自意識。様々なきっかけで、語り手達の心は何度も過ぎ去った過去へ流れ出していく。
    そして「心の奥の蛇口が漏れるように泣いて」いても、時間が少しづつ傷口を覆い隠して、暮らしは続いていく。
    でもそれは決して絶望ではない。暗く吹雪の冬が過ぎれば、秋に植えた球根が咲く季節がまた巡ってくるのだから。
    翻訳者の後書きから「使用上の注意」を引く。
    『初めから順にお読みください。順序を乱すと効き目が薄れることがあります。』
    『第一篇だけで判断せず、せめて二篇か三篇は服用して、しばらく様子を見てください。』
    これは冒頭に書くべきだろう。
    僕は五篇目から完全に没頭してしまった。とても感情移入できないと思ったオリーブだが、最後には気持ちが移り悲しみに寄り添っていた。感情を揺さぶる優れた小説だと思う。
    最後に、翻訳者を真似てもう一つ注意を。
    『読了後の効き目が薄れる前に、第一篇を再度服用してください。』
    キタリッジ夫妻の生活は心に深く刻まれ、忘れられなくなるでしょう。

  • 3.98/484   (続編→「オリーヴ・キタリッジ、ふたたび」)
    内容(「BOOK」データベースより)
    『アメリカ北東部の小さな港町クロズビー。一見静かな町の暮らしだが、そこに生きる人々の心では、まれに嵐も吹き荒れて、生々しい傷跡を残す―。穏やかな中年男性が、息苦しい家庭からの救いを若い女性店員に見いだす「薬局」。自殺を考える青年と恩師との思いがけない再会を描いた「上げ潮」。過去を振り切れない女性がある決断をする「ピアノ弾き」。13篇すべてに姿を見せる傍若無人な数学教師オリーヴ・キタリッジは、ときには激しく、ときにはささやかに、周囲を揺りうごかしていく。ピュリッツァー賞を受賞した珠玉の連作短篇集。』

    原書名:『Olive Kitteridge』
    著者:エリザベス・ストラウト (Elizabeth Strout)
    訳者:小川 高義
    出版社 ‏: ‎早川書房
    単行本 ‏: ‎408ページ
    受賞:ピュリッツァー賞(2009年)

  • じわじわとあとから効いてくる、連作短編集。ゆっくり読みました。

  • 日経の書評で見て読んでみた。「ダリウスは生きづらい」といい翻訳小説は最初が入っていきにくいので、勧められないと中々読まないのだが、ダリウスと同様すぐにポートランドの海辺の街の世界に入っていける話だった。

    主人公はオリーブ・キタリッジ。かと思いきや、冒頭では彼女の「人のいい」夫、薬局経営のヘンリーが主人公で、店員のデニースへの淡い恋心が描かれ、オリーブはそのヘンリーを尻に敷く強烈な妻として描かれる。次の短編でも、主人公の元教師としてオリーブが描かれ、なるほどひとりの人物像を周囲からの視点から描いていくのかと思いきや、他の短編では思い切りオリーブが主人公となり、息子の嫁へのイライラが描かれる。

    こんな感じで、オリーブが出たり入ったりして一つの本になっているのだが、通して読むと、一人息子の子育てと教職にエネルギーを費やし、人のいい夫へのイライラを本人にぶつけてきたオリーブが一人で老後を迎えた時、その老いぬエネルギーをどこにぶつけたらいいのかわからず、ときに爆発してしまう中高年ドラマになっている。自分の親の世代に重ね合わせつつ、自分の老後についても考えてしまう。

    このオリーブのイメージに近い人物像で思い出したのは、米国ドラマ「six feet under」の母親ルース。夫を亡くした後、もはや自分を必要としない大きい子供らに怒りをぶつけ、急に恋人を作ったりして、必死に自分の居場所を探そうとする。でも恋人の介護みたいなお荷物を抱えるのはもういや…オリーブも倒れた知人を病院に連れて行った時に、久しぶりに自分が必要とされている感覚に包まれてホッとするが、彼が母親の代替を探しているのなら勘弁してくれと思っている。大雑把にくくれば、子供が巣立った後の喪失感の物語なのかもしれない。上野千鶴子さんの本をお勧めしたくなってしまう。

    ところで、この本を読んだ後に、夢に強烈な年配女性が出てきて非常に目覚めが悪かった。この本に出てくる年配女性と自分の周囲の年上女性を足して割ったようなキャラで、今後自分が年をとっても、他の人の夢を掻き乱すことがないよう慎ましく生きようと、よくわからない決意をした。

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