黒猫の回帰あるいは千夜航路

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095831

感想・レビュー・書評

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  • 連続短編6話とひとつ。

    ニュースを見て連絡をしても返事が来ない。
    後から分かる理由ではありますが、やられた方は
    早く言え! と泣きそうになるかと。
    全編通してそうですが、平常運転過ぎる…w

    短編なので、これまた謎が分かりやすい。
    答えまでの順序が立てやすいですが
    答えまでは行きつかず…。
    この二人の、前回より微妙に縮まった気がする関係を
    楽しみに読むのがよろしいかと。

    今回はっきりしたのは、彼はかなりな年齢から
    パフェをたしなんでいた事。
    この頃の財布には、非常に大打撃な金額です。

  • シリーズ6作目。
    パリから戻ってきた黒猫は、期待の若き美学教授としてさらに大きな存在になっていました。
    一方、黒猫の背中を追う付き人も、研究者として着実に成長を続けています。
    そして2人の恋も着実に前に進んでいるようです…随分スローペースなので見守る方はやきもきしちゃいますが。

    舞踏に戯曲、笑いにAIまで、黒猫先生の美学講義は幅広く展開していきます。
    「笑いのセラピー」は小学生時代の黒猫のエピソード…ということで、ちょっと生意気だけどお姉ちゃんに振り回される黒猫がかわいらしくて、にやにや。
    甘酸っぱい初恋の切なさ漂う読後感もよかったです。

    本書のエピローグ、黒猫の演出はさすがとしか言えません。
    「やれやれ、ようやくか…」と思いつつ、満足のため息。
    このままシリーズ完結もありそうですが、2人の今後も見てみたいです。

  • 黒猫シリーズ連作短編。美学と恋と愛と謎の物語。そしてもちろんポオの作品に関する考察もいろいろ。しかし、今回の作品に出てくるポオの作品群が未読だった! 読まなきゃ、というか読みたい気持ちにさせられました。
    進展しそうで進展しない黒猫と付き人の関係だけど。なんだかもう、これはこのままでいいのかもって気がしますね。一番心地よく程よい距離感、なのかもしれません。
    お気に入りは「戯曲のない夜の表現技法」。どの作品でもさまざまな形の「恋と愛」が描かれているのだけれど。これが一番美しかったなあ、という印象でした。そして意外性も。

  • 2人の歴史が成長がしみじみ感じられるしこれからに繋がるはっきりとした形を黒猫がちゃんと示してくれて本当に良かった。
    6話とも愛の形それぞれでどれも良いのだけどエピローグには敵わない。
    やっぱり一緒にいる姿はいいなぁ。

  • 付き人が表紙で微笑んでいるようにやっと、やっとです。もう沢山の絨毯爆撃の嵐に同じ行を何度も読んでしまいます。今までが今までだったのでいざこうなると疑心暗鬼です。黒猫はとりあえず、冷花さんに、ありとあらゆる登場人物からからかわれればいいと思います。謎とか色々あったのに最後の数ページとか途中の意味深な最後に全部もってかれました。

  • 黒猫シリーズ第6弾。黒猫がパリから帰還。久しぶりに黒猫&付き人さんが日本で一緒に謎に挑む連作短編6編。

    今作もポオの作品を解体しながら、日常のちょっとした謎を解いていく。美学談義の部分は難しいけれど、このシリーズは、黒猫と付き人さんの関係をメインで楽しむことにしてる。

    エピローグまで読むと、今までの歯痒さがようやく一段落。このまま終わるのも綺麗だけど、まだまだ2人を見ていたい気もする。

  • 黒猫と付き人の物語の6作め。

    第一作めから読んでると、この巻は楽しいです。
    懐かしい人の登場だったり、
    懐かしい形だったり、
    一作めとのつながりだったり、
    二人それぞれのやきもきとか、
    いろんな所で。

    舞台は再び日本へ。
    内容は、題名通りの回帰です。
    黒猫と付き人は、いろんな人の愛の形を見てきたと思うのですが、いろんな人たちとの交差があったから、回帰して、ここまで来たのかなと思います。
    エピローグは、他のかたも言われてるとおり、良かった!という感想です。

  • 黒猫は相変わらず言動がかっこよすぎ。子供時代も生意気でかわいい。

  • パリで大規模な交通事故が発生。深夜そのニュースを目にした付き人は、相変わらず連絡のない黒猫の安否が気になっていた。1年前、イタリアで二人の距離が縮まったと感じたのは、勘違いだったのか。互いに研究で多忙な日々を送る中、いつしか声を聞かない時間ばかりが増えていた。そんの時、大学院の後輩戸影から、ペルシャ美学の教授が失踪したと連絡を受ける。黒猫のことが気になりつつ、付き人は謎を追いかけてゆくが……。

    全編愛の話。六話プラスエピローグの連作短編集。懐かしい人々も再登場。美学談義もポオを根底に、ペルシャ美学やワーグナー、演劇にコメディアンとバラエティに富んでいてわりと飲み込みやすい。やっぱり黒猫シリーズは短編集の方が読みやすい。
    と、そんなことはどうでもいいのです!とうとう!とうとう!付き人おめでとう!黒猫がいつになく情熱的でドキドキしたわ……。これでひと段落なのかな?あー読み続けてきてよかった!

  • 黒猫が日本に戻り、付き人と一緒の空間にいることに戻った今作。やはり二人が同じ空間にいる風景を読めるのは読者としてうれしい。そして、微妙な距離感は相変わらずなのに、今までとは違う二人の関係にドキドキしながら読みました。付き人の研究者としての成長がすごい。

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著者プロフィール

1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。

「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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