みんなで読む源氏物語 (ハヤカワ新書)

  • 早川書房
4.07
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本棚登録 : 191
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153400184

作品紹介・あらすじ

源氏はこんなに新しい! 『源氏物語』に通じ愛する面々が多方面から集結、その現代的な魅力を語りつくす。川村裕子、ニシダ、三宅香帆、俵万智×安田登、宮田愛萌、小川公代、近藤泰弘×山本貴光、角田光代、鴻巣友季子、円城塔×毬矢まりえ×森山恵、全卓樹

感想・レビュー・書評

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  • みんなで読めばこわくない。渡辺祐真(スケザネ)編『みんなで読む源氏物語』(12/19発売、ハヤカワ新書)書影と目次を一挙公開!|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/n8e6419108d09

    『源氏』の基礎知識から最前線まで、一冊でわかります! 『みんなで読む源氏物語』まえがき by 渡辺祐真(スケザネ)|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/n80cbd39fe2e1

    みんなで読む源氏物語 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000015661

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      2/3(土) 知ってるフリとおさらば!トークでまなぶ『源氏物語』と「紫式部」 ~『みんなで読む源氏物語』刊行記念~ 渡辺祐真(スケザネ)さん...
      2/3(土) 知ってるフリとおさらば!トークでまなぶ『源氏物語』と「紫式部」 ~『みんなで読む源氏物語』刊行記念~ 渡辺祐真(スケザネ)さん×宮田愛萌さんトークイベント|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.hayakawabooks.com/n/n518a8ca96c12
      2024/01/16
  • ハヤカワ新書から発売された『源氏物語』の解説書。といってもそこまで小難しい内容ではなく、『源氏物語』を読んだことがない人でも気軽に読み通せるようなライトな読み物となっています。

    扱っているトピックはなかなか多彩で、まずは『源氏物語』のおおまかなあらすじ、紫式部の人生と人柄、登場するヒロインたちの”階級”からの読み解き、”世界文学”として受容されていった流れなど、多角的に、かつ簡易的に、『源氏物語』を知ることが出来るようになっています。

    個人的に興味深かったのは鴻巣友季子氏の「現代”小説”としての『源氏物語』」の章で、本小説に流れる「時間の流れ」であったり、「何人称文体」で書かれ、誰の視点を取り入れられているのか、「草子地」と呼ばれる”地の文に語り手の声が交じってくる文章と照らし合わせた解説など、翻訳家であり文学研究の専門家である氏ならではの読み解きでとても面白かったです。

    後半はChat GPTなども絡めた最新の研究成果も語られ、いま新たにこの小説を読みたい人のフックとなる様々な工夫が施された内容となっています。

    あとがきには『源氏物語』を楽しむためのおすすめ書籍も付記されており、ファンにとっても有益な本と言えるのではないでしょうか。

    私はこれから角田光代訳のを読んでみようと思っているので、そのとっかかりとなる良い本でした。なあにラランドニシダも挫折しつつ読破してるんだから私にだって読み通せるはず。

  • ハヤカワ新書のレーベルを読むのは、この本が始めてなのですが、世の中に数多ある『源氏物語』を解説した本の中ではとても異色で、そしてハヤカワっぽさにあふれていると感じました
    AIを駆使して『源氏物語』のテキストを解析されてる国文学者の方のインタビューや、英語に翻訳された『源氏物語』を日本語に“戻し訳”し自身の著作に引用されてる作家さんと、その同じく“戻し訳”を『源氏物語』全編に渡って完成させた翻訳者の方たちの鼎談など、とても現代的でポップな話題がたくさんです
    一方、『源氏物語』の初歩の初歩から解説している項目もあるので、これから読み始めたいと思っている人にも、わりとガチ勢力の人にもオススメです
    問題は、この本に登場された方々の『源氏物語』のゆかりの作品を色々と読みたくなってしまうことです
    これまでにない『源氏物語』の解説本でかつ、他の著作への訴求力もとても強い、ハブ施設みたいな新書です

  • 新年からの大河ドラマ「光る君へ」スタートを前に、おどろくほどの紫式部&源氏物語関連書籍の刊行ラッシュでたいへんなことになっているけれど、ともに日本語学徒のわたしと長女(筋金入り源氏マニアでもあり)がたぶんともに楽しめそうな一冊がこれ。英訳の評判、英訳からの日本語訳、英文学やデータサイエンスの視点からの読み解きなど興味深いトピックが山盛り。

  •  源氏物語の解説書。大河が始まる前にいろんな見地が知りたかったので手に取ってみました。

     源氏物語については大学受験で必要なとこは叩き込まれてるけど全体としては確実に抜けがあるだろうし、そこがどこかもわからない、という状態でのスタートでしたが、逆にそれくらいの初学者だった為大変楽しく読めました。筆者の中には各分野の専門家もいれば物語の愛好者もいて、みんな全然違う解釈を教えてくれるのでとにかく楽しい。歴史の楽しさはここなんですよね。現代まで残ったものから自分たちが想像力を膨らませてこうなのかも、ああなのかも、と推測することが楽しいのであって、そこに正解がないことを皆理解しているからこそ互いの解釈にリスペクトを持って触れられる。本書は愛好者たちの語りなので原作に対する批判的な記載もなく、良かったです、私は。

     特に面白かったのが俵万智×安田登パート。和歌の部分をつい読み飛ばしちゃうけど、そこはオペラで言うアリア、ミュージカルでいうところの歌唱パートと言われれば確かにそう。見せ場を早送りしたらだめだよねぇと読みながら反省したり。また、英訳にされることで地の文に描かれている描写が視覚に鮮やかであることに気付かせてもらえることを知って、……英語を読むのは大変そうだから訳し戻しに興味を持ちました。そうすると次の賞でその訳し戻しをした著者たちの対談が始まる。一冊まるごと常に痒いところに手が届く作りになっていて一気に読めました。
    (あと英語版で解説を寄稿しているヴァージニア・ウルフが何を言ってたのかだいぶ気になるな、と読みながら思っていたら最後に解説文全訳も載せてくれててありがたかった)

     各章で「こう読んでいる」の主張が全然違うので「みんなで読む」というタイトルがすごくいいなぁと思った。解釈に正解はなくて、どれもそうかもしれないし、どれも違うのかもしれない。自分の生まれた時代や性別で常識や視点は変わるけれど、「ここはこういう意味です!」と断言していいことなんて何にもないよなぁと思った。最近SNSだとテレビや本を読んだ感想をすぐ早押しみたいに断言口調で主張するから疲れちゃってて、こういう本の存在はありがたいです。

     歴史に触れること、物語を読むことの二つをどうして自分が好きなのかを再確認させてもらった。また読み返したいです。

  • f.2023/12/31
    p.2023/12/27

  •  個人的には、近藤泰弘さんと、山本貴光さんの対談が興味深かった。もう少し長く語りあって欲しかった。この対談で一冊編んでほしいくらい。
     という風に、それぞれのパートは短めながら面白いので、入門書としては、良い感じては。

  •  日本の古典作品で有名な『源氏物語』であるが、その内容は膨大である。事実、『源氏物語』は五十四帖と、一気に読むには量が多い。しかも、物語はメインストーリーとサブストーリーが交差する構成で、ゆえに日本の作品とはいえ、敬遠してしまいがちである。そこで、本書はいかに『源氏物語』を読み解くべきなのかを教授する。
     まず先に結論を述べると、日本の古典作品だからといって、物語を隅々まで理解しないといけないという訳でない。それ以上に、物語の描写、具体的には心の機敏、花や植物の情趣、和歌などを読んで味わうことが重要である。「ラランド」ニシダのコラム欄でも言及されているが、数回挫折した末に何とか読破したものの、物語を十分に理解はできなかったと述べる。ニシダは、全てを理解するのは諦めたが、部分的には面白く感じたという。このように、理解できないことを知ることも、読書体験において大切である。
     これ以外にも、本書には多岐にわたって『源氏物語』に関する知識や批評が詰まっており、未読の読者はもちろんのこと、既に読み通した人にとっても、なんらかの助けとなるだろう。1000年前に書かれた本とはいえ、人間そのものは、どの時代であっても変わらないことがわかるだろう。

  • 2024年1月19日購入。

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著者プロフィール

昭和三十一年、東京生まれ。武蔵野大学教授。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程修了。博士(文学)。活水女子大学助教授、新潟産業大学教授を経て、現職。

【著書】
単著に『蜻蛉日記の表現と和歌』(笠間書院、平成十年)、『新版 蜻蛉日記Ⅰ(上巻・中巻)』・『同Ⅱ(下巻)』(角川ソフィア文庫、平成十五年)、『王朝生活の基礎知識--古典のなかの女性たち』(角川選書、平成十七年)・『王朝の恋の手紙たち』(同、平成二十一年)・『王朝文学入門』(同、平成二十三年)、『ビギナーズ・クラシックス 更級日記』・『同和泉式部日記』(角川ソフィア文庫、平成十九年)。編著に『王朝文化を学ぶ人のために』(秋澤亙氏と共編、世界思想社、平成二十二年)など。

「2012年 『王朝文学の光芒』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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