幽霊人命救助隊

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 507
感想 : 121
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163228402

感想・レビュー・書評

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  •  検索窓に自分の住んでいる街の名前+スペース+心療内科、と入力した日のことをちょっと思い出した。わたしは無責任だし根性もないから、さっさとケツまくって苦境から逃げ出せたわけだけど、そうできない人がこの世の中にはたくさんいる。そういう人はえてして我慢強いからしばらくは耐えられる。けれど、耐え切れなくなったときに選ぶ選択肢が怖いのだ。

     『幽霊人命救助隊』は自殺した4人の幽霊が協力して、100人の自殺を阻止するというお話。
     重たいテーマだけど、人間の会話と、人間には見えない幽霊がその周囲でがやがや騒いでいる様子がうまく混ぜて書かれていて、とても面白かった。ヤクザの親分八木さんがいい味だしてました。
     しかし救助者100人は多かったんじゃないかなあ。100人を処理するためにどうしても自殺動機がステレオタイプになってしまうし、とりあえずうつ病患者は病院に連れて行けば救助成功になるとか、ちょっと雑で乱暴な気はした。でも、もしかしたら作者は、自殺は周囲の人の心がけで意外と簡単に食い止められるものだと言いたかったのかもしれない。
     あと自殺の描写が生々しくて怖い。ヒー絶対自殺せんとこう、と思う。これは作者も意識して書いたのだろうな。青木ヶ原樹海の首吊り死体はちょっとトラウマです。

     終盤突然とってつけたように出てきた格言には若干辟易した。すべての絶望が勘違いなら、生きていく希望も勘違いってことになりませんか……。

  • 面白かった。
    自殺を食い止めるお話で、鬱についてよく描写されている。
    実際のところ鬱ってどんなものなのか、私には無縁すぎて分からないけれど。。
    突拍子もない角度から社会を描写する著者の能力が素晴らしいと思います。

  • 荒唐無稽にも程があるけど面白かった。幽霊が主人公って時点で既にアレなんだけど、更に心は読めるわ意識に働きかけられるわですげー設定だなと。ただそうしたからこそ自殺志願者を引き留めるような作りに出来たわけだけど、ちょっと自殺志願者の描写がステレオタイプにすぎる気もした。10年前の本だけどなんでも鬱病だってのがなんとなく違和感。

    設定が荒唐無稽でもやることが自殺者の救助なんだからそりゃいい話になるには違いないわな。そんなわけでもちろんラストに救った1人ではかなり感動させられたけどもね。まあとにかく自殺はして欲しくないししたくないって事で。

    同じ作者のジェノサイドが面白かったので読んでみた。

  • 自殺してこの世を去った人たちが、この世に戻って自殺者を救う物語。さまざまなケースで悩んでいる人たちを救っていく。作者も、この本を書くのに結構勉強したのだろうなと思えた。ただ、たくさんのケースを次々に解決していくので、途中で飽きてしまうところがあったのが残念。

  • 設定はおちゃらけが入ってるけど、扱ってるテーマは意外に重い。自殺志願者の胸の内を、客観ではなく主観で表現するために捻り出されて設定のような気がする。一歩引いて見れば他の抜け道があるとわかるのに、自殺という一本の道しか目に入らなくなっている異常な心理状態や、そこまで追い詰められる精神状態の推移がわかりやすい。
    日本て国は ともすれば自殺を煽りやすい環境と歴史、思想を持ち合わせている国なんだなと思う。どうしようもなくなって身動きが取れなくなって自殺するしかなかったんだよ…という事後の擁護は無意味だ。自殺を最終手段として温存し、それもまた選択肢としてアリかなぁと見なしてしまうような所があるのは否めない。日本人気質というのは根深そうだ。

  • 内容に関しては個人的に語りにくいのでパスしますが、どんな内容にしろ、生きろ、というメッセージを一生懸命伝えようとしている物語は好きです。

  • 職業・世代の違う4人の自殺者が幽霊となり、神様の指令により自殺志願者を救助隊を組み救い出すというエンターテイメント小説。自殺志願者の救助という思いテーマを扱っているが、4人の救助隊がバタバタ、オタオタしながら軽いタッチで進行するので読みやすい作品になってました。救い出す工程が現実に自殺志願者に対しての対応を良く調べて書かれているのではないか?と思います。エピローグが救助隊に対するご褒美!ハッピーエンドに上手くまとめました。

  • この本を高評価している方もいましたが、
    自分には向いていませんでした・・・
    途中でギブ!!

    なんか、最初からアホクサ過ぎるんだよなぁ~

  • 〈内容〉夕方までは死なないでください。僕たちが必ず助けてあげます
    大学受験に失敗して首吊り自殺し幽霊となった裕一は、同じ立場の三人と共に、天国行きと引きかえに自殺者の救助を神に命じられる 。

  • 自ら命を絶った4人は、平原にそびえ立つ崖を登り詰めて広場に到達する。生年も性別も職業も立場も異なる4人は、神からある命令を下される。7週間以内に100人の命を救え。自殺志願者を見分けられるゴーグル、相手の心に呼びかけられるメガホン、通信機——、など神の?機器を駆使して自殺志願者を思い止まらせる活動を続ける4人。ノルマの100人を助けることはできるのか。
    わりと軽い感じで物語は進むが、中身は自殺問題を扱う重いテーマでもある。うつ病者が説得に耳を貸して短時間で自殺を思い止まるなど、ご都合主義のストーリー展開もあるが、7週間以内に100人助けなければならない話だから、仕方がないか。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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