これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義

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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163757704

感想・レビュー・書評

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  • 1〜9講は物理学の幅広い基本、10〜14講は著者の専門分野であるX線天文学について。やや難易度高めで読み切るのは大変だった。(2014年に読み始めたが途中で長らく放置して、読み終えたのは7年後…)

  • 途中で挫折。
    物理好きには面白いと思う。

  • MITで動画で無料公開しているウォルター・ルーウィン教授の物理学入門の講義の一部をテキスト化したものです。確かに彼の講義が魅力的でわかりやすい事は伝わってきますがでもテキストはテキストであって、彼が体を張って証明する実験の数々は映像で見るのとは迫力が違うというのが正直な印象です。これを読んでからだと英語の動画でもなんとなく中身はわかりますので補助テキスト的に読むのがいいのかもしれません。「白熱教室」を見逃してしまったのですがこれを読んでDVDを見てみたいと思いました。

  • 生で受講できた当時のMITの学生は幸せでした。
    とはいえ、我々も本書と紹介されているビデオをみることで、同じように学ぶことが可能です。
    そして、その内容は知的好奇心をくすぐり素晴らしい。
    例えば、私は注意されたことも教えてもらったこともなかった生活に潜む危険な行為の1つとして、トースターに食パンが詰まった時にフォークやナイフで引っ張り出すのは感電死の危険性がある(必ずプラグを抜いてから)など。(P209)
    人に直撃すれば確実に死ぬあの莫大なエネルギーの塊のような落雷について、1回の落雷の総エネルギーは100ワットの電球が1か月消費するエネルギーと同じ、つまり稲妻のエネルギーを再生エネルギーとして取り込もうとするのはあまり意味がない。(P210)
    また、雷雨が去った後の空気がおいしく感じるのは、直後にオゾンが生成されたため。(P211)
    地球の地軸近辺の磁場にオーロラが発生するのは、太陽風が磁場が最も強いところに入り込むから(光を作る荷電粒子が空気中に増える)や、この磁場こそが地球の大気圏と水を太陽風から守ってくれている。(P224)
    体温が37℃の人なら1日1千万ジュール(1カロリーは1gの水を1℃上げるのに必要なエネルギーで、約4.2ジュール)発熱に使われており、2400キロカロリーの食事摂取が必要となる、3階にあるオフィイスに1日5回階段で往復して消費されるエネルギーは約35000ジュール(1日発熱量の0.35%)だと知ればバカバカしくなるだろう。(P256)
    そして、本書の眼目は、物理学と芸術との相似性の指摘です。
    ゴッホやマティス、モネ、ドガ、ピサロ、ルノアールでさえ、初めて作品が発表された当時は批評家から物笑いにされた過去があり、年代を経てその価値や美しさが認められるようになったのは、彼らの新しい題材、形式、素材、観点、技法、色調などが時代を屈服させたためであり、その革新性こそ物理における新しい発見に匹敵する。(P382)
    真摯に物理学に向き合う著者だからこそ書けた奇跡の1冊です。
    とはいえ、その後のオンライン講座でのセクハラ行為でMITの終身名誉職を解かれたというニュースは残念でなりません。

  • 日常とかけ離れているように思う物理学がとても身近で、体で理解できる授業である。生で受講して見たかった。

  • MITの一般教養の物理をやっている先生による本。講義の様子は動画で公開もされている。前半はその授業の内容に準じている様子で、後半戦は専門のX線天文学についてその歴史を自分の体験で語る。後半はちょっと難しいといえば難しい。

    ヒッグス粒子のノーベル賞のとき、理論物理学者と実験物理学者のどちらに賞が送られるべきか(実際は「理論」のほうだった)議論されているのを見かけたが、著者は実験物理学者。だからか身近な現象に根ざした(虹とか)話が多くて素人にもしたしみやすい。とにかく測定の精度の大事さを強調するところもさすが。「ここでわたしが、天体物理学の理論の大多数はいずれ誤りであることが判明するなどと断言しても、同業の理論家たちの機嫌を損ねる心配はないだろう。そんなわけで、わたしを含めた観測天体物理学者の多くは、大半の理論にあまり注意を払わない。」


    ・年周視差により数千光年までの恒星との距離を測ることができる。太陽に最も近いプロキシマ・ケンタウリ(4.3光年)の年周視差は0.76秒角。10セント貨を3.5kmはなれたところに置くと1秒角。月を1800枚にスライスしたのも1秒角。天文学には精密な観測が必要になる由。

    ・ケフェイド変光星は光学的輝度と変光周期に相関がある。これを利用して1億光年までの距離を測ることができる。


    ・17世紀半ばに気圧計を作ったのがトリチェリ。密度の高い液体ほどコンパクトに作れるので、水の13.6倍の密度を持つ水銀を使った。長さ1mのガラス管に水銀を注ぎ、管の口を指でふさいでひっくり返してから水銀を満たした深皿に入れて指を離した。水銀がいくらか流れ出したが76cmの高さの水銀柱ができた(気圧の変動により上下する)。管の上部にできた空間は、実験室でもっとも初期に作られた真空のひとつとなった。


    ・飛行機を飛ばす力。ボーイング747を例にすると、揚力の80%以上が反作用揚力(翼の下を流れる空気が下向きに押されることによる)、20%未満がベルヌーイの揚力(翼の上下の気圧差)。→なんかこの説は間違いらしい。よくわからん。


    ・虹を見つけるコツ。太陽に背を向け、自分の頭の影を見つけ、自分とそこを結ぶ線から全方向に42度離れた位置に注目する。また、虹の内側(青い側)の空は明るいが、外側(赤い側)の空は暗い。光の屈折の性質による。

    ・水滴の代わりにガラスでも虹を作れる。黒い厚紙、スプレー式透明接着剤、球状で無色透明のガラスビーズ(直径0.15から0.25mm)を使う。


    ・深宇宙さえも完全な真空ではない。地球上でつくりうるどんな真空よりも完全な真空に近いが、プラズマと呼ばれるイオン化した気体がおもに存在する。

    ・ワイングラスなどの共鳴。どこかから余分なエネルギーをもらえるお得なシステムのようにも見えるが、実際はその固有振動数において投じられたエネルギーを最も有効に活用しているだけ。

    ・長い縄跳びをじゅうぶんに速くまわすと、縄がふたつをの弧を描く。中央に動かない1点(節)ができる。縄が二次固有振動数で振動し始めたのだ。振動するものはすべて複数の固有振動数を持っている(三次以上もある)。楽器の弦は同時に複数の固有振動数で振動して倍音を出す。


    ・物質の中には正電荷を引き寄せるものと、正電荷を手放して負の電荷を引き寄せるものとがある。それら相反する物質同士をこすり合わせるとそれぞれ逆の電荷を帯びる。それを表に並べたのが帯電列。

    ・この地球上でわたしたちと関係のある原子・分子のほとんどは電気的に中性。室温の純水であれば1,000万個の分子のうちイオン化しているのは1個だけ。

    ・ボルトとは電位の単位である。例えばアメリカのコンセントのふたつの穴の電位差は120ボルト。電場の強さはボルト毎メートルであらわす。

    ・平均的な雷が放出するエネルギーを電力に換算すると1兆ワット。しかいs数十マイクロ秒しか続かないので、1回の落雷の総エネルギーは100ワット電球1か月分くらい。

    ・高周波の電流は導体の外側を流れる(表皮効果)。雷の時、車のなかが安全な理由はこれ。ただ最近はグラスファイバー製の部品が増えているので危ないかも。


    ・ヒトは100ジュール/秒の赤外線を発している。100ワット電球と同程度。


    ・蟹星雲(牡牛座X-1)は1054年に観測された超新星爆発の残骸で6,000光年離れている。1000年後の今でもX線を放出しながら天文ショーが続いている。

    ・中性子星は高速で自転する。フィギュアスケート選手がスピンする時、伸ばした腕を体に引き寄せるとスピンの速度が増すのと同じ理屈(角運動量の保存)で恒星時代の自転が加速する。蟹星雲の中性子星は30回転/秒で、これまで観測された最高のものは716回/秒。おおくの中性子星は磁極から電波ビームを発するが、磁極と自転軸にずれがあるため、観測する側としては間歇的にビームが出ているように見える。単独パルサー。

    ・われわれの見ている星の1/3が連星である。一方の星は軌道の半分で地球に近づき、残りでは遠ざかる。もう一方は逆の動きをする。それぞれのスペクトルに赤方偏移と青方偏移の吸収線がそれぞれ見られる。それで連星系だとわかる。

    ・惑星の公転周期は17世紀になる前ずっとから高い精度で知られていた。太陽と惑星の距離も高い精度で知られていたが、あくまで相対的な尺度(例:金星と太陽の平均距離が地球の72.4%)でだった。→天地明察

  • NHK教育で放送が始まった。本よりもそちらで見ることにする。

  • X線天文学者がMITで一般学生に物理学を講義した内容を本にまとめたもの。物理専攻でない一般学生に物理ってこんなに面白い!という記憶を持ってもらうように工夫した講義。学生をびっくりさせる実験をしたりして、紙の上でも面白かったので、実際の講義はとても楽しかったのではないかと思う。

  • 虹がどうして出来るのか。子供にそんなことを伝えられて一緒に考える時間を持つことが出来たら楽しそう、とついつい引き込まれてしまった。Webで人気のMIT物理学教授の授業のテキスト版である本書。こんなにも楽しい授業をしてくれる先生に出会えたらその後の人生に影響すること間違いない。「楽しさ」を教える技術と創意工夫は仕事の観点でも考えてみようと思う。

  • 以前NHKで放送されていた講義の動画は面白いと思いましたが、書籍になってしまうと動画と比べてどうしても面白さに欠けてしまうと感じてしまいました。
    よって途中で読むのを断念しました。

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