武士の流儀(一) (文春文庫 い 91-12)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913014

作品紹介・あらすじ

新シリーズ誕生!「浪人奉行」シリーズや「隠密船頭」シリーズで時代小説ファンに愛される稲葉稔さん、令和初の新シリーズが誕生します!主人公の桜木清兵衛は、町奉行所で風烈廻りの与力として活躍した人物。とある事情から、倅に早めに家督を譲ることになり、いまは若隠居生活を送っています。しかし、若い侍が往来でいきなり斬り付けられた現場に居合わせたことで、困った人をどうにも放っておけぬ性分が顔を出し、遺された友の手助けをすることに……。人生の機微を知り、与力時代から培った知恵と勘、そして剣の腕をふるって清兵衛が活躍します。装画は板津匡覧さん。ダンディーな清兵衛の横顔も魅力的です。

感想・レビュー・書評

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  • 若隠居した元町奉行所与力の桜井清兵衛の人情物語です。

    若くして隠居した清兵衛50才は、時間は十分にあり、体も元気であり、その上に風烈廻り与力として辣腕を振るってきた探索力と剣の腕、そして好奇心の強さと、人柄の良さで元町奉行所与力であることを言わずにひとりで事件を解決して行きます。風烈廻りとは、火災予防や市中に出没する不穏な輩を取り締まるために出役する掛です。

    【真福寺橋】
    桜井清兵衛50才が江戸は真福寺橋にさしかかった時、清兵衛の目の前で伊予吉田藩伊達家の横田耕三郎が斬られた。その横には同輩の大木仁右衛門が呆然と見ていた。藩邸では、横田の死は大木が側に居ながら相手も判らず横田を死なせたと。臆病者と罵られる。大木は、清兵衛の協力を得て仇を見つけることができた。

    【犬の仕業】
    南八丁堀三丁目の喜三郎店に住んでいる新兵衛の財布が盗まれた。桜井清兵衛が通りかかり、岡っ引きの東吉と一緒に探して行くと、同じ長屋で仕官先が決まった浪人春本一作が、飲み屋の付けを払ったことが分かる。春本から話を聞くと、盗みを自白するが。清兵衛は、仕官先も決まっているのでここで捕まえると春本の一生が台無しになると、東吉を説得してお金を返させる。使った一両(10万円)は、清兵衛が穴埋めする。そして東吉は、財布は犬が取っていったと…。

    【身を捨ててこそ】
    桜井清兵衛の跡取り真之介と同僚の与力見習い生駒剛太郎は、酒に酔って大番組番士に喧嘩を売って、一緒に居た小十人組組頭の娘を突き飛ばして怪我をさせた。不浄役人と言われる町方の与力が、旗本のそれも将軍を守る大番組のものに喧嘩を売り、そのうえに旗本の娘に怪我をさせては、ただ事では済まない。その話を聞いた清兵衛は、二人に腹を斬る覚悟で謝ってくるように言う。二人が、土下座をして腹を斬る覚悟で謝ると許された。

    【救いの神】
    桜井清兵衛が干物を買いに馴染みの鉄砲洲の乾物屋、津田屋に行くと、四歳の佐吉が攫われて脅迫状がきていた。主夫婦は、奉行所に知らせると息子が殺される思いに犯人のいうままに自分たちで解決しょうと身代金の百両(1000万円)を用意する。身代金の受け渡しの場所に身を潜めた清兵衛が犯人を捕まえる。

    【読後】
    字も大きく、展開も早く、読みやすいです。飄々として、機転がきき、温かみがあり、剣の腕がたち、探索力の優れた桜井清兵衛が頼もしいです。ただ以外に読むのに時間がかかりました。短編四話の中で「犬の仕業」は、清兵衛が財布を盗んだ犯人の将来を考えて罪を問わなかった心情にホッとしました。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    武士の流儀シリーズ1作目《文庫本》
    2019.06発行。字の大きさは…小(字の大きさは中ですが、印字が薄いので小)。
    2023.01.17~19読了。★★★☆☆
    真福寺橋、犬の仕業、身を捨ててこそ、救いの神、の短編4話。
    図書館から借りてくる2022.12.21
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    《武士の流儀シリーズ一覧》
    07.武士の流儀
    06.武士の流儀
    05.武士の流儀
    04.武士の流儀
    03.武士の流儀
    02.武士の流儀
    01.武士の流儀 2023.01.19読了

  • 2022.08.25

  • シリーズ第一弾
    与力だった桜木清兵衛、病の勘違いから若隠居の身に
    暇に任せて人々の手助けに
    短編四話

  • 稲葉稔の2019年から始まった新シリーズ。

    労咳かと思われる病に寝込み、私も覚悟。
    自分が与力になった年齢の25才に、嫡男が至ったのを機に、一線を退いた桜木清兵衛。
    療養の結果、労咳ではなかったが、
    元には戻れずに、楽隠居となった。

    剣の腕は立つし、人情の機微も知る人格者。
    若い頃は名を変えて、無茶もし尽くした面白みのある男。

    そんな隠居としての暮らしを住まいも変えて妻と二人で暮らす。
    身近で起きた事件に黙って取り過ぎれないところが。。。

    なんとも、面白い主人公が生まれた。
    四角四面でな口とも良い隠居という立場、人生経験も長く、生き死にも見てきた男ならではの生き方、過ごし方、人生の楽しみ方。次回作が楽しみだ。

  • 2019年6月文春文庫刊。書下ろし。シリーズ1作目。労咳のおそれで、50才で若隠居した、元与力の清兵衛の連作短編4話。人助けに走る清兵衛が、楽しい。

  • 【元与力が剣と人情で活躍する新シリーズ誕生!】元は風烈廻りの与力で、理由あって隠居生活に入った清兵衛。若い侍が斬られる現場に出くわし、遺された友の手助けに乗り出すが……。

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著者プロフィール

1955年、熊本県生まれ。脚本家などを経て、94年に作家デビュー。近年は時代小説に力を注いでいる。人気シリーズに「隠密船頭」(光文社時代小説文庫)、「浪人奉行」(双葉文庫)、「武士の流儀」(文春文庫)などがある。

「2023年 『大河の剣(七)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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