シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと
- 河出書房新社 (2020年3月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309028705
感想・レビュー・書評
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花田さんはとても真面目な人だ。
物事を自分がどう受け止めてどう考えるべきかということを考えて考えて、それを言語化することに長けた人だ。
言葉に魂の重さがある。
どうしたらこんなに、心にピッタリとはまる表現を紡ぎ出せるんだろう。
考えるということ、言葉にするということの重みを知っている人の文章は読んでいてとても心地よい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2人の子供にとって、どのように接するのがいいのかすごく悩んでおられて、愛情が伝わってきました。
こんなにも悩むのは、ご自身が親御さんから受けた教育に縛られていたからかもしれないけど、子供は教えられたことを無条件に正しいと信じるわけでもないから、母親じゃないからとか思わずにもっと花田さんの考えを聞かせてあげてもいいんじゃないかなと思いました。
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花田菜々子さんの二作目の作品です。
花田菜々子さんとはヴィレッジヴァンガード、二子玉川蔦屋家電、パン屋の本屋、に勤めて日比谷コテージの本屋の店長を務めている方。
わたしがこの人を知ったのはインスタのおすすめ本で「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」て本を読んでからです。
これはほんと題名そのままの内容なんですけど、花田さんの考え方、が世の中の常識と微妙にずれていて面白くて興味を持ちました。
二作目が出てるとは知らず見つけてテンション上がってすぐ読んだところ…
二作目の方が面白い!
というかわたしにハマる感じがしました。
これまた題名そのままの話なのですが、相手の子供の心の機微を、部外者の目から見て考察されていて、勉強になります。
特によく描写されてるな、と思ったのが相手の子供、ミナトが花火大会でなかなか花田さんと合流目できずにイラつくところ。
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もう少し楽しい気持ちでいてくれればいいのに、そんなふうに怒らなくていいのに、と思う気持ちとともに、なんだかミナトの言葉にならない怒りがわかるような気がして、人が多くて進めないミナトがもどかしくもあった。少し前までは不満や不機嫌は父親に泣きつくことで表現していたのに、もう今はそれもできなくて、でも自分の感情をコントロールひたり自分の気持ちを伝えることもできず、行動も制限されて、思うように生きれない。結果的に走れない場所を走ろうとして前に進むこともできなくて。
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なんだか自分の中学2年とかそれくらいの気持ちを思い出して不思議な感覚になりました。
その他、結婚は必要なのか、とか、挨拶をしなさい、と強要することは親のエゴなのでは?とか、世の中で正しいとされていることを本当に?それってわたしの基準だと本当にそうなのか?ということを書かれていて、面白いです。
題名やバックカバーからするとライトなエッセイな印象を受けますが、書いてあることは考えさせられるし深い、素敵な話です。
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自転車を走らせてくら寿司に向かう4人は家族に見える。見えるなら家族だー子供たちに向き合う姿がとても愛情深い。花田さんはミナトとマルちゃんの最強サポーターになったんだ。
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おもしろくなかったわけじゃないけど、なんか「うわ、めんどくさい人だなぁ・・・」と思った。
今ハヤリの「繊細さん」ってやつですね。「本好きである」ということが、自分にとって一番かつ最大のアイデンティティの人にこういうタイプが多い気がするなぁ。
こういう人たちって、非常に面倒くさいこと考えている割に、それを人に伝えることは完全に放棄していたりして、さらに面倒くさいことになっている気がするんだけど、この人は割と伝えようとしているかなと思った。
パン屋の本屋、って日暮里にある本屋のことかな?
あの本屋はとてもいい本屋だと思ったけど、違うのかな。 -
前作も超絶面白かったけど、こっちもこっちで、じんわり自分の輪郭が見えてくる、対話できる本でした。自分にとっての家族とはなんなのか、家族的存在を持とうとする気持ちの正体は、など、いろいろな問題・問いを自分にも投げかけられている。
結婚子育てのあり方を再考したい人や「自分の子ども」に対して何かモヤモヤする人におすすめ。 -
すごくよかった、一気読み。
結婚、恋愛、そして子育てに関するあらゆる「当たり前」のフィルターを外して、目の前のパートナーや子どもたち、自分の心の動きをつぶさに観察する。まずは受け入れる。(作品中で微細な心の動きを「電流」と表現していて、まさに、という感じ)
そんな花田さんの視点を通して、「自分は?」と問われているような感覚だった。
それから印象的だったのは、花田さんに性教育や暴力構造の知識があり、子どもたちとの関係性の中で慎重になっていたこと。
血の繋がった親子であっても(だからこそ?)このあたりの知識と自覚は、子どもの尊厳を守るためにとても大事だと思った。自分が家族を持つことになったら、もう一度読みたい。
#花田菜々子
#シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた家族とは何なのか問題のこと
#読書 #読書記録 -
赤裸々すぎてこっちが心配になるくらい
共感することばかりではないけど、
描写が的確ですごくスッと入ってくる -
「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」は題名で勝負したと思われ、それが功を奏してヒットしましたが、内容自体も読んだ事が無い内容でとても興味深かったです。
本作も、前作の題名の衝撃性を受け継ごうとした節がありますね。
内容的にはちょっとふかし気味というか、普通に子供の居る男性とお付き合いして、子供と触れ合っているという状況なので、さらっと読めるしさほど何かが起こるわけではないです。格闘というほどでもないけれど、結構子供と触れ合っていて微笑ましいです。
家族の定義という所を議論すると色々とナイーブな部分にも触れて行かなければいけないのですが、彼らは家族未満でこれからどうなっていくのかという所で、物語は閉じられていきます。「家族」という単位に一石を投じるには少々経験値の浅さを感じます。とりあえず面白い経験だし本にしちゃおうかな。という感じだと思います。
これは一般人の感覚では物凄い商売っ気を感じますが、表現者としては有りなのかなあと思います。
花田さんは見た目的にほんわか優しそうな雰囲気で結構好みなのですが、中身は結構尖っているんですね。人は見た目で判断できないものですなあ。