クリングゾールをさがして

  • 河出書房新社
3.36
  • (2)
  • (3)
  • (3)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309206745

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ミステリー小説といえばいいのかわからないが、歴史的事実に、数学や物理学、そして題名にもなっているクリングゾールが出てくるワーグナーの楽劇「パルジファル」など、実に多種多様な要素が絡み合って、まるで推理小説を読むかのような楽しさを味わった。

  • 文学

  • 資料ID:21503652
    請求記号:963||V
    配架場所:普通図書室

  • ナチスが支配するドイツで、ヒトラーの信任厚い1人の科学者が科学分野の予算を握っており、実験や計画にはすべて彼の承諾が必要だった。科学者たちの間で密かに恐れられていた彼の名は通称「クリングゾール」。オペラ「パルシファル」に出てくる悪の魔術師の名前だ。このクリングゾールとは誰のことなのか。その謎をめぐって2人の人物の運命が交錯する。
    アメリカの数学者であるフランシス・ベーコンとドイツ人数学者のグスタフ・リンクス。2人は協力して次々とドイツの科学者たちに話を聞き、誰が裏切り者であったのか推測する。
    正直ミステリー的な部分よりも、この時代の物理や数学の世界の大転換の話がすごく面白かった。ハイゼンベルグの不確定性原理が、ドイツ人物理学者の一部にこんなに拒絶されていたとは知らなかった。人間がどんなに進歩しても絶対に分からない謎が科学の世界にはあるということに、誇り高い人々ほど納得できなかったのだろう。作品の中でプランクが言う「科学は若干宗教のようなもの」という言葉がとても印象深い。彼らの理論を理解できる頭はないけれど、彼ら天才も自分の信念、理論を正しいと信じたい1人の人間であることがよく分かった。ちなみに、ベーコンやリンクスの愛の話はピンとこなかった。再読すれば分かるのかもな。

  •  ロジックかつ、科学物ノンフィクションを好むタイプの人になら楽しめる作品、という気がする。登場人物がこれでもか!と言わんばかりに出てくるし、たいていの場合ろくでなしの上、奇行が目立ち、著名人だ。
     読み進むうちに、まるで予測出来ない予定調和を観ているような気持ちになった。すごい。

  • ヒトラーの謎の科学顧問クリングゾールをめぐり、ナチスの核開発とヒトラー暗殺未遂事件の秘密に迫る文芸ミステリ。ハイゼンベルグ、フォン・ノイマン、アインシュタインなど科学者たちも登場する。

  • ラテンアメリカって聞いてマジックリアリズムと直結しちゃったんだけど、全然違った。むしろ著者がメキシコ人だと知らなければドイツか英米やと思うわ。HHhHがナチ高官暗殺をテーマにしながらどちらかというと爽快なヒーロー物語だった(もちろんそれだけではないけど)に比べると、ヒトラー暗殺未遂を扱いつつも(こちらもそれがメインではないけど)すげぇ苦い、後味かなり苦い。でも読みでがあっておもしろい。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1968年メキシコ生まれ。92年、長篇『暗い沈黙にもかかわらず』でデビュー。以後、『怒りの日』(94)、『狂気の終わり』(2003)など話題作を発表。新しいラテンアメリカ文学の旗手として注目される。

「2015年 『クリングゾールをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安藤哲行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×