- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314005524
作品紹介・あらすじ
時代は世紀末に-いよいよ先の見えなくなる社会の動き。かつて「消費社会」論の新時代を拓いたボードリヤールが、この世紀末の世界を見きわめ、近未来的な予測を展開した成果がここにある。彼は言う-。が眼にみえない膜となって、世界を覆っている、と。きわめて今日的な事象を数多くとりあげ、あざやかに解読してゆく本書は、推理小説を読むような意外性と、SFを読むような想像の快楽を与えてくれる。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
BJ1a
-
画材の限界はあるでしょうけれども
画家は色に向かうのだと思います
詩人がことばに向かうように
ヨク保存されたレンブラントや
ルーベンスの天才に触れたのは芸大美術館の薄闇の中です
もう 弱い蛍光灯の光にも当てたくない気分なんでしょうね
ルーベンスの細密な蜘蛛や蜥蜴の絵でした
ひと目でこれは異様な
オレなんか猿の一種で早く自分を隔離しなきゃいけないんだ
そういって逃げたくなるような強烈さでした
ルーベンスを見ることに命をかけた少年ネルロ
フランダースの犬の話はこのとき正しいリアリティで私に響きました
名のみ知ってチャント向い合えていなかったレンブラントも
このとき初めて会いました
本を読む少年 タッタ一枚だけでしたが
その後見たレンブラントとその工房展より強烈でした
画家は何を見ているのでしょう
対象を透徹してみるとかいうけれども
どういうことでしょうか
公園になった元正田邸を両陛下が訪れた映像をみたとき
美智子皇后が地面でなく 空ばかり見上げるのが印象的だった
もはやなくなった場所ではなくて
そこから見た変わらぬ空を思い出しておられるのだ という
印象でした
そこから見る
時間の重なりを見る
今いる自分と もう無くなった多くの時間を重ねていく
そのときそのとき感じている全てが
大事な芸術なのではないでしょうか -
ボードリヤールはまるで昆虫のようだ。鋭敏な触覚で時代の動向を察知し、強迫神経症的なレトリックを並べ立てる。その姿は驚くほど色彩鮮やかで、胸の悪くなるような形状をしている。あるいはフグか。毒性をもって舌をピリピリと刺激し、油断をすると死に至ることもある。
http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20100226/p3 -
20世紀末、シミュレーション社会が「透きとおった悪」に覆いつくされている様を論じる書。
前半部の「美的なものを越えて」では現代のアート界の状況が的確に描かれていてぞっとするほど。