子供の「脳」は肌にある (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334032456

感想・レビュー・書評

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  • 初めての子育て本。インファントマッサージの先生に紹介されて読了。とてもよかった。

    触れることで、人として一番最初に育つ感覚、そこから感情、脳が育つ。幼少期はできる限り触れること。たくさん触れることで自尊心や安心感が育ち、自立することができる。
    マッサージや声かけ、あかちゃんと触れながら遊ぶわらべ歌はとても有効なのだと感じた。
    そして何より楽しみながら続けること。
    覚えたマッサージやわらべ歌を続けたい。自分が飽きたら新しい歌を覚えて、また試してあげたい。

    私が目指したいのは心が育った子になることなんだなと実感。

    産まれたばかりの赤ん坊に触れると芽生える父親ののめりこみ。父親が我が子との絆を形成するために生じる特別な感情。
    母親のスキンシップは自分が受け入れられ、大切にされているのだという自信を強め、その温かさから人は信頼できるものだということを肌から学んでいく。
    父親のスキンシップは世の中に意識を向け、人と強調して自分を出したり引っ込めたりするような社会性を伸ばす。
    幼少期に両親からどれだけスキンシップを受けるかといった記憶はたとえ意識されないにしても、身体には染み込んで残っている。将来にわたってその人の心に影響を及ぼし続ける。人の信頼感や自信は特にそう。
    人間は自分が置かれている現実を安定して見ることができるようになってはじめてテレビという虚構の世界を虚構と理解できるようになる。子供はその区別ができない。子供がテレビを見つづけると視覚や聴覚などの一部の感覚だけが過剰に刺激され続けると身体全体のバランスを崩す。
    人は自分の身体が相手の身体に自ずと反応してしまい、いつのまにか模倣しているという習性があり、共感し社会生活を営む上での基盤になっている
    子どもの模倣はなりきり。演じることで体験し、まさにそのものになっている。
    思いやりの基礎となる共感は相手の身体の軸に自分の身体の軸を合わせて感じるもの、推し量るものなので完璧ではない
    できる限り正確にするためには上手に模倣できる身体づくりが重要
    マッサージは相手に尊重していることを伝え、身体の模倣の力を高める絶好の手段
    人間が生きていく中でぶつかる問題の多くは決して知性だけで解決できるものではなく、はっきりとした正解がないことの方が多い。勘や感覚というものを頼りにせざるを得ないことも多い
    既婚男性はタッチされることを否定的、相手の考えや気持ちを理解する努力をし、言葉でなく相手に触れることで思いやりを示す
    お互いマッサージすることで心の状態が変わる、人間関係を変えるのには相手の行動をコントロールするのではなく、まずは自分の行動を変えてみること
    先を読むことができる経営者というのは卓越した皮膚感覚を備えている、顧客や社会が求めているものを皮膚感覚で確実に把握している、他業界のことにも詳しい、身体を磨くための支出を惜しまない、普段とは違う行動を起こすこと
    視覚優位と触覚優位、お互いを磨く
    触れるだけで、不安を癒す

  • 2004年刊。◆主に子育てでの皮膚接触・スキンシップの効用(なでなでやマッサージ)を解説。スキンシップは心の安定的成長を促進。◇さらに他人の擽りは、他者の存在を自覚して初めてくすぐったいという感覚を惹起、つまり他者の認識を不可欠とするらしい。セルフタッチは、それだけでは沈静効用が少なく、第三者によるそれの方が心拍数を下げ、長い睡眠や痛覚の低減を招来。◇男性は女性ほどタッチングを求めておらず、特に既婚男性が妻に触れられるのを拘束、との感情を生む。一方、女性も好意を持つ男性からのタッチングのみを許容。
    スキンシップは安心感などの心の安定をもたらすのであるから(理屈は兎も角、感覚的にはよくわかるところ)、相手を見ながらではあるが、うまく役立てていきたい。

  • 肌は自他の境界線ともなりえるし、交差点ともなりえる。読んで納得させられるだけでなく、子どもをはじめとする人たちとの接し方について学べる実践の書でもあります。

  • 大人の間でのスキンシップについてもかなりのページ数が割かれているので、子供の「脳」は…というタイトルはミスリーディング。

    ざっくりとまとめれば、肌に対するスキンシップによる刺激が年齢を問わずいかに心と頭にとって大事かという話。

  • 図書館

  • おもしろかった。

    子どもを育てるうえで、頭・心・体(知徳体)、どれが優先か?
    答えは体。
    身体感覚が磨かれてこそ、知能も感受性も伸びるのだという。
    そして、「体そだて」の上で重要なのが、肌と肌との「ふれあい」なのだ。

    「母性は本能に組み込まれていない」というチンパンジーの事例も興味深かった。
    ただ出産しただけでは、母性はうまれない。
    赤ちゃんサルがしがみつく・おっぱいを吸う、そして母サルがしっかり抱く。
    このスキンシップができないチンパンジーは、赤ん坊から逃げてしまったという。
    サルに限らず他の動物も、生み落とした後すぐに母親が子どもを舐めるが、これも母性を育むための行為なのだ。
    (そういえば実家の猫も、育児放棄され一匹でニャーニャー泣いてたところを拾ったのだっけ。)

    そう考えると、カンガルーケアや産後の母子同室っていうのは非常に重要だと納得。

    また、肌着のやわらかさが免疫機能におよぼす影響など、「皮膚あなどりがたし!」と思わせる内容が盛りだくさん。

    ただ、本書も後半からだんだんダレていき、「フリーターやパラサイトシングルもスキンシップ不足が原因」といった記述まで出てきて、ちょっと笑えた。

    なのでマイナス1★だが、それでも一読の価値あり!

  • ものすごく納得させられました。「「心」は大事だと思うけれど、「心」を育てるにはどうしたら良いのかわかりにくい。しかし「心」は体験の結果生じるものだと考えれば、「心」を育てるためには、実はさまざまな体験を豊かに感じとることができる「体」を育むことが大切だということがわかるだろう。」、「幼児に着せる肌着の硬さだけで免疫機能が違うという実験。唾液中のグロブリンAが2割も減少する。ストレスも増加する。1999年 九州大学 綿貫ら 」、「マッサージをすることは、相手を尊重していることを伝え、また身体の模倣の能力を高めるための絶好の手段である」そして、子どもだけでは無く、大人になってからでも、老人になっても、タッチングは非常に有効なメッセージになること、日々の診療、思春期外来、被災地支援、メンタルヘルスケア、全てに通ずることであることを実感します。

  • 面白い。良書。著者の論理を研究に基づく実験を背景に支えている。育児書にありがちな「〜しましょう」だけではない裏付けがあるので信憑性が出る。いくつか興味深い実験もあったので、私としては信じたい話に裏付けが取れた感じ。恐らくスキンシッププラスαの作用だが、本書では肌は露出した脳である、ということに主眼を置いている、

  • すぐキレる息子をどうにかできるヒントがあるかなと思って読んだ。
    スキンシップの具体的な量が書かれていないので、判断しづらい。

    スキンシップが足りないとこういう子になる、といろいろ書かれているが、息子にはことごとく当てはまらず、実は足りているのかも、と思ったり。

    多すぎて困ることはなさそうなので、ある程度大きくなるまでは、もっとスキンシップを大事にしようと思った。

    そうそう、子どもに柔らかい肌着を着せると免疫力がアップするというのは驚き。覚えておこう。

  • スキンシップは大事ということは大抵どの育児本にも書かれているし、納得はいくが、こじつけのようなオーバーな箇所も見受けられる。もっと画期的な内容かと思って期待をしていたけれど、引きつけられる内容のものではなかった。

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著者プロフィール

山口 創(やまぐち・はじめ)
1967年、静岡県生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は健康心理学・身体心理学。桜美林大学教授。臨床発達心理士。タッチングの効果やオキシトシンについて研究している。著書に『手の治癒力』『皮膚はいつもあなたを守ってる』(以上、草思社)、『皮膚感覚の不思議』(講談社ブルーバックス)、『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『最良の身体を取り戻す』(さくら舎)など多数。

「2022年 『文庫 人は皮膚から癒される』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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