ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書 297)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033972

感想・レビュー・書評

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  • ファイナンスの基礎を身に付けるため、読みました。本書の内容を一言でいうと「ファイナンスとは、投資に関する意思決定、その投資に必要な資金調達に関する意思決定、運用して得たお金をどう配分するかという意思決定、に関わるもの」です。ファイナンスには限界があり、正解がないことを知ったうえで、使いこなせるようになりたいです。

  • わかりやすく、丁寧に書かれてる。
    ファイナンスの知識ゼロだったので面白かった。

  • ファイナンスについてはある程度理解した状態で読んだため新たな発見は少なかったが、とにかく説明がわかりやすく、つまずきやすいところまで丁寧に理屈が解説されていて、すごく理解が深まった。バリュエーション、投資判断、資金調達のパートは特にわかりやすく、原理原則を教えてくれる書籍として手元に置いておきたいと思った。
    あと、ファイナンスって面白いというポジティブな気持ちになった。これを機に応用編の本も読んでみたいと思う。

    (自分がファイナンスを学んだ「コーポレート・ファイナンス実務の教科書」(松田千恵子著)に似ててわかりやすいと思ったら、著者の石野氏は松田氏の元職場の後輩だった)

    特に学びになった点を以下に示す。
    ・経常利益は日本にしかない概念で、アメリカにも欧州にもない。経常利益は負債コストしか反映せず、株主資本コストを反映しないため、指標として意味がないと考えられているため(昔の日本は資金調達の大半を銀行融資で賄っていたため、経常利益が重視されていた)。
    ・ファイナンスとは投資判断・資金調達・配当政策の3つに意思決定に関わるもの。
    ・企業価値の向上が経営における至上命題であるならば、利益だけをいくら上げても意味がない。こういう時代だからこそ会計よりもファイナンスに力点が移っている。
    ・株主資本コストについて。株主資本コストは負債コストと違ってBSに現れないので意識されづらい。もし経営者が株主の期待を下回ったら、株主はその会社以上のリターンを探し、株を売ってしまうため、株価の下落という形で顕在化する。これが「コスト」である。
    ・株主の期待収益率は、全く同じ事業だとしてもその企業のリスク見合いで変化する。つまりリスクが高いと資本コスト(=WACC)は上昇し、企業価値が下がる。ゆえに経営者は株主のその会社に対するリスク認識を下げることが仕事。そのために用いているのがIR。IRは決して会社の広告宣伝のためにあるわけではない(でもそれに気づいている人は少ない)
    ・買掛金は一見無利子負債のように見えるが、販売側には運転資金が増えることによる資本コストの上昇(=運転資金確保のためにお金を借りる等)が発生するため、その分を販売価格に転嫁するインセンティブが働く。ゆえに見えないだけで有利子負債である(しかもその内訳がわからない分厄介)
    ・ROIC(Return on Investment capital)=投下資本利益率。投下資本とは有利子負債+株主資本。WACC以上のROICを上げることが企業の至上命題(定義より自明)。ROICとWACCの差をEVAスプレッドという。ゆえにこれがプラスでないといけないし、投資の際にはこの視点を忘れてはならない。
    ・売上債権と在庫を圧縮しなければならないのは、これに応じた運転資金を用意しなければならず、そのための資本コストがかかってしまうから。
    ・PJTに投資するということは、PJTが将来生み出すであろうFCFを購入することと同義である。
    ・資金調達配分の最適化は簡単にはできない。実務上は同業他社の資本構成を参考にしたり、格付け機関の意見を参考にする必要がある。
    ・日本には「負債を減らすのはいいことだ」という風潮が強すぎる。インフラ企業などCFのばらつきが低い企業は負債を増やしてWACCを減らした方がいいわけだが、現状そうはなっていない。
    ・格付けは単に「債権者の立場」から企業の債務償還能力を分析判断しているものに過ぎない。ゆえに、成長性に乏しくても資本効率が悪くても、自己資本比率が高いなどその時の財務状況が健全でありさえすれば高くなってしまう。これに対しIBMのトレジャラー、ジェフリー・サークスは以下のように述べている。めちゃめちゃ示唆的。

    「トリプルAは非常に安定的な産業のものだ。また、トリプルAを取るためには、250億ドル(2兆5000億円)の手元現金を持たなくてはならない。それだけの手元資金を持つコストと、トリプルAをもらうメリットは見合わない」
    「現在は安全をみて少し多めの資金を手元に置いているが、それでも60億~80億ドル程度だ。200億ドルくらいあると何に使うんだ、株主に返すべきだ、という要求が出る」「(最低限維持したい格付けについては)現在のシングルA。使っている資本のトータルコストは、株主資本よりもコストが安い負債を多く利用するトリプルBのときに一番低い状態になると思う。だが、トリプルBは買収や自社株買いなど、急でまとまった資金需要への対応力が極めて乏しい財政状態だ。シングルAなら負債もある程度利用できるし、買収などに柔軟な対応も可能だ」
    ・配当するとその分現金が減り、企業価値が下がる。配当するということはNPVが0より高くなる投資案件がないということ(いい投資案件があるならば、配当しないで投資した方が株主のためになる)。
    ・自社株買いは、配当と同じくいい投資案件がないことを示すと同時に、経営陣が自社株を割安と考えているというシグナルにもなる。

  • ファイナンス=キャッシュの流れ、財務
    アカウンティング=利益と資産、会計
    両者の違いとは?新しい学びが多かった、いずれ再読したいもの。

  • コーポレートファイナンスをざっくりと理解するのに
    非常に良い。専門家になるわけでないなら、
    この一冊だけでも十分かと。

  • 知識としてファイナンスの基礎を学んだ。
    実務にどう使えるかは、まだわからない

  • なんで今まで読まなかったんだろう、、というくらい衝撃的な分かりやすさ!

  • 薄い本なのに内容はぎっしり詰まってる感じ


    ◎会計は過去の利益、ファイナンスは現在から未来のキャッシュを扱う

    ◎財務会計 = 社外向け
     管理会計 = 社内向け

    ◎コーポレートファイナンスの3つの役割
     1.投資の決定
     2.資金調達
     3.配当政策

    ◎資本コスト
     企業が債権者や株主に支払う下記のコスト
     株主資本コスト
     株主が求めるリターン
     負債コスト
     債権者が求めるリターン
     
    ◎債権者より株主の方が求めるリターンが大きい
    債権者は契約内の利息をもらうだけ
    株主は企業の成績によって配当金が変わる

    ◎wacc
     株主資本コストと負債コストの加重平均
     waccは低い方がいい
     高い=投資家の期待収益率が高い(リスクが高い)

    ◎ROIC(投下資本利益率)
    税引後営業利益÷(有利子負債+株主資本)
    投資した資本に対してどれだけのリターンが得られるか
     企業の利回り

    ◎wacc以上のROICが求められる
     ROIC-wacc=EVAスプレッド
     これを拡大することが企業の使命

    ◎運転資金が増える=キャッシュが減る=企業の価値が下がる


    ◎現在価値 〉将来価値

    ◎NPV法
    100円のにんじんに対して、100円以上の価値があるか
     ある事業がNPV 〉0 だったら投資すべき

    ◎IRR
    NPV=0 のときの内部収益率
     waccよりIRRが高ければ投資すべき

    ◎格付けは高すぎてもだめ
     その分配当しろー!ってなっちゃうから

  • 「読書を仕事につなげる技術」で超基本の6冊として紹介されたうちの1冊。ファイナンスで扱う具体的な計算には立ち入らずに、考え方、思想の紹介を行う本。
    自分自身は細かいことはいろいろ知識として持っているが、本当に大事な部分は何かを再確認できた。
    ・ファイナンスは投資、資金調達、配当政策にかかる意思決定にかかわるものであり、その目的は企業価値の最大化にある
    ・IRの役割はWACCを下げること、そのためには適切な情報を適時に開示すること
    ・投資の判断基準、NPV、IRR
    ・最適な資本構成、格付とWACCの関係

  • 学生時代の講義で使う教科書として昔購入。
    はっきり言って、当時は何がなんだか理解できず、最終試験のために丸暗記しただけで終わってしまってた。

    負債コストと株主コストの考え、WACC、NPV等の用語解説等非常に分かりやすくて頭のもやもやがスッキリした。当時の自分はただの勉強としてしか考えてなくて、今の方が投資意欲があるので実感として捉えることができたからかな。

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著者プロフィール

1991年上智大学理工学部卒業後、旧三菱銀行に入行。9年間勤務した後に退職後、米国インディアナ大学ケリースクール・オブ・ビジネス(MBA課程)修了。帰国後、日産自動車株式会社に入社。財務部にてキャッシュマネジメント、リスクマネジメント業務を担当。2007年より旧ブーズ・アレン・ハミルトン(現:PwCコンサルティング)にて企業戦略立案、実行支援等に携わる。2009年に同社を退職後、コンサルティング会社である株式会社オントラックを設立し、企業の投資判断基準、撤退ルールの策定支援、財務モデリングの構築、トレーニングを実施している。
著書に『道具としてのファイナンス』(日本実業出版社)、『ざっくり分かるファイナンス』(光文社新書)等がある。

「2021年 『実況!ビジネス力養成講義 ファイナンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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