ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751036

作品紹介・あらすじ

砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」。その前に突然現れた不思議な少年。ヒツジの絵を描いてとせがまれたぼくは、ちいさな星からやってきた王子と友人になる。王子の言葉は、ずっと忘れていた、たくさんのことを思い出させてくれた。「目ではなにも見えないんだ。心でさがさなくちゃ」。

感想・レビュー・書評

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  • 砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」は、小さな星からやってきた王子と友達になる……。

    いわゆる『星の王子様』です。原題はこちらのタイトルの方が近いそう。
    児童文学というカテゴリではありますが、どちらかと言うと「かつて子供だったすべての大人へ」というメッセージが強い気がします。
    小さい時も読んだことがあるのですが、その時は正直よく分からなかった。

    優しく柔らかい語り口なのに、孤独を感じる不思議な話。
    私は幼少期、子供同士で遊ぶというよりは大人に囲まれて育ったので、言葉は伝わっているはずなのに意図が通じない、子供だけが感じ取れるような半空想の世界を伝えられないもどかしさと常に隣り合わせにいたのですが、その感覚を思い出しました。
    特に、冒頭の「ぼく」が描いた絵を見せる場面が特にその印象が強かったです。

    本当に大切なものは目に見えない。有名なセリフですが良い言葉です。
    反物質主義思想とでもいうのか。物や金や数字、目に見えるものしか信じられない、ノルマや時間に追われ、金銭で簡単に手に入る贅沢に溺れている大人になった「わたし」へ、かつて子供だった「わたし」からの言葉のようにも感じます。

  • 「星の王子さま」を含めて、初読。
    聖書と資本論に次いで多くの翻訳がなされた本、とのことで、納得の名作。

    数多い印象的な場面の中で、お気に入りは、

    冒頭の、ヒツジの絵を書く場面で、なかなか王子のOKが出ないので、(一休さんのように)、箱の絵を描いて、「きみのほしがっているヒツジはこのなかに入ってる」と、やったら、王子が顔を輝かせて喜ぶ場面。

    あとは、(以下、抜粋)

    23
    「こんにちは」と小さな王子がいった。
    「こんにちは」と商人がいった。
    それはのどの渇きをしずめるという、あたらしい薬を売る商人だった。週に一粒、その薬を飲めば、それでもう何も飲みたくなくなるのだそうだ。
    「どうしてそんな薬を売ってるの?」小さな王子はたずねた。
    「ずいぶん、時間のせつやくになるんだよ。専門家が計算してみたんだ。そしたら、毎週五十三分のけんやくになるらしい」
    「その五十三分をどうするの?」
    「好きなように使えばいいさ・・・」
    小さな王子はつぶやいた。(ぼくだったら、もし五十三分つかえるなら、どこかの泉まで、ゆっくり歩いていくだろうなあ・・・)

    26
    「きみが夜、空をながめるとき、どれかの星にぼくが住んでいて、そこでぼくが笑っていると思えば、きみにとっては全部の星が笑っているようなものでしょう。きみがもてるのは笑うことのできる星なんだよ!」

  • 心の内を分かち合う相手のいない人びとが孤立したまま宇宙にちらばり、あるいは砂漠を彷徨っている。
    可愛らしい王子さまの冒険だけど孤独なお話。
    だからこそ、なついた薔薇やきつねは特別な存在。
    だらかにとっての特別ってだれかにとってのなんでもない存在。

    ボアが猛獣をのみこもうとしている絵。
    ボアが象を消化している絵。 
    想像力って生きるうえで糧になるなぁ。

    大切なことは目に見えない。

    有名すぎる本の光文社古典新訳ちいさな王子。
    知ってるようで知らない忘れてるおはなし。

    人生に大切なことがつまってる。

    わたしたち大人は、赤ら顔さんというおじさんだなぁ。いつもやってるのは足し算ばっかり。目の前のことばっかりで反省。

    今読んだきっかけは、この作品を題材にした哲学対話に参加するためです。発言はむずかしいけど世界観には浸れれば嬉しいなぁ。

  • 星の王子様は何度か読んだけど、イマイチ理解できなかった。この本の訳者の講演を聴きこの本を読んだ。ようやく理解できた気がする。

  • 小学生のとき読んだきりだったのを再読。当時この本の内容が分かった気がしなくて、「こどもむけのこんなにゆうめいなほんなのに」といぶかっていたのだけれど、これは大人向けの本ですね。「お花」と王子が完全に女らしく男らしく振る舞おうとするカップルなのにびっくりした(王子がいたいたしい… 「お花」ったらほかにやりかた知らんのか)。

    今回一番心に残ったのはキツネとのやりとり。大事な人に対してどうすればよいのかわからなくなってしまったとき、原点に立ち返るための言葉が書かれているように思った。関係が変わったとしてもそれまでの絆が消滅するわけじゃなくて、それがどういうふうに存続し光を放つのか。普段考えないけれど、ときどき思い出せたらいい。

  • SL 2023.2.24
    何年振りに読んだだろう。
    野崎歓先生の新訳。
    作者自身のことや時代の背景を知って読むと、ほとんど何も知らないで読んだ時とは全く違う景色が見える。
    ハッとさせられる言葉がそこかしこに。
    子どものためのファンタジーでありながらこの孤独感はすごいな。

  • これは大人のための本だ。子供のときに見えてた、考えてたことが、大人になって見えなくなっている、忘れていることに気付かされる。
    最後のやりとりは十分に理解できていないけれど、肉体的な苦痛と精神的な苦痛を経た別れだったのだろうか。

  • 「大切なものは目には見えない」有名な言葉だが、その後に続く「心で探さなきゃ」の方が心に響いた。死んだら星になるとよく言うが、そんなことは大人になったら信じてはいないが信じたいと思うこどもの心を持っていても損はない。関係ないが「神は乗り越えられる試練しか与えない」この言葉もその後に続く「逃れる道も備えている」が大切だわなとふと思う。生きることはいいことばかりではないが、逃れる道を死とするならば、帰るところ(星)があり、たったひとつの花も待ってるかもしれぬのだから、心安く生きていけばよい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/742357

  • 私は内藤濯訳で育ったので、“ウワバミじゃないの!?”からのスタートでした

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著者プロフィール

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。1900年6月29日、フランスのリヨン生まれ。
幼少の頃より飛行士に憧れてその職につく。飛行士と兼業して、飛行士の体験をもとに『南方郵便機』、『夜間飛行』などを発表。
第二次世界大戦中、亡命先のニューヨークにて『星の王子さま』を執筆し、1943年に出版。同年軍に復帰し、翌1944年7月31日地中海コルシカ島から偵察飛行に飛び立ったまま、消息を絶つ。
その行方は永らく不明とされていたが、1998年地中海のマルセイユ沖にあるリュウ島近くの海域でサン=テグジュペリのブレスレットが発見される。飛行機の残骸も確認されて2003年に引き上げられ、サン=テグジュペリの搭乗機であると最終確認された。

サン=テグジュペリの作品

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