悪意の迷路: 日本ベストミステリー選集 (光文社文庫 に 6-45 日本ベストミステリー選集)
- 光文社 (2019年5月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (826ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334778477
感想・レビュー・書評
-
国語辞典並の分厚さ!
これが全部“悪意の迷路”に迷い込む、出口のないイヤミスの集合体だったら、なんだか日常生活にまで影響が出そうだなー、と恐る恐る読み始めた。
…と思ったらタイトルにそういう意味は無かったらしい。
アンソロジーでなかったら読まなかった作家も何名か入っていて、しかし、全部の作品が面白く、いろんな味が楽しめた。
『願わない少女』 芦沢央(あしざわよう)
漫画家を志した少女達。
最近、この作家の叙述ミステリに騙されたばかりだけど、またやられた。
もっと読みたい。
『ドレスと留袖』 歌野晶午(うたのしょうご)
まあ、奥さんと愛人天秤に掛けて、サイテーな男ね!
…と思っていたら、やられた。
『不適切な排除』 大沢在昌(おおさわありまさ)
「父はCIAに殺されたのかもしれない」と友人が相談してくる。
『うれひは青し空よりも』 大山誠一郎(おおやませいいちろう)
戦時中の、儚い乙女心。
謎を解いて、更に切ない。
『憂慮する令嬢の事件』 北原尚彦(きたはらなおひこ)
シャーロック・ホームズの、語られなかった事件を創作する…という作品か。
『シャルロットの友達』 近藤史恵(こんどうふみえ)
警察犬をリタイヤした、大きくてお利口でおとなしい女の子。読んだことある。
次回作は出ないのかな?
『水戸黄門 謎の乙姫御殿』 月村了衛(つきむらりょうえ)
水戸黄門のパロディであり、現代の作家生活のパロディであり。面白かった。
『パズル韜晦』 西澤保彦(にしざわやすひこ)
若者たちが額を突き合わせて謎解きをする、というシチュエーションは好きだ。
セルフパロディも。
『魔法使いと使者からの伝言』 東川篤哉(ひがしがわとくや)
軽い!ええー、それって魔法でいいの?!と突っ込みつつ、これが持ち味。
『潜入調査』 藤田宜永(ふじたよしなが)
昔のドラマの再放送を観ている感じ。
人情派の探偵が、すこし暗くて粗い画面のなか、足で調べる。
『屋根裏の同居者』 三津田信三(みつだしんぞう)
個人的に、名前を見るだけでホラー!なイメージがあった作家さん。
語り口も江戸川乱歩風の、レトロミステリ。
最後が怖い。え?どういうこと?
『優しい人』 湊かなえ(みなとかなえ)
キャンプ場で遺体が見つかった、という始まりに、読者はそれぞれの想像をする。
“証言”その後半に女性の語り、という形式で、勝手な想像が段々と正されていく過程が見事。
『永遠のマフラー』 森村誠一(もりむらせいいち)
戦時中ならではの数奇な出会いと再開。こんなお話もいい。
『背負う者』 柚月裕子(ゆづきゆうこ)
窃盗でつかまった少女の事情を、家庭裁判所の少年事件調査官補佐の若者が、迷いながら解き明かしていく。
『綱渡りの成功例』 米澤穂信(よねざわほのぶ)
読んだことあり、内容も記憶に残る。
太刀洗万智が登場すると、旧知の人に会った気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリアンソロジー。どれも面白かった。ちょっとイヤミス多め?
特に湊かなえさんと柚月裕子さんのは、読んでイヤというか切なくなる…。 -
図書館で借りて読んだ。
アンソロジーが好き。ひとりふたりくらいのお気に入りの作家が入っていればなお良い。これはミステリアンソロジー。気に入る短編ミステリーにはなかなか出会えない。特にミステリーファンという訳でもないので、更に期待値が高いせい。今まで読んだことのない作家の作品を読めるのがアンソロジーの醍醐味だが、今回は新規お気に入りを見つけることはできず、残念。それでもまたアンソロジーを手に取ってしまうだろう。 -
なんのかんの言って、日本のミステリ・ベスト集は、結構おもろい
え?こんな作家が、こんなに渋い展開?とか発見もある
むか〜し、新本格とか論争やってた頃はつまらなくなりかけてたけど、
持ち直した
思うに こういのはミステリーとは言わない、とか、
これはSFとは呼べない、などと言い出したら、衰退するんだよね
茅田砂胡が例のシリーズでSFと言えない!とバッシング受けたと後書きで書いてた
SFはわりと衰退したかも、、、つまんないことに拘ったせいカナ? -
単なる推理ものにとどまらず様々な謎解きのアンソロジー。
『水戸黄門 謎の乙姫御殿』は作者が楽しんで書いたんだろうな。
『背負う者』は印象深かった。