あしたの星 (日本橋牡丹堂菓子ばなし(八))

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334792343

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  • 愛嬌のある小萩から目が離せません。
    3年前に鎌倉のはずれの村からやってきて、お江戸日本橋の二十一屋という菓子屋で働く小萩19才は、つきたてのお餅のようなふっくらとした頬に黒い瞳、小さな丸い鼻。美人ではないが愛らしい顔立ちの娘だ。少しずつ菓子を習い、この夏には注文を受けて、その人にあった菓子を考える「小萩庵」の看板を出させてもらった。
    二十一屋は、けっして大きな店ではないが、大福から風流な茶席菓子まで扱い、味と姿の美しさには定評がある。西国の大名、山野辺藩にもお出入りを許されている。

    とうとう小萩の思いが通じて、同じ店の職人伊佐と相思相愛になる。店の皆にも報告して交際が始まる。次は、祝言だと言われ。小萩の顔が笑顔で一杯になる。伊佐は、小萩と相談しないで自分で考えたことを親方やおかみさんに言う。あとで聞いた小萩は、違和感を覚える。小萩は、菓子作りを続けたいが、伊佐は、菓子はほどほどにして家に居てほしいようだ。小萩は、これでいいのか……。

    4話の物語の中で「相生の松のなぞ」では、思わず涙が出てしまいました。離れていても父娘は、父娘です。ここぞという時に娘の背中を押す父のありがたみを……噛みしめます。

    【読後】
    展開も早く、心がほっこりと温かくなります。
    お店の皆の思いやりが、小萩を温かく見守り、笑顔が出てきます。

    あしたの星ー日本橋牡丹堂菓子ばなしシリーズの8作目
    2021.08発行。字の大きさは…中。2021.10.21~22読了。★★★★☆
    幸多かれと願う飴菓子、「相生の松」のなぞ、留助とぺんぺん草、鶯が招く春、の短編4話。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【バックナンバー】
    日本橋牡丹堂菓子ばなしシリーズのバックナンバーは、私の本棚より「タグ」→「タグの一覧を絞り込む」に「中島久枝」と入力。または、その中から中島久枝を探してください。そうすると著者中島久枝さんの本が一覧表示されます。
    私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2021)で登録しています。たまにシリーズ名でも登録もします。例えば「風烈廻り与力・青柳剣一郎」などです。

  • 日本橋牡丹堂シリーズ第八弾。
    師走から元旦、梅の時期へ。伊佐と両想いになった
    小萩の心の揺れと日々を、季節の移ろいと共に描く。
    幸多かれと願う飴菓子・・・松屋のご隠居の気がかりは、孫娘。
      恋しい相手は何者か?そして迎える元旦に伊佐は・・・。
    「相生の松」のなぞ・・・手習所の主人が、出た家に残る娘たちに
      贈る菓子は相生。菓子に託す父の想いと娘たちの心情。
    留助とぺんぺん草・・・つわりのお滝のために、なずなを探す留助。
     協力する小萩は、百薬園での出会いで大事な人を失う心を知る。
    鶯が招く春・・・鶯合わせの菓子を依頼され、悩む小萩だが、
      それ以上に小萩庵の行く末が心にのしかかってくる。
    内緒にしても狭い見世の中ではわかってしまいますね~。
    あっという間に婚姻への道を歩む、小萩と伊佐。
    その冬から春への中で、小萩は、家族や家庭についてを考えます。
    子への想いや病で愛しい人を亡くすことの悲しみ。
    そして、話を聞く、話をする、そして行動することの大切さ。
    その中から大事な事を選り分け、理解すること。
    まだまだ足りないことだらけだけど、小萩は成長しています。
    今回は、大晦日までの菓子屋の繁忙ぶりや武家のしきたり等が
    分かって、知識の面でも楽しめました。
    また、密やかに暗躍する勝代の動向は、次巻の布石かも。

  • 2021年8月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ8作目。幸多かれと願う飴菓子、「相生の松」のなぞ、留助とぺんぺん草、鶯が招く春、の4つの連作短編。小萩のお菓子創りに伊佐は障害になるの?。という心配を吹っ切る皆の後押しが心強いです。

  • 幸多かれと願う飴

  • 今回も小萩は、一生懸命。

  • 結婚には横やりが入るものさ

  • 伊佐と小萩はお堅いというかのんびりしているというか…まわりがどんどん世話を焼きたくなるのわかる
    家族になるうえで色々と会話が足りていなくて不安になっていた小萩、自分がどうしたいかを伊佐に伝えられて、受け入れてもらえて良かった
    お絹ちゃんは、おっとりしていても自分の願いを叶えていく小萩をうらやましく感じたんだろうな

  • 女性が自分のやりたいことをやり続けるって難しいことよね。

  • 小萩の仕事量は独り立ちには程遠く、看板を掲げているとはいえない状態なのに仕事と家庭の両立テーマは正直?でした。
    伊佐と所帯を持った後でも今の仕事ぶりならあまり問題にならずにやっていけるでしょう。
    所帯を持って小萩の店が軌道に乗って稼ぎが独り立ちできるほどになってから考えればいい話なのでは?としか思えませんでした。

  • 202112/シリーズ全8巻まとめて。江戸の菓子屋が舞台というのも好みだし、読みやすく面白かった。主人公が、菓子に見せられ鎌倉で旅籠を営む実家を飛び出してきたわりには、菓子への情熱や職人としてのひたむきさがあまり感じられないのでそこは残念。でも職人らしい気難しさもありながら気のいい菓子屋の面々や、我が道をいく呉服屋の女将お景など、周囲の人々の描写も魅力的で、楽しく読めた。

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