身の上話

著者 :
  • 光文社
3.43
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感想 : 231
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926717

感想・レビュー・書評

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  • 2010/04/17

  • 静かに怖い。夫の語り口で妻の転落人生が綴られます。殺人に関係している二人が偶然に出会っちゃったり所々作られた感はありましたが面白かったです。

  • こういう、語り口調の小説は好き

  • はじめは、お騒がせ女のミチルにあきれてしまって、おもしろくないからやめようかとも思ったけど、事件が動き始めると、夫の思わせぶりな語り口にもつられ、その世界に引き込まれた。なぜ、夫が妻の出奔の顛末を語るのかという疑問が最後になって解ける。登場人物たちの印象が、読後も、重く尾を引いて残った。好きな話じゃないけど、佐藤正午はうまいなぁと思う。

  • 夫の口から語られる妻の身の上話。
    会社から制服姿のまま駆け落ち、
    同僚から頼まれた宝くじ購入と嘘。
    転がるように最悪の状態へ進む様子が恐ろしい。

    地元の恋人久太郎が
    どうしてもハイキングウォーキングのQ太郎に変換され
    困ったー。

  • 身の上話 佐藤正午さん ★★★


    この主人公の流され方に、自分は違うと言い切れますか。人間・人生の不可思議をとことん突きつめる、著者の新たな代表作の誕生。 (「Book」データベースより)



    お初の作家さんです。

    一気に読んじゃうような読みやすさがあり、読み始めたら、この不思議な展開に流されつつ、あれ~あれ~とお思いながら読み終わっちゃいます。

    ところどころ、「えっそれはないじゃろ~」と突っ込みたくなる場面もありましたが、じゃあ、私はこの主人公のように流されないでいけるのか・・・・と問うと、自信はないですね。

    本当にさらっと書かれているのが、かえって怖い。

    特に後輩の竹井の存在は・・・・・いったい何者?

    優しい顔、穏やかな物腰、でも考えていることは本当につかめない。

    一番気をつけなっちゃいけない存在かも・・・・・



    人生ってこんなものなのかも知れないですね。

  • 姉に紹介されて読みました。
    主人公にドコまでもイラッとする話でした。
    そして現実的には有り得なさ過ぎてしらける部分も。
    最後まで読み続けるのは結構大変でした。

  • たからくじが当たる話。
    まあ面白いかな。
    現実味はまったくないけどね。

  • どんでん返しこそないものの、楽しめた
    不倫と2億円当選というなかなか経験できないことの擬似体験

  • 母親が図書館で借りてきて激賞だったので、読みました。
    合間に読んで2日で読了できるボリュームなり。
    表紙の装丁が、タイトルと著者名が同じ大きさなので、
    非常に気になります。
    裏表紙は、リュックを背負った女性の顔が描かれていて、
    ボブとは言えない奇抜な髪形って、こーゆーのなのか???
    と思います。
    だいたいにおいて、
    「放心」
    がフックになっているのですが、
    「放心」の在り方というか、「放心」する精神性というか
    現代のゆとり世代女性の主体性の無さや、
    傷つきやすさの表象ですね、はいはい。
    と言いたくなる気持ちよりも、
    どうしてもやっぱり、村上春樹のサードスペースの影響
    という風に感じてしまう春樹読者でした。

  • 若い女性がたどる身の上話はころころ転がるミステリー。久しぶりのイッキ読み。

  • 主人公の性格に 少しイラッとしつつも

    時々は しっかりとした常識的なところもありと
    共感できる部分もあったりもした

    現実は小説より奇なり

    フィクションという一部分の中でおさまっている
    そんな簡単には。。。とは思う部分と
    たしかにねっと思える分

    先が気になるように 一気に読み進められました
    主人公の境遇が 息詰まるところがあり
    読んでいる自分も 息詰まるような気分。。
    読み終えて なんだかぐったりする そんなお話でした。

  • 「ジャンプ」以外読んだこと無い
    しかしいろんな意味で「切り捨てる」ことが明確すぎて、それ以上踏み込みたく無かったんだよね

    しかしコレは評判になっていたので気になる

  • 凄かった。なんとも刺激的な話だった。身の上話というから、聞いても仕方ないような、愚痴交じりのどうでもいい話くらいに考えていた。退屈かもしれないなぁ、と。ところが読み始めたら、驚いた。どうにもソワソワして落ち着かない。心臓も再三鼓動を高めたし。その上、イライラも押し寄せ、嫌悪感さえも湧いた。でも、読むのはやめられない。こんな小説も珍しい。佐藤正午さんの作品はこれが初めてだ。でも、この作品を読んでその才能を思い知った。物語は、かつて海辺の田舎町で書店員をしていた妻の半生を夫が語ったもの。23歳の頃の彼女は、ひとから「土手の柳は風まかせ」みたいと評されていたが、まさにその通り。地に足が着いていないような、どこかだるそうな女性。その彼女が店の上司や友人の同僚3人から宝くじを買ってきてほしいと頼まれた。買ったはいいが渡さないまま、東京に帰る不倫相手にくっついて、一緒に東京に行ってしまう。ここから、彼女の波瀾万丈の半生が始まる。この物語を語っている、現在夫である男と出会うまでの半生である。この半生がまさにサスペンスなのである。彼女が手に入れたもの。幸か不幸か? もし自分だったらどうする、と想像しない読者はいるだろうか。もし想像するなら、この身を持ち崩していく「身の上話」は身に沁みる話だ。身の置き所のない人生を見せられる。身につまされた。

  • 脚本家の中江有里さんお勧めの本。

    じわじわーと、心にサラッと沁みてくる。

    こういうことが運命っていうなら

    運命って、当然のように、自分にもあるんだろうなぁ。

  •  書店員の古川ミチルは昼休みに空港へ。そして東京へ帰るという不倫相手を見送るだけのつもりが勢いで一緒に飛行機に乗ってついていってしまい、そのまま仕事をほっぽりだしてしまった。同僚に頼まれた宝くじの買物もそのままに・・・。心配し、そして自分勝手な行動に怒る同僚や家族、地元の恋人からの電話にもろくに出ず、東京で生活しようと決めるミチル。しかしながらあっというまにお金も底をつき、頼れるのは不倫相手でもなく、東京にいる幼馴染みの男だけ・・・そんな時、なんと頼まれて買っていた宝くじが、2億円の当選券であることがわかる。

     最初はとにかくこの主人公・ミチルの行動が突拍子もない常識はずれな行動ばかりなので、不思議ちゃんの話なのかなぁと(苦笑)。しかしながら宝くじが当選した後は悪知恵を働かせ、計算・計算の行動に早変わり。物語がすすむと、ミチル以上によくわからない危険人物が登場、まさかの殺人事件まで。とにかく先が読めないので、次へ次へとページをめくる手がとまらなかった。先が読めないというのは、この物語が”ミチルの夫”を名乗る男の目線でずっと描かれていることが大きいだろう。物語を読み進めていく過程では、このミチルの将来に結婚して幸せな未来があるようには到底思えないのに、語り手はまさかの”夫”。うまいなぁ、と思った。

  • 身近にある 罪 の許容範囲は何処までなのか?をリアルに考えさせてくれるとても素敵な本でした。

  • 何ともあと味の悪い話だ。登場人物の誰一人、共感が出来る人が出てこないし、特に主人公(実は彼女じゃないのか?)の無責任さ、無計画さ、全てにおいてだらしなさ、身勝手さ。もううんざりするほど。作者によるとデビューから25年、「面白い小説を、まともな文章で書きたいだけ」と気合いの入ったものらしいが、奇抜な事柄を安易に並べただけなのでは、と偉そうにごめんなさい。

  • 2月16読了

  • 三人称で書かれた女の話。
    地方都市に暮らす普通のOLが不倫相手の後を追って上京してしまう。事件は女が出発間際に空港で買った宝くじが2億円に当選することから始まる。元手は同僚から預かった金。当選がばれると取り上げられる。周りの人間を不審の目で見てしまう。そのうち女の周りで殺人事件、失踪事件が起こり始まる。
    最終章は三人称が一人称に変わると、語り部さえも過去を負っている。
    なんともスゴイ話でした。

  • 淡々とした語り口でこの物語は進行します。
    さてこれからどうなって行くのでしょうか、ただならぬ興味と第三者の好奇心で次々と読めてしまうお話でした。

  • 内容はともかく、さいごまで一気に読んでしまった。
    エンターテイメント性が秀逸。

  • 2010/1/18 読了(2010-003)

  • 地味な書店員古川ミチルの破天荒な振る舞いから始まる転落人生 お金 騙しあい 逃走劇 殺人 様々なものが入り混じり複雑に絡む半生を彼女の夫が淡々と語るという構成 最後ちょっとしたどんでん返しあり ラストはページをまくる指が止まらなかった

  • おもしろい

  • 私はこの小説を読む間中「運命」という言葉を思いうかべていました。
    この小説の主人公"古川ミチル”の流され方には、単に流されていると片付けられない事情があります。
    「あぁ、そうなってしまうよなぁ」と思ってしまうような状況がそこにあるのです。
    もちろん違う道を選ぶこともできたはずです。
    しかし、自分が違う道を選ぶだろうかというと自信が持てない。
    ミチルと同じ道を選んでしまうのではないかと、いやきっと同じ道を選んでしまうと思う自分に愕然とする。
    読み終わって、しばらくして小説の世界とある程度距離をおくと、やっぱり違う道を選んだだろうと思うのですが、
    小説を読んでいるあいだは迷いながらもミチルと同じ選択をしてしまう。
    このあたりが佐藤氏の巧さだと思うのです。これこそ小説。これこそミステリだと太鼓判を押したい。

  • 一気に読めた。
    ミステリなのかな?その辺は微妙ですが
    嫌われ松子の一生系ですか。
    ラストがちょっと急ぎ足感が否めなくて残念。
    もう少し丁寧に書いてくれれば
    最後の一言がとても響いたかな。

  • これは・・・。どう評価していいのかさっぱりわからない。この主人公のミチル。なんなの?さっぱり自分が無いし、ハチャメチャ過ぎ。そりゃ、こういう転落人生になるわなぁ…と、なんか堂上すらできなくて、はぁ?という終わり方でした。どうなるのか気になってガンガン読んだものの、時間を損した気分もあり…。良かったような、合わなかったようなよくわからず星3つ。

  • 推薦者の言うとおり、読み出すと止まらない。
    最後はプチどんでん返しもあり、楽しめた。
    自分もあの年頃で主人公のミチルのような状況に陥ったら、あれよあれよと同じように転がっていくんじゃないかと思えた。

  • この方の作品、初めて。
    最初はなかなか進まなくて、眠気に襲われたけど、後半は早く先を読みたい気持ちになった。

    ストーリーはすごく面白いと思う。
    サンダル履き(ではなかったけど)で飛行機に乗っちゃうみたいな破天荒さも。
    でも最後までミチルには好感が持てなかったな~。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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