- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396617523
作品紹介・あらすじ
鹿島茂 楠木建 成毛眞
出口治明 内田樹 磯田道史 高橋源一郎
知の巨人たちが選んだ
今“読むべき"ノンフィクション
鹿島茂氏と各章のゲストが、
ときにははみだし、ときには関連書籍を出しながら、
深掘りの読みを展開。
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感想・レビュー・書評
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1.自分の読書方法と何が違うのか、何処まで思考の差があるのか、着眼点として、どのような部分があるのかを知りたくて読みました。
2.きっかけを作った鹿島氏と6人の方と対談し、自身のおすすめの本を紹介しながら「現実世界でどう活かせるのか」について述べている本です。
鹿島氏と対談している著者たちは自身で何冊も本を書きながら、現実でも第一線で活躍されている方たちです。そのような方たちが対談形式で話すことで、本とは違った形で考えを述べております。おすすめの本ということで、自分の過去を振り返りながら述べているため、著書とは違う面白さが出てきます。
3.著者達の読書法、深掘り法を想定していたので、全く違う内容が書かれていたことに驚きました。ただ、読んでいて気づいたのですが、読書方法を紹介している本はごまんとあります。そのうえで、本書で6人から読書法をかいつまんで説明されても、ありきたりな内容にしかならないと思いました。本書では、おすすめの本をテーマにし、著者達が自由に話し合っていることで、言葉にできる凄さを感じました。私にとっては、各々が紹介している本のジャンルが苦手で、本の内容はほとんど頭に入っておりませんが、現実で活かすためにどこを見るべきポイントにしているのか、どういう考えをしているのかを学べたことがとても勉強になりました。 -
ただただ圧倒された。知識と読書量が人並み外れている人同士の対談だ、と。今まで読んだ書評本の中でも飛び抜けて良かった。
各章を読み、最後に抱いた感想は、「ここまで深く読み込んで、初めてその本を読んだと言える」ということ。わたしは乱読してしまうから、これからは少しずつでも、一冊の本を深堀りする読み方をしたほうがいいと思った。
読むとは考えることであり、考えるとは比較するということ。比較とは、差異と類似を見出すことであり、縦軸なら歴史、横軸なら人文地理学および旅行だ、という言葉が印象に残った。
p77
キャプテン・クックが白人として初めてオーストラリアに行って、「これはなんという動物だ?」と聞いたら、アボリジニが「俺は知らない」という意味の現地語で「カンガルー」と答えたという話。
p78
僕は大学時代に、長谷川先欣也生のチョーサーの中世英語の音韻論的研究という授業を受けたんです。中世のチョーサーの音韻をどうやって調べるのかというと、『カンタベリーテイルズ』で韻を踏んでいる言葉を比較検討するんです。つまり最後の言葉と、頭韻、つまり文の最初の言葉は詩(歌)なら綴りが違っても音は同じはずなので、そこから昔の言葉の音を復元するんですね。そういうふうに音を復元する学問があるんです。
p115
哲学というと、何やら深遠な難問と向き合うようなイメージを持つ人が多いのですが、その根本は「思考のルール」です。物事を考えるときにはいろいろなルールがあって、問題によって「それはこういうルールで考えるのがベストだよ」というものがある。そういう点で、哲学は論理学と微妙に重なる部分もあるんですが、孔子はそれをやりました。
p137
この本を読むと何がすごいかって、マルクスの抽象化能力の素晴らしさに驚嘆します。目の前にあるトリヴィアルで具体的な政治状況を見て、頭の中で普遍性のある図式を描ける人なんです。そういう人が書いたものでなければ、フランスのわずか三年間の政治状況をジャーナリスティックに分析した本など、すぐに読み捨てられてしまうでしょう。
p173
ユゴーは「小ナポレオン」と言うけれど、個人をいくら罵倒してもなんの意味もない。個人ではなく構造を抽出することに意味がある、と言うんです。二度起きたことは三度でも四度でも起こるのだから、それを止めるには構造に注目して、起こらないようにしなければいけない。その構造というのは、いわゆるボナパルティズムのことです。革命があると必ずその反動がくる。一種の右派ポピュリズムですね。この意味で左派政権や革命政権が興った後の反動の行く末は、マルクスの構造分析でだいたい読めてしまうんです。
p175
しかしその一方で、ナポレオン三世はパリに流れてきたワーグナーに「タンホイザー」というオペラを上演させたりもしました。ワーグナーはおかげで大オペラ作家になれたんです。印象派の画家たちを復活させたのも同じ時期でした。マネをはじめとする印象派の人たちが国家主催の展覧会サロンに落選して困っていたので、「それなら落選者展をやってみなさい」と助言してやってみたら、俄然、印象派に注目が集まるようになる。
p207
これはいつも学生に言っていることですが、考えるとは何かというと、最終的に比較することしかないんです。比較とは、差異と類似を見出すこと。そして、その差異と類似を見出せるのは、縦軸の移動なら歴史学、横軸なら人文地理学および旅行だけなんです。
p234
ところで、ルース・ベネディクトの『菊と刀』という本を読めばわかるように、開戦後すぐにアメリカは人類学者を総動員して日本を研究をしていました。 -
ここまで読むかというよりは、こういう読み方もあるんだなということに気付かされるというか。もちろん、それぞれの本を読むのに前提となる知識だったり経験だったり、何より興味が持てないとこういう読み方はできないだろうな。
中では磯田さんとの会話が一番面白かったかなと。あと9条入門の高橋さんとの会話も面白かった。 -
元々は磯田先生の本を読みたいから、こちらを手に取ったのですが…。
ここで紹介されていた本、どれも面白そうなものばかり!読みたい本が一気に増えて、嬉しい悲鳴をあげています。 -
Netflix、ナポレオン3世の本は面白そうなので読むことにしました。
・フランス60進法の解釈→遊牧民
・オペラ座は第二帝政様式→なるほど -
『ALL REVIEWS』という書評サイトの有料会員向けの企画にて、主催者の鹿島茂とゲストによる対談書評が基になった本。
掲載されているゲストは、楠木建、成毛眞、出口治明、内田樹、磯田道史、高橋源一郎と、本屋でも著書は平積みされるような著名人ばかり。
書評に取り上げられる書籍は、ビジネス書、歴史書、古典等の所謂ノンフィクション系。
ホストである鹿島茂の専門はフランス文学者というと肩書だそうだが、多彩なゲストと毎回繰り広げられる対談内容は、知識、分析、見解がとにかく幅広いジャンルでいて濃密。凄い人だ。正にタイトルに偽りなし。
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p33 マネーカルチャー 間違った友人を作るよりも正しい敵を作るほうが有用だ
p53 成功はゴミ箱の中に -
対談者に人を得て、過激に語ってくれている。この人は、こんな事を考えているんだ。という発見は、楽しい。
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知識・見識が読書を通じて縦の時間軸、横の世界観に広がっている方々の対談を読んでいるとこちらまで楽しくなった。
読む、そして考える事の大事さ、楽しさが知れる本です。