ナイフをひねれば (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488265144

作品紹介・あらすじ

「われわれの契約は、これで終わりだ」探偵ホーソーンに、彼が主人公のミステリを書くのに耐えかねて、わたし、作家のホロヴィッツはこう告げた。その翌週、ロンドンで脚本を手がけた戯曲の公演が始まる。いきなり酷評する劇評を目にして意気消沈するわたし。ところがその劇評家が殺害されてしまう。凶器はあろうことかわたしの短剣。逮捕されたわたしには分かっていた。自分を救えるのは、あの男だけだと。〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズの新たな傑作登場!

感想・レビュー・書評

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  • ★5 そんなとこに重要な手がかりあったの?! 重厚で高品質なドエンタメミステリ #ナイフをひねれば

    ■あらすじ
    ホロヴィッツが舞台の脚本の仕事を取り付け、まさに今日が舞台の初日。満席の大喝采で舞台が終了し、役者や演出家たちと打ち上げパーティーに参加する。劇の評価が気になる関係者たちだったが、一番に出た劇評ではひどい酷評がされており、一同は完全に激怒。しかし翌日、その劇評家が死体で発見されてしまい…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    はぁ~悔しい。今回も見抜けなかった…

    かなり情報は出ていて、たぶん犯人と動機はこういう繋がりなんだろうというのは予想がつくんですよ。でも、これだっ!という手がかりがワカンナイ。そして肝となる仕掛けの部分も閃かない…

    終盤の解法パートで明かされる数々の種明かしが、これまた納得なんですよ。だからこんなことになっているんだ!という腹落ち感とか、「えええぇっ、そんなところに重要なヒントが忍ばせてあったの?!」という伏線がエグイ。そりゃ面白いわ。

    今回のお話、まさかのホロヴィッツが〇〇されちゃうんですよ。正直、爆笑しました。ミステリーとしては中盤までは比較的シンプルな進行でわかりやすく、後半から徐々に人間関係が混沌としてきて、ミステリー味が倍増していきます。

    本シリーズは毎回そうなんですが、登場人物たちの設定や描写が最高なのよ。相変わらずホーソーンとホロヴィッツの価値観のズレ具合が酷く、でもお互いなくてはならない相棒という、まるでコントみたいな関係性。
    刑事たち厭味ったらしくは迫ってくるし、被害者の特徴もありありと伝わってくる。容疑者たちも背景や人間味がたっぷり描かれ、みんな犯人に見えてきちゃうんです。これでいつも煙に巻かれるんだよなぁ

    そして事件の真相ですよ。当初からは思いもよらなかったところに着地するんです。一見腹立たしい事件だったはずが、こんなにも切ない想いに包まれるとは…

    毎度のことですが、最高のドエンタメ本格ミステリーです。本作も本年度の海外ミステリーのトップレベルに違いない。はぁ~面白かった。

    ■ぜっさん推しポイント
    本作、ホロヴィッツ脚本の舞台演劇に対する劇評部分があるんですが、皮肉っぷりがめっちゃ面白いの。私もこんな感じで書評を書いてみようかしら。まさか殺されちゃうかも…(私にそんなに影響力はない)

    あとやっぱり現実のホロヴィッツが書いた舞台や映像作品を見てみたり、日常をもっと知りたくなっちゃいますね。ファンとしては現実と創作の狭間を追ってみたくなります。まだまだ続くホーソーンシリーズ、これからも目いっぱい楽しみたいです。

  • うひゃ~、こりゃすごいわ!
    まさしく至極の一品
    またまた年末の各種ミステリーランキングを席巻すること間違いなしです

    本格推理モノとしての作りが完璧なのは言うまでもないんですが、その辺りも含めた程よい「ベタ感」が気持ちいいんですよね
    安心感が半端ないんです
    ミステリとしては予想外の展開なんですが、小説としては予想通りの展開なんですよ
    伝わるかな
    もう最初から最後までセオリー通りに進んでるのに、「驚き」がこれでもかってくらい襲い掛かかってくる
    なんでこんなことが出来るんだろう

    そしてこのシリーズの最大の面白味はホロヴィッツ本人の間抜けっぷりなんですが、ここも磨きをかけてきてほんと凄い
    もうちょっとイラッとするくらい間抜け
    小説家なんて自尊心高いと思うんでよくもまぁ自分をこんなに貶められると感心しちゃいます

    またこれは絶対に確信犯だと思うんですが、ホロヴィッツのホーソーン評ってかなりネジ曲がってるんですよね
    もちろんホーソーン側にも問題あると思うんですが、読者はとっくに気付いてるんですよ
    なんなら認めようとしないだけでほんとはホロヴィッツも分かってるんですよ

    ホーソーン…友だち想いのめっちゃいい奴

    • ひまわりめろんさん
      僕人見知りなんで無理です
      僕人見知りなんで無理です
      2023/10/26
    • 1Q84O1さん
      人見知り…(・・?ハテ
      どの口が言ってますの!
      人見知りから一番遠い人間でしょ!w
      人見知り…(・・?ハテ
      どの口が言ってますの!
      人見知りから一番遠い人間でしょ!w
      2023/10/26
    • ひまわりめろんさん
      (⁠~⁠‾⁠▿⁠‾⁠)⁠~
      (⁠~⁠‾⁠▿⁠‾⁠)⁠~
      2023/10/26
  • 面白かった!シリーズ中一番好きかも。舞台を酷評した評論家の殺害容疑で逮捕されたホロヴィッツ。ホーソーンに捜査依頼し真犯人を見つけるべく一緒に聞き込みに。癖ある登場人物やタイムリミット、ホーソーンの謎など予想以上の楽しさ。

    • koalajさん
      111108さん
      おはようございます。
      いつも”いいね”有難うございます。
      111108さんのレビューを見て
      あ、これ面白そう!と手にとりま...
      111108さん
      おはようございます。
      いつも”いいね”有難うございます。
      111108さんのレビューを見て
      あ、これ面白そう!と手にとりました。
      このシリーズ、というかこの著者の本は
      初めてだったのですが痛快ですね!
      すごく楽しめました♪
      ありがとうございました〜。
      2024/02/11
    • 111108さん
      koalajさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます♪レビュー取り上げていただきありがたいです。
      この本楽しいですよね!ミステリーと...
      koalajさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます♪レビュー取り上げていただきありがたいです。
      この本楽しいですよね!ミステリーとしてはもちろん、ホーソーンとホロヴィッツの掛け合いが絶好調で、ホーソーンがホロヴィッツにつれなくするほど私は笑えてきちゃいました。前作ネタバレなしで作品に触れられてるのもいいですよね。ぜひ2人の出会いから読んでみてください♪
      2024/02/11
    • koalajさん
      111108さん
      お返事ありがとうございます!
      そっかぁ〜2人の出会い、気になりますぅ。
      111108さん
      お返事ありがとうございます!
      そっかぁ〜2人の出会い、気になりますぅ。
      2024/02/11
  • ホロヴィッツの念願叶い、自身が脚本を手掛けた「マインドゲーム」がロンドンのヴォードヴィル劇場で公演されることに。
    ところが、初日の公演後程なくして絶大なる影響力を誇る劇評家ハリエットの酷評記事を目にすることになる。
    関係者達は初公演後の気の高ぶりにより劇場の休憩室で内輪パーティを催していたところだったが、冷水を浴びせられた形になり散会。
    そしてお決まりごとかの如く翌日発見されるハリエットの遺体。

    第一容疑者は酷評を呼んだ張本人でもあり、記事の中で責任を負う者と名指しされたホロヴィッツ。
    凶器はおろか動機、遺留品、監視カメラの映像までもの不利な証拠が揃っており、やや強引にではあるが留置所で一晩明かすはめに。
    そこへ現れる救世主、物語冒頭で4作目以降の執筆契約を巡り仲違いしたはずのホーソーン。

    相変わらず本心の見えない独特の間合いをもつホーソーンと、終始そわそわ落ち着きのないホロヴィッツのコンビ。
    この2人の掛け合いが楽しくて、読み心地抜群。

    関係者の一人一人を追っていく過程は意外と直線的ではあるが、明かされる断片的な情報だけでは、ぼんくらな自分では全くもって全貌を構成出来ない。
    大団円にて明らかになった一連の「何事も見かけ通りではない」的複雑な結びつきに、なるほどー。
    冷静に考えると、偶然に偶然が重なるくらいの結びつきのようにも思えるのだが、まぁいいんです。
    そんな突っ込みを入れるのは野暮ってもので、ただただ受け身にその展開とツイストに流されていくのがこのシリーズの楽しみ方。

    ちょっとずつ明らかになっていくホーソーンのいわくありげな過去と現在も、この先に向けての良い誘い水。
    いゃあ、安定だわ。

  • 2022年 原題”The Twist of a Knife”
    ブク友さんのレビュー「面白かった!癖ある登場人物やタイムリミット、ホーソーンの謎など予想以上の楽しさ」を読んで手にとりました。
    ご紹介ありがとうございます!

    この著者はしばしば名前を見かけ
    気になってはいましたが初読みです。
    この<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズは
    本書が第四作目とのこと。
    前を読んでいないけど充分楽しめました!
    冷淡に振る舞いながら実は温かいものを秘めた
    ホーソーンの独特のキャラが好き。
    日本語訳も小気味よくピッタリはまってます。
    イギリスの探偵物は痛快、最高ですね!

  • 同時並行できない不器用な自分はある試験勉強が終わったので、やっと読書ができるようになり積読してたこれを読みました。
    やはりアンソニー・ホロヴィッツの推理小説は安定した面白さだね。
    ホーソーンが何者かまた少し見えてきました。
    まだまだシリーズは続くようで楽しみです。

  • どちらかというと「ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ」よりも「アティカス・ピュントシリーズ」の方が好みなのですが、今回は大変楽しめました。
    ホロヴィッツの独白・語りがストーリを進めていくのは毎回のことですが、今回は自身が容疑者となり逮捕までされてしまうので、ますます絶好調というか愉快です。書いてる本人も楽しいだろうなあ。
    ホロビッツを毎回読み終わるとシェークスピアをちゃんと読んでおかないと、演劇を勉強しなうといけないなと思います。

  • 前作から引きずる不信のためかホーソーンとの契約を終了する事を告げて彼の元を去ったホロヴィッツ。しかし翌週、自分の戯曲を初日に酷評した劇評家が刺殺され、凶器に指紋がついている等の証拠が出てきて逮捕されてしまう。しかも逮捕したのは因縁のある警官達。この危機を覆せるのはホーソーンの能力だけ!という事で前言撤回して助けを求めるホロヴィッツが身も蓋もなくていい。しかしホロヴィッツ逮捕の過程、私怨入ってないか?証拠安直過ぎないか?48時間という期限がある中相変わらず淡々と聞き込みをしていき、解決編で舞台に容疑者を集めてさてといい、の構成が王道で楽しい。今回は見落とした悔しいポイントもあったし。前作揺らぎがあるように思えた骨組みがまたしっかり組まれていたのは嬉しい限り。そしてホーソーンの私的な謎も少しずつ明らかになってきてどう着地するのか気になる。

  • 気持ちよさと面白さの一冊。

    皮肉にも別れを告げたばかりのホーソーンにまた復縁を迫ることになろうとは。
    あらぬ容疑で逮捕された冷や汗ホロヴィッツ。

    こういう展開といい所々、皮肉がピリッと効いているコミカルさが今作は実に面白かった。

    犯人としての決定的証拠がぞろぞろ、絶体絶命ホロヴィッツ。
    光が見えるどころかますます暗雲状態は気の毒だけど面白い。

    ホーソーンはやっぱり神。

    こうも鮮やかに全ての伏線をしかるべきところに収納してくれるとは。

    全ての帳尻が見事に合った眺めは実に気持ちが良い。
    やっぱり一枚上手のホーソーンににやり。

  • しまった!
    シリーズ1作目の「メインテーマは殺人」、2作目の「その裁きは死」を読んだ後、3作目の「殺しへのライン」を吹っ飛ばして、4作目の本作を図書館で借りてしまった。
    作中で3作目の内容への言及が多くないことを願いつつ読み始める。結果としてその点はほとんど心配不要であった。
    まず、タイトルだが、
    1作目→word
    2作目→sentence
    3作目→line
    といった感じで、小説(文章)にかかわる言葉を織り込んできたので、今回の
    4作目→the twist of a knife
    はどういう意味?と不思議に思い、辞書を調べたが、特にあてはまる意味はなさそうだが。
    作中では、もうネタ切れだというような記述だけど、今回は凶器がナイフでそれに関わる謎という意味で「ひねる」すなわち文章をひねるで掛け言葉になってるのかなぁなんて思ったりしたんですが、これは全くの的外れなんでしょうか。

    内容としては、とても面白かった。
    特に今回は、ホロビッツ自身に容疑が及び、あのグランショー警部に逮捕されることになり、いつも以上に緊迫感あふれる展開となった。
    一時保釈後に、ホロビッツとホーソーンの2人で関係者への聞き込みを続けるが、ホーソーンはいつものごとく、途中では全く解決の糸口をつかんだのかも明らかにしてくれない。
    ずっと、ホロビッツのハラハラ感がすごく伝わりどんどん読み進められる。
    最後は、なるほどと納得。
    最後の謝辞もふくめて、やはりホロビッツはうまい!と感心してしまう。
    ホーソーンの秘密も少しづつ明かされろのも興味深い。
    このシリーズは、現実と虚構の人物、テレビドラマなどが入り混じっているので、これが妙なリアル感を味わえる。途中、何度も登場する名前、ドラマ、映画の作品名を、ネットでググるのも面白い。

    あー、まだあと3作はシリーズ続くのだと嬉しくなった!
    とりあえず、次回は、飛ばしてしまった「殺しへのライン」を読むとしよう。

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著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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