英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ウ 21-1 ファージング 1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488279059

感想・レビュー・書評

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  • 創元推理文庫に属しているので一応ミステリーとして登録しておくが、ミステリーの部分は正直うーん……といったところ。少なくとも、犯人にたどり着くまでの道のりは凝っていないので(むしろシンプルかつ真相発覚があっけない)、これは捜査の過程を楽しむより、やはり歴史改変の面を楽しむ本かもしれない。実際、そちらのどっしりした設定がミステリー部分のつたなさをかなりカバーしているように感じた。ナチスと手を結んだイギリスが今後ファシズムのほうにぐぐーっと傾いていきそうな展開はおおいに興味をそそられるので、いずれ次巻も手にとりたいと思う。ただ、同性愛設定の登場人物が多すぎるので、生々しい描写こそほとんどないものの、そういうのが苦手な人は注意が必要かも。

  • 2013/05/17読了

  • 2010年に出会ってから何回読んだことか...私の好きな英国・階級社会・歴史・推理が詰まった小説。さすがに、これは読んだっけ??とはならない1冊

  • 歴史改変三部作の第一作。ナチスドイツが消滅せず、英国と友好関係を結んでいるという設定。ミステリーとしては今一つ。終わり方も今一つ。三部作だから?次も読んでみないといけないかな。

  • 海外ミステリにはまるきっかけになった三部作です。
    実際に英国内ではナチスドイツと講和条約を結ぼうとする声もあったとか。
    よく練られた世界観にどっぷりとはまりました。

  • 『ファージング』3部作の序曲を飾るにふさわしく、貴族の典雅な朝の諍いから物語の幕は開く。舞台は第二次大戦でナチス・ドイツが消滅しなかったパラレルワールド。ヨーロッパ大陸ではユダヤ人に対するジェノサイドが公然と大規模に行われており、イギリスでも、暴力的ではないものの、公然と差別が行われている。物語の骨子は、ナチスとの単独講和を成功させた「ファージング・セット」と称される貴族を中心とした政治グループ内の権力闘争に絡んだ陰謀について、一族のはみ出し者の娘が日記調に綴るパートと、それを捜査するスコットランドヤードの捜査官の記録とのアンサンブルで協奏される。件の陰謀は、松本清張『日本の黒い霧』でなされるのと同様、権力によって事実を歪曲され、犯人が捏造され、捜査官が明々白々の真実を提示しても隠蔽を強制され、ユダヤ人の銀行家と結婚した娘の不条理な逃走劇へと切り替わる。表現は簡潔で味気ないとも取れるのだが、端々で的確に描写される女性像には考えさせられる。人種差別とジェンダーはいまだに西洋社会の重要問題だということか(本書も有色人種について言及していない点は不十分だと思う)。『ミレニアム』と同様のテーマを扱っているように思うが、こちらのほうが娯楽に徹している。余談だが、娘の逃走劇のくだりはシャーロック・ホームズのデヴュー作『緋色の研究』の中盤を思い起こさせる。素晴らしい!

  • ナチスと英国が講和を結ぶという歴史改変ミステリですが、イギリスの上流階級の生活に見とれているうちに、次第に引き込まれていき、いつしかどっぷり浸かっていました。ルーシーの運命にハラハラし、カーマイケル警部補のことも気になります。絶対三部作を読みとおすのだ、という気になりました。

  • ファージング3部作の1作目。
    何の前情報も無く読み始めたけど、イマイチ盛り上がりに欠けるような感じでした。

    時代背景についてはふ~ん何か関係あるの?ってレベル。

    が、すべては2巻目・3巻目の布石なのでがんばって読みましょう

  • 歴史改変ミステリ三部作の第一作。
    1949年ナチスと講和条約を結んだイギリスを舞台に、権力者の館で起こった議員の殺人事件を描く。
    事件を捜査するスコットランドヤードの警部補と、この世界ではイギリスでも迫害されているユダヤ人と結婚した館の令嬢の二人の視点で物語は進んでいく。
    最初はクリスティによく見られる上流階級の屋敷での殺人のようだが、中盤以降は歴史改変の設定が生きてきて、事件の背景にあるファシズム台頭への恐怖がこみ上げてきた。後味は非常に悪いが、大変面白い小説であることも確かで続きが気になる。
    今回登場した人物たちは、二作目以降も出てくるのだろうか。

  • この本を歴史改変SFと見るか、それを前提としたミステリと見るか意見が分かれるところだろう。
    少なくともこの第一部(本書は三部作の第一部)を読む限りは、ミステリ要素よりは、歴史改変物の側面が大きいと感じた。
    一応謎が提示され、かつその謎解きもされるのだが、謎が解かれることによるカタルシスは一切感じられない。
    その点では、「高い城の男」や「ファーザーランド」のように体制に抑圧される個人という図式が当てはまるかもしれない。
    正直なところ、本書の訳者あとがきには三部作全体にまつわるネタバレのようなことが載っていて、興が削がれる。
    しかし、最後まで読めばミステリとしてのカタルシスを得られるであろうことを期待して次作を読んでみようと思う。

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