英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ウ 21-1 ファージング 1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488279059

感想・レビュー・書評

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  •  ドイツに屈した英国のその後…という仮想歴史に興味を持ち、ジョー・ウォルトンなら間違いないだろうと踏んでいたのだが、期待は裏切られなかった。
     一巻もそろそろ終りというところで、二・三巻の紹介を読んで、主人公がラストではSSの隊長となっていると知り、変節していくのか…といささかしょんぼりして(諦念かな?)いたのだが、作者はそんな方ではありませんでした。失われたもの・手放したものを思えば決してハッピーエンドとはいえないけれど。
     邦題も上手いが、三部作の原題も上手い。つい実際のコインを手にしたくなり、コインのアクセサリーなどをネット検索したが、ファージング等に出会えないでいる。かつて英国を旅したときに、購入しなかったことが悔やまれてならない。(色をつけてレジンを流し込んだペンダントを売っていて、ファージングと6ペンスを天秤にかけ6ペンスに絞ったのだ。両方買えばよかった…)

  • イギリス貴族階級物って好きです。2巻目以降がとても楽しみ。

  • 第二次大戦下。ドイツと和平を講じたイギリスで甲斐議員が殺される。
    犯行現場は国家の中枢にいる人物の邸宅。ヤードの警部補・カーマイケルが捜査に乗り出すが…。

    歴史改変モノ。
    とりあえず話しに絡んでくるのはユダヤ人が迫害されていることだけ。なんて思っていると、あれよあれよという間にきな臭くなってくる。
    死体の第一発見者が黙秘していたり、死体に謎なメッセージが残されていたり、フーダニットモノとしてよく出来ているのだけれど、それがまさかあんなオチになるとは!
    これ、ミステリの衣を纏って、戦争に巻き込まれていく一人の警察官の苦悩を描いていくんだろうなあ。
    続編が楽しみな、そうでないような。

  • いわゆる歴史改変モノで、ナチスと講和を結んだイギリスが舞台、っていう。ほとんど予備知識がなくて、大森望さんの「ユダヤ警官同盟+高慢と偏見」っていう書評の、「高慢と偏見」ってところに惹かれて読んでみたわけだけど。確かに、主人公の女性が語り手となる部分は「高慢と偏見」ぽさもあっておもしろかったんだけど、やっぱりイギリスの政治部分がわたしには難しかったようで、ちょっと読みづらかった。あと、一応ミステリのくくりみたいで、実際、殺人事件の謎解きなんだけど、それよりも、ユダヤ人迫害がテーマの小説っぽくて、最後のほうは読むのがけっこうつらかった。具体的な迫害場面とかがあるわけじゃないんだけど、イギリスがそういう社会になっていくところがなんだかすごく悲しくて。読み終わってため息が出たり。でも、三部作全部読むつもり。

  • 萌える海外ミステリ・ベスト5(執筆者・図子 慧)
    http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20101026/1288051277

  • 「俺自身が、生きるためなら妥協を辞さない人間であることがわかった。そしてなにより、たった一枚のファージング銅貨で買えるものなど、なきに等しいことがわかった」

    どんな話なんだろーって全然理解せずに読み始めた。。
    ら、なんとパラレル歴史モノ!?といって良いのかしら。
    歴史が変わってたイギリスの話しだったー。

    とにかく登場人物が多くって、
    似た名前が多くって、、、
    誰が誰だか段々分からず、、、って部分もあったけれど、
    後半ぐらいからは、理解して、ちゃんと入れたかな。

    3部作だそうなんですが、、
    1作しかないんですけど、、続き読めるのでしょうか。
    そして、あの刑事さんは悪者をやっつけられるのかなー。
    その点はかなり気になったのでした。

    とにかく敵がでかすぎて、ふ、、ふーーん、、、としか言いようがない。
    これは2部3部読んでいけば、いいのかな。
    刑事が1人であくせくしているぐらいでまだ、敵にとっては取るに足らない存在なんだよねぇ。
    どうやって追い詰めていくのかしら。。。

    【10/23読了・初読・先生蔵書】

  • 歴史改変三部作の第一部。
    ヨーロッパはほぼドイツ帝国の支配下となり、1941年にいち早くドイツと講和したものの、ユダヤ人差別が浸透しつつあるイギリスが舞台となっているが、そういったことはあくまで背景設定としてやんわり提示されるのみで、話はごく狭いエリアで進行する。
    それが上手い。
    ただ、これだけではまだ評価できないので、☆印は三作読み終わったらつけます。

  • ナチス・ドイツと講和条約を結んだイギリスが舞台の歴史改変ミステリ三部作の第一作。

    イングランド政界の一大派閥を築く家系にありながらユダヤ人と結婚した女性の視点と、その派閥内で起こったある殺人事件を捜査するスコットランドヤードの警部補の視点で物語は交互に語られてゆくが、一個人による視点の限界によってか、最初はとても狭い領域で話は進む。

    しかしながら、殺人事件の真相が明らかになってゆくにつれて現れてくる巨大なものの影が、登場人物のみならず読む側にも薄気味の悪さとともに迫ってきて、続きを読まずにはいられなくなってくる。

  • 歴史ifといえる作品であるが、単なる偽史の創造にとどまるような小説ではない。極めて鋭利な洞察に貫かれた重厚な作品。

    歴史を語るのではなく人物を主眼に置くことによって、本作の事件をきっかけとして大きなうねりに押し流されていく登場人物たちのやるせなさと苦さに満ちた幕切れが際立っている。素晴らしい。

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