- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488745011
感想・レビュー・書評
-
はまらなかった。
おぉ、キタッ!てなる手前で離れていく感じ。もう少しなんだけどな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなかアイディアに富んだ短編集だが、ちょっと当たり外れがあるかな。それでも全体的な雰囲気は嫌いじゃないです。理系的な話が多いので知識がある人にはより面白いのかも。
-
大学の研究室を舞台にしたSF短編集ですが、SF要素は少し不思議という程度。物語は可もなく不可もなくという印象ですが、ポスト探しや論文執筆に追われる研究者の世界と彼らの心境をかなりリアルに描いているのが面白い。この作品で、秀逸だと思ったのは、法律で一定期間内に論文を出さなくては失職してしまうという設定。実際にはそんな法律はないわけですが、現実の特に若い世代の研究者の現実をかなりリアルに反映していると思う。
研究テーマは突飛ですが、研究背景や研究手法を真面目に描写することで陳腐にならなくなっているのもよい。
「代書屋ミクラの幸運」と「不可能もなく裏切りもなく」の二編が好み。 -
決闘で夭折した数学者とかレポーター遺伝子で科学賞とか、実在の科学の延長線にある世界観と、主題が、SFよろしくトンデモ科学ではなく、研究室でのいち風景というのが面白かった。それだけに「へむ」だけが浮いていた気もする。
-
SFレーベルから出てて表題作は創元SF短編賞受賞も受賞しているようですが、中身はSFというか”理系学部におけるちょっと不思議な物語”という感じです。理系大学生や大学関係者っぽい考え方や議論、生活の様子が自然に書かれている。
-
SFレーベルから出てて表題作は創元SF短編賞受賞も受賞しているようですが、中身はSFというか”理系学部におけるちょっと不思議な物語”という感じです。理系大学生や大学関係者っぽい考え方や議論、生活の様子が自然に書かれている。
-
市内に点在する大学の理系研究室でおこるミニストーリー。ちょっと怖いようなSF集。
著者は東北大学理学部卒の理科女。大学も絶対東北大学がモデル。もしかしたら、ご自分の関係者がモデルだったりするのかなあ? -
ガチガチの理系SF。
北の街にある古い国立大学が舞台。モデルは作者の母校の東北大と仙台の街だろう。
6つの短編はそれぞれゆるやかに繋がっている。
『あがり』
信奉する研究者の追悼のため、とある実験に没頭する友人を見守る女性研究者。
私の脳みそが足りないせいかよくわからなかった。
『ぼくの手のなかで静かに』
30前なのに薄くなりつつある髪の毛と体重増加に悩む数学者が主人公。
冴えない彼が本屋でばったり出会った女性に一目惚れをし、数学を教えることで彼女と仲良くなる。
そしてとある実験結果に基づいたダイエットをはじめる。
急転直下の展開だったが、実験結果と彼の恋愛を上手に絡めていてなるほどだった。
『代書屋ミクラの幸運』
博士号取得者は3年以内に1本以上、論文が学術誌に掲載されないと追放という法律ができてから、論文の代書業がもてはやされるようになったという設定。
大学を卒業後代書屋となったミクラが、定年間際の文学部教授の代書を引き受ける。
数理社会学社の教授が編み出した運・不運の法則通りに、ミクラは様々な幸福と不幸に襲われる。
非常に救いのない話だった。
女は怖い。
『不可能もなく裏切りもなく』
論文提出期限が迫っている中、精神的な問題で論文を書けない友人と共同執筆に取り組むことを決めた主人公。
主人公は論文を書く担当、友人が実験をおこなうことになる。
最初から破滅的な結末は匂わされていたのだが、バッドエンドまでのルートが意外だった。
『幸福の後を追う』
動物実験用のしまりすに恋をした学生の物語。
シュールな設定だけれど、大学時代を思い出し身につまされる思いが。
『へむ』
変わり種の一編。
絵を描く事以外に無関心な11歳の男の子が、転校生の女の子と親しくなる。
大学の地下通路をめぐるふたりの冒険。
最近軽やかな文章ばかり読んでいたせいか、きちきちした情報量の多い地の文がとても疲れた。
SFの上に生理学的な内容も読者に説明しなくてはいけないせいでどうしても説明的になってしまうし。
ロジカルな話が好きな人には面白いと思う。
ファンタジーではないSF、特に理系要素の強いものはあんまり好みじゃないかなと改めて思った。
http://www.horizon-t.net/?p=1013 -
人物の名称以外のカタカナを徹底的に排除して語られる<北の街>の話。異世界感が漂うけれど、実際は漢字が違うだけで地名の読み方や巻末地図上の配置は全く実在と同じ。いや、『ゆきわたり』が実在するかどうかは知らないけれど。
物語はというと、身近な業種のため荒唐無稽な感じがしてしまうけれどもまあ「お話」だからそんなもんかな。それに全体に流れる寂寥感みたいなものは嫌いじゃない。というかむしろいい感じ。
ミクラと同じ町に住んでいた身としては今後も彼らの物語を読みたくなってしまうのだ。 -
自然淘汰のあがり現象、若返り、幸運と不幸の予測、遺伝子間領域による種の分化など。奇想も織り込まれつつ、「北の街」の大学を舞台に理系の研究者たち生態が描かれる。/論文は科学的根拠のある物語だ、お話をつくるように書け、とはトキトーさんの言だ。ただし形容詞はいらないぞ、かわりに数値をつかえ。必要のない言葉は一語たりとも混入させるな。たやすく理解できるように、かつ、まったく誤解できないように表現しろ。p.141/昔のえらい人もいったじゃないか。涙とともにあんみつを食べた者でなければ人生の味はわからない、と。あんみつじゃなかったかもしれないけれど。p.157/「だが、彼にかんしては一時しのぎにすぎない・今回はきみが助けてやってもいいが、いずれ彼は、自分で自分の問題を乗り越えねばならない。それができなければ」p.190/二回登場する、百歩七?派の盛衰、鎖につながれた暴走する靴職人の評伝、二十世紀の前衛美術運動その六 青色夢幻派、といった書物たちの意味するところは?あとがきに書かれていた、ほけかんの先生の描写をめぐる、背後に横たわる大ネタとは?と読み解けないところもあったけど、それを置いても、楽しめた作品集。作中の登場人物を主人公とする「代書屋ミクラ」にも食指がうごく。