- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532314781
感想・レビュー・書評
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ロバート・ラスムセンがRTSの位置付けを説明するときの図と、ほぼ同じ図で、経営戦略論を分類し、解説がなされている。RTSが既存の戦略理論とどのように関連しているのか、考えて位置付けたい人におすすめです(ただし本書にはRTSそのものはでてきませんのでロバートの図と重ねて自分で咀嚼する必要があります)。
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学術的な本だと思っていたが、読み物としてもおもしろかった。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA91706967 -
経営戦略の考え方、planning/emergence/positioning/resorces/games
→考え方。として知っておくと良い
副題の時間展開、相互作用、ダイナミクスの通り、複雑かつ不確実なビジネスで戦うための経営戦略思考法を解説している。すごいまとめ。
アカデミックな文体なので、とっつきづらい感あり。
二章は飛ばし読みした。→再読したい
p293 企業レベルで多様性→産業レベルで同質化。企業レベルで差別化→産業レベルで多様化。
意思決定フレームワーク。ゲインは保守的、ロスは一か八か。株式投資とかでもよく言われるよう、人は損切りがうまくできない。
未来思考の意思決定。過去の努力などの埋没費用を考慮しちゃう[苦労の過剰正当化]
もっと色々ありましたが、記憶に残ったところだけ列挙 -
沼上さん、良いなあ。学者らしい論理を重視した語り口は読んでいてある意味気持ちいい。頭をしっかりと使って読むと、使った分だけ理解が進む気がする。こちらの頑張りに対して決して裏切らない。
戦略論というものはもちろん学問なのだが、優れた戦略論の教科書を読み込むということは、一種のエンターテイメントになるということを改めて認識した。 -
小田さんの「学習する組織入門」の参考文献にあがっていたので、読んでみた。
「経営戦略」論は、昔、いろいろ読んでいたが、ロジカルな分析にもとづく事前の戦略策定の限界があって、結局のところ、RBVとか、創発戦略みたいな話になるんだよね、ということで納得して、それ以上、経営戦略を深めようという気持ちにはならなかった。
そういうなかで、久しぶりの「経営戦略論」である。
これが、本当に面白かったな。
第1部が経営戦略論の歴史みたいな感じで、5つの学派にわけて紹介してあるのだが、この切り口が素晴らしい。ミンツバーグの「戦略サファリ」は、10個に分けていたのだが、この5つで十分だし、その位置関係がとても分かりやすい。そして、これが単なる復習におわらず、これまでの戦略論が、時間的な展開とか、相互作用みたいな観点がなかったという話になる。
おお、そうそう、そこに不満をもって、シナリオプランニングとか、システム思考という方向にわたしは興味の方向を変えたんだ。
で、第2部では、いよいよ時間的要素や相互作用を織り込んだ「思考法」。要するに、システム思考なんだけど、通常の因果関係の時間的展開を考えるものに加えて、関係者間の相互作用なども考えるもの。つまり、場と時間をしっかり考える動的な思考法。事例として上がっているのは、結構、単純なものなんだけど、でもそれは後知恵で、そのとき、その場にいた人は、そういうことになかなか気付かないんだよな。
そして、第3部では、第2部の「思考法」をベースに、行動経済学やゲーム理論の成果を取り入れながら、さまざまな経営戦略論の定石的な考えを検証していく。そして、なんで、誰も望まないのに、こんなことになっちゃうのなパターンを読み解いて行く。ほんと、「あるある」です。ある意味、会社でよくある「システム原型」と言ってもいいかも。
これは、ちょっと知らぬ間に「経営戦略論」に、いろいろな進化が起きていそう。しばし、この辺の本を読んでみようと思った。
ちなみに、この本、写真からは分かりにくいけど、装丁が和のテイストもはいった素敵なものです。そういう意味でも、いい感じだな〜。 -
経営戦略を理解するために勧められて読んだが・・・。自分の興味の方向性の問題だと思うので,★の評価は控える。
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著者の本は何冊か読んだことがあるが、殊にこの本はとても面白く重要なものであった。前半は経営学の学派について述べており、さして興味が無いので却下。
この本で面白いのが、第II部 戦略思考の解剖―メカニズムの解明、である。昨今の経営戦略学の傾向として、「時間展開・相互作用・ダイナミクス志向」が見られるという。
この議論のために、まず、経営戦略の思考法として、
(1) カテゴリー適用法、
(2) 要因列挙法、
(3) メカニズム解明法、
を挙げる。
カテゴリー適用法は、「ある現象をより大きなカテゴリーの一員に位置づけることで説明できると考える思考法」(P.151)である。要因列挙法は、「ある現象の原因となる要員を網羅的に検討する」(同上)である。そして、メカニズム解明法は、「様々な要因や人々の行為と相互作用に注目し、時間展開の中でこれらが複雑に絡み合う様子を解明する思考法」(同上)である。
メカニズム解明法は、「時間展開・相互作用・ダイナミクス志向」に対応するもので、このメカニズム解明法を使いこなすことが、今後のために必要だという事が良く分かった。
但し、メカニズム解明法は、カテゴリー適用法を実施し、要因列挙法を用いて考え得る要因を出して初めて実施できるものである。また、メカニズム解明法は長い時間と深い思考が必要である一方で、カテゴリー適用法は説明が容易かつ短い時間で出来るため、決してメカニズム解明法は万能ではない。
以上に気をつけつつ、しかし、メカニズム解明法による思考を続けていきたい。