三題噺 示現流幽霊 神田紅梅亭寄席物帳 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562046959

感想・レビュー・書評

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  • またまた落語+ミステリーを堪能させてもらいました。ずっと続いてほしいな〜☆

  • 待望の神田紅梅亭シリーズ最新刊。ついに馬春師匠の独演会実現へ!収録は「多賀谷」「三題噺 示現流幽霊」「鍋屋敷の怪」そして「特別編」の三篇+一篇。「多賀谷」は小手調べ的に軽く流して表題作「示現流幽霊」と「鍋屋敷の怪」は大かがりな仕掛けでたっぷり聴かせてもらえます。いったい何の「特別編」なんだろう?と思ったら、見事な謎解き。読後感が気持ちよかった。

  • 落語とミステリの融合が素晴らしい、シリーズ第4弾。今回はなんと新作の創作落語も登場します。そしていよいよ師匠が復活……か!?
    お気に入りは「鍋屋敷の怪」。これはもしや吹雪の山荘?な展開もミステリファンとしてはわくわくものなのですが。……馬春師匠があまりに素晴らしすぎますわ! まさかあんなことをしちゃうだなんてねえ。笑いが止まりません。
    特別編にもじーんとさせられてしまいました。構成だけを見ると、なんだかおまけのような位置づけにも思えましたが。実はこの部分が真髄かも。深いなあ。

  • 待望の...本当に楽しみにしてた神田紅梅亭〜シリーズの4作目。
    今回はなにせ馬春師匠の待望の復活高座をメインに
    そこに至るまでのストーリーが展開されます。
    前半戦のいつも通りの高座、落語、寄席にまつわる謎を
    主人公である「福の助」とその師匠「馬春」が解決。
    そしてその解説は、落語にて一件落着というスタイル。

    表題作の三題噺〜は愛川氏自身による創作落語を
    基本に書かれているんですが、この噺自体がかなりの
    良作です! 認知症の「文吉」師匠の噺もいい感じですが、
    やはり「福の助」アレンジによる示現流幽霊のほうが
    現代アレンジかつ、分かり易いユーモアでサゲまで含め
    素晴らしいです!

    更に最終話は...もう涙と笑いと驚きが交互にやってくる
    まさに落語エンターティナー小説の真骨頂。伏線の張り方、
    そしてその回収は作中の落語にかかっていて、本当に
    見事としかいいようがないです。「馬春」師匠の
    茶目っ気と、髄まで芸人らしさといい、そして何より
    その照れ屋だけど、優しい人柄にニンマリです。
    良かったなー。本当にいい結末です。

    更にはおまけの特別編での演出お素晴らしい!
    最後の最後、最後の3行に...堪えていた涙の
    防波堤決壊です。心からの拍手を送りたい作品!

  • あとがきで、今作でシリーズ終了を考えていたと知りビックリしたが、幸いにもまだこれからも続くことになったそうだ。
    次も楽しみ

  • ついにオリジナルの落語が出てきた。意地悪な馬春師匠も復活、めでたしめでたし。

  • ★5つ付けてしまおうかな、というくらい良かった。

    本書は「本格落語ミステリ・シリーズ」の第4弾。
    ちなみにこれまでの作品
     1.『道具屋殺人事件』
     2.『芝浜謎噺』
     3.『うまや怪談』

    4作目が出たことにはおもわず拍手!!
    その上、本シリーズでの古典の改作や、本書の新作落語を実際に高座にかけてもらうという趣向も著者は実現させ、実に愉しそうだ。間違いなく本シリーズの評判が良いからだろう。読者としてもなんとも嬉しい。

    本書の「新作」と書いたが、4作目の本書では著者の新作落語が物語の中で披露されている。装丁画がまさにそれを演じているところ。メイドがぼ〜っと立っている。落語とメイドというギャップ、唸らされる。いろんな意味で。
    今までの3作ではすべて「古典落語」が下敷きになっていたので、「新作落語」は新たな挑戦のようだ。
    悪くはないが、やはり古典の方が個人的には好み。でも、考えてみれば、古典だって初めてお披露目したときは新作か。結局は噺の出来具合が好みを左右するのだろう。長く語り継がれるかどうかが問題だ。

    本書のタイトルにある「三題噺」とは、寄席で噺家が、客席から3つの題をもらい、即席でこしらえた噺のことだ。『芝浜』なんかが有名で好きな人も多い。三遊亭圓朝が作ったといわれている名作だ。このとき出されたお題は「芝の浜」「酔っ払い」「革財布」らしい。

    本書で、ある師匠が頭をひねる三題が「上野のお山」「陰間」「示現流」で、本書で披露される新作落語。メイドが出てくる噺。演じた噺家がヒーローになるか、それとも聴いた客が疲労するか。危うげなキワモノ作品に感じないでもないがどうだろう。

    古典落語も小説も物語。どちらも面白い。不思議なのは古典落語。筋を知っているのに何度聴いてもいい。同じところで笑い、感じ入ってしまう。もちろん小説だって何度も読むことはある。でも、圧倒的に古典落語の一作を聴く回数の方が多い。人間心理を突き、それでいてシンプルなのが心地いい。笑いを誘う演出もいい。

    本書はミステリだが、殺人はない。でも、もちろん謎はちりばめられている。トリックは微笑ましく、動機は涙を誘う。人情ある、落語と小説の面白さ、そこにミステリの謎解きも加わった本書が面白くないわけがない。

    以下の古典落語を聴いてから読めば、本書の面白さがさらにアップするかもしれない。 『紺屋高尾』 『たがや』 『鰍沢』 『へっつい幽霊』 『転宅』 『雑俳』 『石返し』 『宿屋の仇討ち』 『テレスコ』

  • 2011/05/13読了

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著者プロフィール

愛川晶
一九五七年福島市生まれ。九四年『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞。トリッキーな本格ミステリーを基調としながら、サイコサスペンス、ユーモアミステリー、人情ミステリーと幅広く活躍。主な作品に『六月六日生まれの天使』『ヘルたん』『再雇用されたら一カ月で地獄に堕とされました』。落語ミステリーでは、『道具屋殺人事件』『芝浜謎噺』など「神田紅梅亭寄席物帳」シリーズ、『神楽坂謎ばなし』など「神楽坂倶楽部」シリーズ、『高座のホームズ』など「昭和稲荷町らくご探偵」シリーズがある。『太神楽 寄席とともに歩む日本の芸能の原点』(鏡味仙三郎著)では編者を務めた。

「2023年 『落語刑事サダキチ 泥棒と所帯をもった女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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