弱者とはだれか (PHP新書 83)

著者 :
  • PHP研究所
3.25
  • (12)
  • (23)
  • (78)
  • (4)
  • (6)
本棚登録 : 371
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569607269

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 当事者のことは、当事者にしか語りえないのか。普段、その問いに「イエス」と答える人は、ぜひこの本を読んでみると良いと思います。明解な答えが出るとは思いませんが、何らかの形で、考える一助になると思います。

    本文では、結構過激めいた発言もしていますが、ある意味ここまで「弱者」という言葉とその真意に切り込む人は、貴重だと思います。特に部落問題をとりあげ、「弱者聖化のカラクリ」を説いています。確かに、「弱者」とは絶対的なものではなく、相対的なものとして考える必要があるのかもしれません(著者の発言に全面的に賛成することはとてもできませんが)。

    小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』への批判は、ちょっと大人気ない批判の仕方だな、とも思います。部落解放フェスティバルの真意は、小浜氏が推察するよりも別のところにあると、僕は考えます。

    文体が気に触る人もいるかもしれませんが、参考程度に読んでみてはいかがでしょうか。

    「むしろ私たちは、障害者の人たちの共同性のなかにも、健常者の人間関係と同じ問題(人間性のマイナス面)があるということに気づくべきなのだ。皮肉な話だが、そのことは、ただ同情心、道徳心から「あの人たちだってみんな同じ人間なんだ」といった美化の感情や一般化の論理に支配されている限りは、かえって見えてこない。ある世界、ある関係が持つ個別的な複雑さへの認識を深めることを通して、ほんとうの意味での「人間的共通性」を感じ取るべきなのである。」(p162-163)

  • 全部は肯定できないけれど、こういう考え方もあるってこと。

  • 取り扱ったテーマも良いし、著者の言いたいことはわかるが、どことなく説得力に欠けてしまうところがあった。また、言いたいことにちょっと熱が入りすぎてしまったかなと思います。

  • 大人になる前に、一度考え直しても良いテーマだと思う。

  • 高校生くらいに買った本。当時はあまり納得できない点が多かったのだが…今はいかがなもんだろうか。

  • 差別的表現について研究する際に出会った本。

    「弱者」とは固定された人の性質ではなく、さまざまな観点から見ることによって、時には弱者、時には強者といったように、立場の違いは流動的なものである。

    老人は常に弱者ではないし、サラリーマンが常に弱者でもない。子供もある面では強者となる場合がある。といった具合。

    非常に読み易い。

  • 「弱者」とされる人たちは、本当に「弱者」なのか。多面的見解が必要なテーマだと認識させられました。

全39件中 31 - 39件を表示

著者プロフィール

1947年、横浜市生まれ。
批評家、国士舘大学客員教授。
『日本の七大思想家』(幻冬舎)『13人の誤解された思想家』(PHP研究所)、『時の黙示』(學藝書林)、『大人への条件』(ちくま新書)、『日本語は哲学する言語である』(徳間書店)など著書多数。自身のブログ「ことばの闘い」においても、思想、哲学など幅広く批評活動を展開している。(https://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo)

「2019年 『倫理の起源』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小浜逸郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アマルティア・セ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×