- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569607269
感想・レビュー・書評
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当事者のことは、当事者にしか語りえないのか。普段、その問いに「イエス」と答える人は、ぜひこの本を読んでみると良いと思います。明解な答えが出るとは思いませんが、何らかの形で、考える一助になると思います。
本文では、結構過激めいた発言もしていますが、ある意味ここまで「弱者」という言葉とその真意に切り込む人は、貴重だと思います。特に部落問題をとりあげ、「弱者聖化のカラクリ」を説いています。確かに、「弱者」とは絶対的なものではなく、相対的なものとして考える必要があるのかもしれません(著者の発言に全面的に賛成することはとてもできませんが)。
小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』への批判は、ちょっと大人気ない批判の仕方だな、とも思います。部落解放フェスティバルの真意は、小浜氏が推察するよりも別のところにあると、僕は考えます。
文体が気に触る人もいるかもしれませんが、参考程度に読んでみてはいかがでしょうか。
「むしろ私たちは、障害者の人たちの共同性のなかにも、健常者の人間関係と同じ問題(人間性のマイナス面)があるということに気づくべきなのだ。皮肉な話だが、そのことは、ただ同情心、道徳心から「あの人たちだってみんな同じ人間なんだ」といった美化の感情や一般化の論理に支配されている限りは、かえって見えてこない。ある世界、ある関係が持つ個別的な複雑さへの認識を深めることを通して、ほんとうの意味での「人間的共通性」を感じ取るべきなのである。」(p162-163)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全部は肯定できないけれど、こういう考え方もあるってこと。
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取り扱ったテーマも良いし、著者の言いたいことはわかるが、どことなく説得力に欠けてしまうところがあった。また、言いたいことにちょっと熱が入りすぎてしまったかなと思います。
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大人になる前に、一度考え直しても良いテーマだと思う。
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高校生くらいに買った本。当時はあまり納得できない点が多かったのだが…今はいかがなもんだろうか。
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差別的表現について研究する際に出会った本。
「弱者」とは固定された人の性質ではなく、さまざまな観点から見ることによって、時には弱者、時には強者といったように、立場の違いは流動的なものである。
老人は常に弱者ではないし、サラリーマンが常に弱者でもない。子供もある面では強者となる場合がある。といった具合。
非常に読み易い。 -
「弱者」とされる人たちは、本当に「弱者」なのか。多面的見解が必要なテーマだと認識させられました。