さらさら流る

著者 :
  • 双葉社
3.25
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本棚登録 : 1407
感想 : 203
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240528

感想・レビュー・書評

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  • リベンジポルノに悩む女性がなんとか踏ん張って前向きに立ち直るまでのお話。
    好きな作家のひとり。ですが今回は☆2つ。
    相手の男が最後までクズだしもやし。

  • +++
    あの人の中には、淀んだ流れがあった――。28歳の井出菫は、かつて恋人に撮影を許した裸の写真が、
    ネットにアップされていることを偶然発見する。恋人の名は光晴といった。
    光晴はおどけたりして仲間内では明るく振る舞うものの、どこかそれに無理を感じさせる、ミステリアスな危うさを持っていた。しかし、なぜ6年も経って、この写真が出回るのか。
    菫は友人の協力も借りて調べながら、光晴との付き合いを思い起こす。
    飲み会の帰りに渋谷から暗渠をたどって帰った夜が初めて意識した時だったな……。
    菫の懊悩と不安を追いかけながら、魂の再生を問う感動長編。
    +++

    読み始めてしばらくは、なんだかとらえどころのない物語だという印象だった。だが、暗渠をたどって家まで歩く道筋で、菫と光晴の不安定な安定とでもいうようなものが、すでにちらちらと顔をのぞかせていて、その後の展開に興味が湧いた。客観的にみれば言いたいことはいくらでもあるような二人の関係なのだが、菫の心の動きも光晴の屈託も、すんなりと胸に落ち、どうにもならない心の動きの、まったくどうにもならなさにやり切れなくもなりながら、ある意味共感を覚えたりもする。リベンジポルノ――と言っていいのかどうかはよく判らないが――が題材の一部になってはいるが、決してそれだけではなく、包まれるように守られてきた菫が、自分の脚で立つ物語とも言える。さまざまなことが象徴されているような一冊だと思う。

  • 2017 12/28

  • リベンジポルノの話だったはずが、結局、つり合わない二人の失敗恋愛の話になっている。

    家族仲良く、幸せに愛されて育った菫と、継母の愛を請いながらそれを得られず、孤独にひねくれた大人になってしまった光晴。特に光晴のだめんず振りには吐き気がする。どうして菫はこんな男と付き合っちゃったんだろう? 酔っ払って記憶をなくすなんて、そして元カノの裸の写真をこっそり保存していてそれを見せて回るなんて、お酒のせいにしても悪質すぎる。ネット上に拡散させたのが彼ではないとはいえ、責任は彼にある。

    菫は親友の百合のおかげで立ち直ったが、それも出来過ぎだし、すっきりしない。

  • 面白いのですが、なんだか元気になれない本かなぁ。
    女は結果強し!

  • 元彼の不注意からの裸の写真のネット流出.それによる精神的なダメージからの回復の物語.それと並行して付き合うきっかけとなった暗渠探索,川を遡行しての帰り道が挟み込まれ,こちらもなかなか興味深い.友達がお互いを支え合う姿が素敵だ.少しメタリックな強い目力の百合の絵を見てみたい.

  • サラサラ流る

    ある日。
    ネットで自分の昔の写真。
    裸の写真を見つける。
    大学生の時に、
    付き合っていた彼が、
    撮った写真。
    消してくれたはずの写真。
    リベンジポルノ。
    その日から、
    ビクビクして、
    周りも知ってるのではと、
    疑心暗鬼。
    家に引きこもったら
    楽になれると思いながら、
    周りの家族友達に、
    支えられ。
    でも。
    1番は、元来持っている。
    自分の強さで、
    乗り越えていく。
    負けない気持ち。
    歩み続ける気持ち。
    撮らせた方も悪い。
    いや。
    投稿した方が悪い。
    昔の彼が、
    酔っ払って、
    見せびらかし、
    タイミング悪く、
    他の人が投稿した。
    リベンジポルノ?!
    やはり、
    撮らせないので1番大事だな。
    と思った。

  • 自分は自分で頑張るしかないと思い知らされるところが好き。
    弟が結婚する年上の彼女がきて、子供の時の写真をみたいっていうシーンが辛すぎ。弟には100%の祝福をあげたい、でも自分にはやってこない幸せで、読んでて胸のあたりがくぅってなった。

  • 暗渠とか、ブラタモリみたいね、と最初は感じたんだけれど。複雑な環境で育った男と明るい家族で育った女の心理のもの。女は家族、親友により立ち直り、強くなっていく。画家はモデルに自分の姿を乱す、鏡のようだ、とのこと、自分は画家でもないけれど、いろんな面で、思い当たる、ドキッとしたなあ。
    柚木さんは『BUTTER』より変わってきたかしらん。

  • ゆっくりとした時間が流れる小説。現実離れした内容はなくどこまでも身近な言葉を重ねていく。主人公たちの会話は自分が友達と会話するよう。著書の作品のなかでベストワンです。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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