エレジーは流れない

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575243970

感想・レビュー・書評

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  • 恐らくは熱海をモデルにした温泉街に住む高校生たちの青春話。もう少し高低差とかどんでん返しがあればより楽しめたんだろうけど。結局エレジーは登場しなかった。なんだったんだろう。

  •  寂れた温泉街で、土産物屋を営む母と暮らす高校生の怜。本人も聞くに聞けない家庭の事情のもと、もやもやした気持ちを抱えつつ、進路選択を迫られている。同じ商店街で育ってきたお騒がせな幼馴染みたちに振り回されながら。そんなある日、博物館から縄文式土器が盗まれ、犯人を捕まえようと一同が乗り出す。
     温泉街の活気のなさ、将来への不安、小さなコミュニティ内での人間関係のうざったさ、と重たくなりがちな話だが、軽妙な怜のひとり語りと、お騒がせ男子高校生たちの妙なエネルギーの爆発っぷりが救う。後者の話の部分は読みながら小さく吹き出してしまうくらい。
     窃盗犯との対決の話も、少年探偵団的な荒唐無稽なことにはならないので、安心して読める。
     突き抜けるような青春、ではないけれど、地に足のついた、確かな青春の話。

  • エレジーがこうきたか!そしてそれにすべてが集結、終結するような作品。彼らの、そして我らの日常は、日常ながらやはり未来に向かって暗くはないのでは、と思える作品。

  • 古い温泉街に住む高校生たちのわちゃわちゃとした青春小説。
    母親が二人いて父親がいない。しかも生みの母がどちらかわからない、という出生の秘密を抱えた高校生、怜を中心に彼らの心の成長を見守りたくなる。
    それぞれに親や地元とのつながりをうっとうしく思いながらも地元やそこに住む人たちへの断ちがたい複雑な思いを抱えている。むなしさと慕わしさのすきまで行ったり来たり。
    ここではないどこかへ行きたいと、思う年ごろ。その気持ちがとてもよくわかるだけに、彼らのその先をいつか読みたいと思ってしまう。
    育った町を捨てるのって、本当に難しい。関係が密な町だから特に。ありがたくもあり面倒臭くもあり。
    それでもこんなにまっすぐないい子に育ってるってことはこの町はとても良い町ってことだろうな。

    そして、「迷惑なんてかけあえばいいのよ」という言葉に、きっと救われる人がいるだろう。

  • 夢も希望も特にないけれど毎日とにかく平穏に暮らしたいと願う男子高校生の怜の、愉快な友人たちや家族との青春群像劇。友人も家族も商店街の人々もみんな優しく温かい人間ばかりで素敵。他人に気を遣ってしまいがちで、自分の希望や思っていることを外に出せない怜が、自分の出生の秘密を知り、それまでごまかしていた本当の気持ちに気が付くところでは、母たちの温かさにも涙が出た。高校生でも狭い世界なりに色々重い悩むことってたくさんあるよね、、と自分の学生時代を思い出した。

  • 面白作家のしをんさんの新作なのだが、この本、なんだかなぁ…といった読了後。過去作が面白過ぎて、今作ややは物足らなさを感じてしまった。いうなれば神去シリーズの系譜だがあそこまでのときめきはない。

    田舎の寂れた温泉街が舞台。活躍するのはそこのお土産屋で母と二人で暮らす高校生の怜。なのだが月に一度、豪邸に住むもう一人の母親のところへ行くのだった。思春期の高校生男子の怜は複雑な環境ながら自分なりに納得しているのだが、出生の秘密を聞くには至っていない。気の置けない友達や商店街の人達、狭くて密な人間関係が田舎ならではでほっこり。

    餅湯ちゃんストラップ…ちょい欲しい。

  • 高校生の青春小説。
    昭和の時代にあった青春ドラマ、お茶の間劇場のようなテイストで懐かしかった!

    これをドラマ化するにしても、今の若手イケメン俳優にはなんだかミスマッチになりそう。

    著者の久しぶりの明るい作品、エッセイそのままのノリで好きである。

  • 「三浦しをん とりどりの世界を書いて」オンラインイベント視聴 サイン本

    三浦さんのサイン本入手して、もう嬉しくて開封したら、あゝ!為書が。。依頼忘れてしまったらしい。まさかって注文見直したら、入力箇所間違えてる。書店さんこのフォーム良くないです。脱力感で、数日放置。
    イベントで、この作品で普通の平穏に暮らす高校生を書いてみたくてと。高校生が全員何かに熱くなってるわけじゃない。大きな夢を抱いているわけじゃない。それは、そうねと。
    日常系の小説って読めるかな、少し心配だったけど、そこは三浦さんです。家族ミステリとゆるゆる『土偶盗難事件』が絡みます。
    たまには、こんな小説もまた良し。
    男の子産んどけば良かったとは思った。

  • たとえ作者名を隠されたとしても三浦しをんさんだとわかる。
    三浦しをんさんらしさに溢れた青春小説。

    怜の日常がいとおしく、それこそ商店街の危機対策管理室のメンバー目線で読んでしまう。
    彼らがこの先どんな人生を歩んでも、ふるさとと呼べるあの商店街があるから、きっと大丈夫なんだろうなとおもう。

    ラスト一行で、なるほどそれでこのタイトルかと腑に落ちてさすが三浦しをんさんだなーとしみじみ。

    この街にはこの先もきっとエレジーは流れないんだろうな。それがすごくいい。

  • 舞台は熱海?と思いつつ。
    温泉の商店街に育つ高校生達。
    バカな事をやって笑いこけるのはやはり男の子だねえ。。
    自分の将来も気にしながら高校生活を楽しんでいる。
    高校生という青春が眩しい。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

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