サクラサク、サクラチル

著者 :
  • 双葉社
3.98
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本棚登録 : 1554
感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246513

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいてしんどかったけど、復讐でスカッとした。親はなーんにも気付かないんだもんなあ(笑)

    本当に二人が「仲間」になれて良かった。

  • ページをめくる度、気持ちが落ち込みました。親の教育や育て方次第で子供はある程度洗脳されてしまう部分がある。親の敷いたレールにそのまま乗り、それが当たり前になってしまう怖さが隠れていた作品でしたが、男子高生と女子高生の2人の成長には本当に心が救われました。

  • 文章が綺麗でスラスラと読み進められる青春小説。
    星と出会うことで染野自身が虐待を受けていることをだんだんと認識するようになる過程がとても惹かれました。

    この小説のように、私が高校生のときに生きること向き合ってもがいて行動を起こしたかった。

  • 偏った価値観を持つ両親に育てられた子どもと母子家庭で育った子ども。
    親に愛してもらいたい!という無意識の感情から自分の置かれた状況が共依存、教育虐待、暴力、暴言、ネグレクトだと気づかず過ごして来た二人が出会い、自分を取り戻していく。
    それぞれにの親に対する復讐を時間をかけて練り、実行する物語。

    子どもは親に愛されたい!気持ちがあり、そのため親の機嫌が悪くなるのも、自分が怒られるのも全ては自分が悪いからだと思うものだと改めて感じた。 
    フィクションではあるが、現実味があると感じた。
    親への復讐の後、この二人の人生は明るいものになれば良いと思う。

  • 高校生の染野と星の物語。
    二人とも、全く違う形ではあるが、親に虐待されている。ひとりはそれを自覚し、もうひとりは自覚しないまま、辛い日々に耐えている。
    そんな二人が、ひょんなことから互いを認識しあい、痛みを分かち合いながらある復讐計画を練っていく。
    切なくやりきれないが、二人が寄り添いあえて本当によかった。
    ただ、親たちが何も変わらないのがもどかしすぎる。

  • 読み進めるのが辛い描写が多かった。

    終わりが良かったので救われた。

    現実にも高志の様な子どもは居るだろうけど、暴力やネグレクトなどの虐待と違い埋もれている気がする。

    世の中の子ども達がみな幸せにとは無理があるのだろうが、一つでも辛いことが無くなるよう祈ります。

  •  ひとりは東京大学合格のために過剰な勉強を幼少のころから強いられてきた高校男子。
     もうひとりは貧困家庭で親からはネグレクトされつつも親のヤングケアラーである高校女子。
     高3生の二人は出会うべくして出会った。
     それは世にいう「毒親」見本市のような話であり、親たちの姿には唾棄したくなるほどの虫唾が走る。
     けれど二人が出会い、お互いを客観視することにより、初めて自分達は虐待を受け続けてきたことを知ることから話は急展開する。
     それぞれの親への『復讐計画』を立案し、実行する高3生夏休み直前からの2年間にわたるの青春アドベンチャーミステリー。
     「幸せとは、自分の進みたい道に進めること。明日が来るのを楽しみに思えること」だったんだね。


    「私たちは、親を憎んでいるんじゃなくて、”愛してる”。そして愛されようとするのを止められないんだ。だって、生きるためには親に好かれないといけなかったから。母乳を飲んで、ご飯を食べさせてもらわなきゃいけなかったから。その本能は、いつまで経っても消えない。成長して親の助けがいらなくなっても、この人に愛されるなんて絶望的だと頭の片隅では分かっていても」
    「親は子をどうでもいいと思っていても、子は親を”愛する”のを止められない・・・・・・」
    「それが今日、初めて分かったよ。バカだね、私」(208~209頁)


    ――― やっと分かったんだ。人生ってさ、楽しむためにあるんだね。知ってた?
    ・・・
    ――― なんで今まで分からなかったんだろう。私たちがこの世界に生まれてきたのは、頑張るためでもなく、我慢するためでもなく、苦しむためでもなかったんだって。別にそんな思いをしなくても、人生は成り立つんだって。(245頁)


     多くの高校生が経験済みであろう心のきらめきを、最後に少しだけ味わえたことにほっとする。
     息も絶え絶えになりながら陸上競技場内のゴールに辿りつくと、白線の向こうに立っていた男性教師から、数字の書かれた水色のカードを渡された。地面に転がりたい気持ちを抑え、歩いてクールダウンしながら手元に目を落とす。僕の順位は、参加した男子生徒五百五十名ほどのうち、過去最高の三百九十一位だった。
     これまでの十七年間で取ったどんな順位よりも、誇らしかった。(247頁)


    「被害者の敵は、加害者と第三者だけだと、思ってたのにね」
     その言葉を聞いて、かつての星さんの台詞が蘇る。
    ――― 私たちって、別に望んだわけでもないのに、親のせいで絶対に『多数派』になれない。ずっと浮いたままんま。加害者に痛みつけられた被害者は、いつの間にか、第三者にまで疎まれるようになるんだよ。
     だとすれば、虐待が引き裂いたのだ。
     あんなに信頼し合っていた――一年前までは間違いなく運命共同体だった、被害者同士をも。(300頁)


    (内容説明)
     “絶対に東大合格しなさい”―それは愛、だったのだろうか。両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の染野高志は勉強漬けの日々を送っていた。
     ある日高志はクラスメートの星という少女から、自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。
    そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。
     深く共鳴した二人はやがて、自分たちを追い詰めた親への“復讐計画”を始動させることに。
     教室で浮いていた彼女と、埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。
     驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。

  • 私たち夫婦にも2人の息子がおり、一応受験という大きなイベント(?)を親子で経験しました。作品の帯で登場人物の一人が東大合格を目指す受験生であること、著者自身が東大卒であることから読み始めました。

    親の愛情、親の与える教育、それらが子どもへの虐待になるとはこの作品を読んで驚き、自分の子どもにはどうだったのか、恐ろしくなりました。

    手を上げることはなかったものの、やはり精神的に追い詰めていたこともあったのではないかと、今反省しても仕方がありませんが、そうであれば申し訳ないと思います。幸いというべきか、息子たちは地元を離れ、進学、関東圏に就職して住んでいますので、精神的は親と完全に離れました。

    この作品の「復讐計画」がクライマックスですが、計画を終えた一年後に星愛璃嘉が染野高志に語った一言が、救いであり、今受験勉強真っ只中にいる人たちへ、送りたい言葉です。

    「明日が来るのを楽しみに思えること、そのために1度しゃがんで、我慢する日があったっていい。でもそれを決めるのは、全部自分自身なんだよね。」
    本文より

  • 齋藤彩さんの「母という呪縛娘という牢獄」に引っ張られているような内容。教育ママからの勉強の強要と精神的虐待。まさかの…姉まで、母親と父親はもちろん周りの人達みんなが怖かった。

  • 3.9

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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