サクラサク、サクラチル

著者 :
  • 双葉社
3.99
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本棚登録 : 1561
感想 : 135
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246513

感想・レビュー・書評

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  • 東大に合格しなければ許さないという両親の圧力に必死で応えようとする高3の高志は勉強漬けの日々を送っていた
    ある日、ひょんなことから会話を交わすようになったクラスメイトの星に高志を取り巻く環境が『虐待』だと指摘される
    星もまた母親からネグレクトを受けていた
    やがてお互いの境遇に共鳴し、支え合うようになる
    そんな二人は自分達を追い詰める親に『復讐』しようとある計画を始動することに

    何だか物騒なプロローグから始まる
    殺人事件が絡むのか?と読み始めたら虐待の話だった
    凄惨な表現はないものの、執拗な虐待シーンが中盤以降も続くので読み進めるのは中々辛かった
    高志と星さんはお互いの存在が救いとなっていたが、私にとっても救いだった
    一人でこの状況に立ち向かうのは過酷すぎる
    『復讐』に関しては賛否両論あるだろうなーと思う
    プロローグの物々しさやされてきた虐待を思うと多少肩すかしをくらった感は否めないけど、二人が希望を持って未来に旅立つことが何より大切なことだと思うと最良の『復讐』だったのかもしれないと思う

  • やりたいことがあって行きたい大学があってそのために勉強をさせてもらえる、応援してくれる人がいる、どれほど幸せなことだろうと思った。勉強、逃げないで頑張ろう

  • 異なる意味で劣悪な家庭環境で育つ受験生ふたりの歪な交流を描いた小説。

    優しかったお姉ちゃんが実は一番苦しめていたという黒幕は読めてしまうけれど、歪な家庭環境で生きる「彼女」のために親を欺いて10万円と受験の機会を用意するために奔走する姿には胸が打たれました。

  • 展開が気になって本日一気読み。
    子どもに対する虐待、それを愛情だと洗脳されてひたすら耐える子ども。
    子どもに対する期待は親なら多かれ少なかれある。
    それがエスカレートしてしまったら高志の家庭のようになってしまうのか。
    星さんはヤングケアラー、そしてネグレクト。
    どっちも悲惨な状況。
    家庭環境は正反対でも、親は気分次第で子どもを傷つけている。
    悲惨な内容だったし、読んでいて気分が悪くなった場面も多々あったけど、高志と星さんがお互いが支えになっているのが救いだった。
    読後は希望が持てる爽やかなもので安心した。

    「合格すると『サクラサク』。不合格だと『サクラチル』。それってなんか変だと思わない?咲いた桜は必ず散るし、散った桜はその直前まで必ず咲いているのにさ。」確かに変な言葉だ。
    長い冬を経て、二人の桜はきっと美しく咲いてから美しく散るのだろう。

  • 85/100

    途中まで男の子女の子の虐待様子がリアルな分、「復讐」というのが陳腐に聞こえて毎回残念に思いながら読ませられていた。

    しかし第3章から明かされていく2人の復讐手段。現実味はないけれど、もし現実世界で出来るとしたら効果的なものになったのであろうスッキリ展開が待っている。

    男の子への教育虐待はたまに耳にするようなものもあり、うちの家も教育に関してでは無いにしろ何処か主人公たちと重なる部分があるなと思わせられながら読んで行ったので余計惹き込まれる。

    自分も受験勉強を2年間頑張ったからこそ、見えてくる部分もすごくあった。

    おもしろい。

  • ペンは剣よりも強し。

    凄惨なシーンが多く、物語の途中に時々訪れる高志と星さんの平穏なシーンを読みながらも、この穏やかな時間を壊されてしまうのではないか…と終始ドキドキしながら読みました。

    復讐計画、そういうことだったのか!と一気に爽快感。

    彼らと同じような境遇に置かれていて外に助けを求められずに苦しい思いをしている人に、届いて欲しい(特に星さんサイド)。
    公的な支援、18歳(=成人)から可能なこと、進学を諦めなくても良い方法、親を頼らずとも自分の力で自分の人生を作っていく方法があると、必要な人に届いて欲しい物語だと思いました。


    ちなみに登場人物の設定は「向こう岸」(安田夏菜 著)と似ていて、こちらもすごく良い本。

  • 2人が考えた「復讐」とは?
    その「復讐」は成功するのか?
    虐待から、家族から、解放されるのか?
    2人の未来は?
    気になって一気に読みました。
    面白かったです。


  • 現在進行形で受験生の親をやっているので
    特に前半は読んでてしんどかった。

    親として子供に理想を描くのわからないでもないが、子供は自分のステータスを上げるためのアイテムのように扱われる主人公の境遇を思うとつらいなぁと。

    反面、彼が自己を自覚して、自立していく様子、彼なりの反抗(暴力的ではない)が心地よく、自分の足で一歩踏み出す姿を見れて…よかったねぇって…(親目線ですね)

    自分の子育てや、最近見聞きする毒親というものについても考えさせられました。

  • 初読みの作家さん。頑張った二人に拍手!!こんなに極端でなくても無意識に我が子を自分の「作品」しないように気を付けないと。

  • 復讐…なんて、言葉は恐ろしいけど、この主人公たちの復讐は、前向きで、希望がいっぱいでした

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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