サクラサク、サクラチル

著者 :
  • 双葉社
3.99
  • (92)
  • (175)
  • (83)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 1561
感想 : 135
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246513

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あまりに酷い仕打ちにどんな復讐をするのかドキドキしながら読み進めました。染野くんと星さんすごいです。読後スッキリでした。

  • 子どもを自分の支配下に置いてコントロールしようとする親、子どもに全てを頼りきり自分から離れなくさせようとする親、どちらも酷いなんて言葉では物足りない。虫酸が走る。
    特に高志なんて朝から晩まで勉強を強いられて監視されてる上、トイレ休憩は5時間に1回という過酷な条件の中、よくやっていたなと思う。
    睡眠や適度な運動が脳に大事だということを高志のバカ(バカという言葉がぴったり)両親は知らないのだろう。

    最後は見事高志の復讐計画が成り、すっきりしたものの、今までされてきた仕打ちを考えると腹の虫は収まらない。せめて高志がこれから親の干渉を極力受けずに生活していくことを祈るのみだ。

    嫌がらせの犯人の正体には驚きながらも納得した。もし自分が犯人と同じ立場だったら、同じようなことをするかもしれない。まともな愛情を受けて育っていないのだから、愛を求めてしまうのは自然だと思う。やり方は間違っているけれど。まあ全ては親の責任だと思う。
    ううーん、やっぱり親たちに天罰がくだらないかなとどうしても考えてしまうなー。

  • 久しぶりに心がグチャグチャになる物語でした。
    親は子どもに光が届くように助力する。
    そんなことが当たり前だと思っている私にとって、イライラとモヤモヤとする内容が続いて、終盤までとにかく読むのもキツかったです。
    「都合のいい子どもを育てる親」「洗脳」反吐が出ます。

    だけど、「楽しむための人生」を取り返すために、大人になりかけの子どもたちが自分たちで考えて、行動していく。
    人としての強さ、勇気、行動力、そして開花した自主性に応援したくなります。

    結末は感情に任せてめちゃくちゃする訳でもなく、子どもが大人の対応をとってくれたこと。
    またそれを見守ってくれた大人がいてくれたことに救われました。

    何より苦労を共に乗り越えた2人の、明るい未来を想像させるラストが、たまらなく愛おしかったです。

  • 大学受験を控えひたすらに勉強するだけの日々を送る染野。クラスで完全に孤立している星。まるきり接点の無い2人には共通する生い立ちがあった。急速に接近していく中、ある計画を練り上げる。また染野は執拗に嫌がらせを受けているが犯人の目星がつかないままにエスカレートしていく。誰が何のために? 

    最近ネグレクトやヤングケアラーを扱う作品が増えたように感じている。ひと昔前は当たり前と受け止めていたあれこれは実は虐待の一環であると世間に発信し得る環境になってきたからだろう。

    教科書や参考書を読み解くチカラはあっても自分の置かれた現状の異常さを認識する事など無かった染野と、親に依存されている=愛情だと理解出来ていなかった星が互いの置かれた場所の異質さに気付かされたとき。「洗脳」の恐ろしさに吐き気がすると共に怒りを覚えた。
    頼りにならない大人ばかりの世界で未来を生きる選択を勝ち取る為に闘う2人の「復讐」、そんなもんでいいのか⁈ もっと社会的に抹殺、までも打撃与える方法だってあるのにそれを選択しなかったのは同じ立ち位置に並びたくないからなんだろう。

    親のステイタスの為、自身の保全の為に「道具」にされる子供が少しでもいなくなるようにと願ってやまない。

  • いわゆる貧困な家だけでなく、
    〝豊か〟といわれる家庭でも起こる
    痛ましい真実。
    それは悲劇である。
    悲劇ではあるが、その中で生まれた
    ささやかで、微笑ましい幸せの芽吹き。
    巡り合った友が己の
    小さく狭い世界を変えてくれた。
    変えられなかった考えを
    改めさせてくれた。
    自ら勝ち取った〝自由〟を謳歌せよ!
    …そんな声を掛けてあげたい。

  • 読むほどに痛く切ない。切なさは、ワクワクする方でなく、どうにもならない苦しさ。
    東大合格を強要され心理的虐待を受ける高志が、ネグレクトで苦しんでた星さんに出会って変わる話。
    星さんの影響で、他の親は手をあげないとか母の言動の矛盾に気づいたり、高志の親に対する気持ちが変化していく様子がじっくり書かれてる。夏休みが監禁地獄、マラソン大会で自由を感じるなんて異常。
    きっと最後は明るい話のはずと思いながらも、邪魔がいつ入るのかドキドキしっぱなしだった。
    最初の定期テスト2位でパニック障害起こすほどのプレッシャーに衝撃。星さんに家族の話をする時に、事実を話しながらも親を信じて!?洗脳されてて、庇うような発言もつらい。
    今回は高志の視点だけど、星さん視点でも、かなりキツい話になりそう。お互いつらい環境なのに自分の方がマシと思う感覚も異常。
    犯人はお姉さんだったり、早稲田の入学金は途中で気づいたけど、だからどうなるのかまでは分からず。ほんと暴力的な解決ではなく、親の期待を最大限に裏切る行為。それだって並大抵の努力じゃないのに。最後は明るい未来を想像できて、安心した。

  • ネグレクトされている星と、東大合格を強要され過度な教育虐待をうけている高志の復讐劇。
    読んでいて辛くなるような場面も多かったけれど、読みやすくて最後にはすっきり爽やかな気分になれた。

  • 教育虐待を受ける高志とネグレクトを受ける星の復讐の話。2人の親に憎悪が募り、嫌がらせの陰湿さに辟易する。誰も彼も怪しい中、この状況下で自分の人生を懸命に生きようとする2人が唯一の救いに感じる。こういうのを読むと親に感謝が募る、親孝行しないとと思う。

  • 自分の環境・常識が世間的に正しいか間違えているのか考えさせられる小説。

    自分の置かれている状況が世間的におかしいかを図るのに、人と話す・本を読む・知識を蓄えるなどしないと常識的におかしいか疑うことができないし、疑問にも持たない恐怖。
    また、自分自身が如何に幸せな家庭で育ったか改めて実感しました。

    幸せとは、なにかという問いが最後にあり、少し頷いていました。

    続きが気になってすぐに読んでしまいました。
    僕個人的に、辻堂ゆめさんの本が好きだと気づきました。
    必ず、各々に学びがある小説でオススメです。

  • Amazonの紹介より
    「絶対に東大合格しなきゃ許さない」――両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。
    そんなある日、クラスメートの星という少女から、自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。
    そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。心を共鳴させあう二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることに――。
    教室で浮いていた彼女と、埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。



    辻堂さんの作品というと、様々なキーワードを散りばめて、最後に伏線回収していくスタイルが印象的なのですが、今回の内容は「虐待」ということで、伏線回収といったものはないと思っていました。
    しかし、終盤戦になると、実は仕掛けがされていたことに驚きでした。

    といっても、それ以上に印象的だったのが、2人の度重なる度を超えた「虐待」が読んでいて辛かったです。
    一人はスパルタ教育、もう一人はネグレクトということで、親の身勝手さがいかに酷いことか、読み手でもわかるくらい表現されていました。
    子供にとってみれば、目の前にある状況だけが世界の全てであり、善と悪との違いがわかりません。周囲と比較することで、いかに酷いことがわかるということで、周囲とのコミュニーケーションも大切であると考えさせられました。

    中盤からはその2人が、いかにして復讐していくのか?が描かれています。といっても何をするのかはラストあたりでわかっていきます。それまでは、もしかして殺人⁉︎と一瞬頭をよぎってしまいました。

    ちなみに復讐計画だけでなく、貴志の身に起きる嫌がらせも発生します。犯人は誰なのか?同時進行で展開していきます。そういったことも含めて様々な要素が張り巡らされていたので、ミステリーとしての面白さを堪能できました。
    まさか、受験の裏側ではこんなことが起きていたとは油断していたので、その分驚き度も大きかったです。
    2人が切磋琢磨していく「復讐計画」の結果に清々しい気持ちにもなりました。

    ちょっと歯痒かったのは、貴志の家族に対する「成敗」が生ぬるいなと思いました。事件でもおかしくないくらいなので、なんか・・・と思ってしまいました。

    困難を乗り越えた先の未来に、2人幸せな人生を勝ち取って欲しいです。

全135件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻堂ゆめの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×