サクラサク、サクラチル

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246513

感想・レビュー・書評

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  • 読んでて苦しくなるほど酷い親子関係。冒頭部分のミスリードで予想を超えるエンディング。

  • 桜は咲いても散っても一度は咲いている。
    そう、みんなサクラサクです。

  • 「合格すると『サクラサク』。不合格だと『サクラチル』。それってなんか変だと思わない?咲いた桜は必ず散るし、散った桜はその直前まで必ず咲いてるのにさ。」

    あまり考えていなかったけれど、ふと気が付いたらもう受験シーズン。
    両親の異常な期待【東大合格】に応えるために勉強漬けの毎日を送る染野高志と、親からネグレクトを受けている星愛璃嘉。ふたりはやがて大学受験を絡めた親への《復讐》を計画する。

    虐待にも外から分かりにくいような形があるということかなと思って読み始めたら、主人公の高志が思った以上に虐待を受けていた・・・両親の東大への執着が恐ろしい。
    生活スケジュールを母親に管理されて、睡眠時間は2時間がザラで、定期テストで学年1位を逃すと物が飛んでくる・・・ここまでじゃないにしても、こういう家庭で涙を飲んでいる子がいるのかなと暗い気持ちになる。
    星さんも星さんで、こちらは分かりやすいくらいのネグレクト。(ヤングケアラー気味?)さらには母親の彼氏からの性暴力も匂わせている。

    ふたりはそれぞれの親への《復讐計画》を実行するけれど、それだけじゃおさまらないなと思ってしまった。ふたりが犠牲にしてきたものが多すぎる。


    「もっとざっくり言うと、明日が来るの楽しみに思えること、なのかなって。それが明後日や明々後日でもいい。そのために一度しゃがんで、我慢する日があったっていい。でもそれを決めるのは、染野の言うとおり、全部自分自身なんだよね」

  • 親との関係性が読んでいて苦しかった
    私自身の高校生時代を考えても
    恵まれてると思いました
    復讐がうまく行ってよかった

    2人が勝ち取ったんだと思うとよかったと思います

  • 難関中学に合格した優しい姉。
    東大卒業の父親。
    母親からのプレッシャー。
    体調不良は、パニック発作?自覚がなかった。星さんから自分の症状について教わる。
    親からの虐待。星さんも?
    ネグレクト。
    自覚がないまま育つ。
    自分のせいで辛い思いをしていると思い込まされている。
    親に洗脳されていると、星さんとの会話で気づく。
    幸せを感じる閾値が低い→閾値→いきち→ 感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量。
    復讐計画、染野くんは、自分の価値を地に落とす。星さんは親の金づるにも家政婦にもならず、逃げ出し自立すること。
    タイトルの意味がわかり納得。
    染野くんの叔父さんがいい人で、本当に良かった。
    幸せとは、自分の進みたい道に進めること。明日が来るのを楽しみに思えること。
    先が気になり、一気読み!面白かった。

  • 『トリカゴ』を読んで以来、辻堂さんの社会問題を真正面から挑む姿に魅力を感じている。

    この本を読んでいる最中、新聞で教育虐待について特集を組んでいた。主人公の染野高志は新聞記事そのものの、読み進めるが辛くなるような教育虐待を受けていた。

    学歴が全てではないけど、多くの知識を吸収することは重要なことで、子供は親の所有物ではなく、本人の思い、希望を叶えてあげるのが親ではないかと自問自答し、二人の主人公と同世代の子供がいる親として何とも言えない気分で読み進めた。

    東大出身の辻堂さんだから書けた内容でもあるのかな。

    • かなさん
      あさきょさん、おはようございます。
      あさきょさんも、同年代の子供さんがいらっしゃるのですね!!
      私もそうです…だからちょっと複雑だけど、...
      あさきょさん、おはようございます。
      あさきょさんも、同年代の子供さんがいらっしゃるのですね!!
      私もそうです…だからちょっと複雑だけど、
      こんな風に頑張っている子もいるんだなぁ~と
      うちの子はあんまり頑張っているようには見えないんですけど(^-^;

      こちらへのいいねとフォローをありがとうございます。
      これからどうぞよろしくお願いします。
      2023/10/07
    • あさきょさん
      かなさんの読書歴は素敵な本ばかりですね。
      こちらこそよろしくお願いします。
      かなさんの読書歴は素敵な本ばかりですね。
      こちらこそよろしくお願いします。
      2023/10/07
  • 両親の熱烈な期待に応え勉強漬けの日々を送る染野高志は、クラスメートの少女・星から「虐待」だと指摘される。星も親からネグレクトを受けていた。共鳴した2人は<復讐計画>を始動させ…。
    ……というあらすじからは、ミステリ的なものを想像してしまったのだが、あにはからんや。
    高志の現状を「虐待」と指摘する星も、高志から指摘されるまでは自縄自縛に陥っていることに気づいていなかった。一人では気づけない。他人のことなら気づける。対等だから受け入れられることでもあり、二人が自分たちだけで気づきを得て逃げる決意をし、逃げ切ったことに拍手。それが後ろ向きなものではなく、自分たちの未来を切り拓くものだったことがうれしい。
    彼らにとって18歳で「成人」となり、くびきから逃げられるのは福音だった。
    高志の姉はその「友人」がいなかったので、思い詰めてしまうのはやむなし。元を辿れば、母親も父親のモラハラの被害者で、おそらく父親もその親の教育パワハラやモラハラの被害者なのだろうけれど、高志のところで負の連鎖が止まってなにより。
    高志の自立を助ける叔父家族ができすぎの感があるし、高志に逃げられてからの両親が意外におとなしいのが気になるが、実際に大人が手助けしなければいけないことは多い。よかったね、と言っておこう。

  • 「絶対に東大合格しなきゃ許さない」両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた…

    厳しすぎやしないかい?児相案件でしょ。
    目をそむけたくなった。

  • 進学校に通う染野は両親から東大合格を望まれ、日々猛勉強に明け暮れている。一方同じクラスの星さんは授業もサボりがち。ある日、染野は星さんから両親からの東大合格の高すぎる期待が虐待ではと話される。そんな星さんも家庭環境に問題があり、2人は親に「復讐」を考える。

    いやー、受験の時の息の詰まった感じとかが苦しく、だからこそ染野くんと星さんの帰り道の何気ない会話が何と癒されるひと時と感じることか。

    個人的に2人はひどい状況であるけれど、親を嫌いになることはできないと言っていたのが印象的。
    (親は子をどうでもいいと思っていても、子は親を愛するのを止められない)

    親は子どもに期待してしまうし、こうなって欲しいとか不幸になってほしくないと願ってしまうと思う。だけど、高学歴であることが本当に幸せなのか?一流企業に勤められたら幸せなのか?と大人になるにつれて感じていたけど、まさにそんなことを考えさせられるお話でした。

  • 過剰な教育DVを躾と信じていた染野高志は、クラスメイトの星愛璃嘉からそれを指摘され動揺を隠せない。そして、星もまた母子家庭のネグレクトにもがいていた。
    お互い家族がおかしいと感じないまま過ごしていたが、それをやっとおかしいと感じた時、それぞれ親に復讐を誓う…

    染野の親の東大への執着が本当に異常でした。そして、誰も庇ってくれない状況が更にそれを普通と思ってしまう悪循環が恐ろしかったです。
    星もまた、男に依存する母親が自分を頼ってくれるのを愛情と錯覚しているのが痛々しく、やっと自分の為に生きようとする姿が前向きになれて良かったです。

    染野を陥れようとする犯人を追いつつ、東大合格への復讐の同時進行がハラハラしっぱなしでした。

    やっと呪縛から解き放たれた時、本当に爽快でした。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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