- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591137352
感想・レビュー・書評
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やなせたかしさんの語る「正義」の考え方にとても感銘を受けた。アンパンマンをみる目が変わりそう。
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「愛と勇気だけがともだちさ」の意味を理解した
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アンパンマンに至るまでのやなせさんの生涯と、その裏にあった思いがわかります。正義を表現するるために必要悪とかかっこ悪さも描くという、現実的な見方が印象的でした。
アンパンマンに影響を与えた作品群はかなり意外です! -
作者と家族、戦時中の体験、多彩な職歴など、やなせたかしが自伝的に語る正義観。というより大切にしているもの全般の話。
アンパンマンの絵本が初めて出版された時、評論家からはくだらないと酷評され、幼稚園の先生からは顔を食べさせるなんて残酷だと苦情さえもきていた。
それを最初に認めたのは3〜5歳の幼児。全ての権威を否定する純粋無垢な冷酷無比な批評家が、幼稚園でも保育園でもボロボロになるまで読みこんで人気になった。
「スーパーマンはやたら派手な格好をしてNYを飛び回る。その姿が変に思えたんだ。飢えた子供には何もやらないで自分のことだけをアピールするみたい。」
「戦争がおこると悪い奴をやっつけて正義が勝ったなどというけれど、子供達のことは見てやらない。そして子供達は次々と死んでいます。だから僕が何かをやるとしたら、まず飢えた子供を助けることが大事だと思った。それが戦争を体験して感じた一番大きなことでした。」
それでアンパンマンが生まれた。
作家としては遅咲きだった先生は色んな回り道、寄り道をしながら様々なジャンルで功績を残しながら作家活動へのヒントにしていった。まさに虚仮の一念の生き方。
建築の知識をもつエッシャーや医学の知識をもつ手塚治虫を例に「好きだからこそやり続け、でも好きな物以外の武器を持たなければいけない」とやなせ先生は言う。
正義観だけでなく職業観や倫理観についてなど、含蓄があって読み応えのある内容なのに、やなせさんの人柄が伝わる温かな文体であっさりと読める。子供が小学生高学年になったら読ませたい。
改めてアンパンマンやアンパンマンの歌が好きになる。 -
日本人なら誰でも知っているであろうキャラクターの生みの親。
何世代にも渡り飽きられない魅力あるキャラクターを作り出した人なのだから、さぞかし若い頃から活躍しているんだろうと思ったらとても遅咲きでした。
でも遅咲きだったからこその苦労や苦悩・寄り道があったからこんなに沢山の人に指示され、先生と呼ばれるようになっても驕らず、謙虚な人で居続けられたんだろうな。
そう思える文章でした。
『正義のための戦いなんてどこにもないのです。』
自分の中の正義は、別の人の悪になりえる。
だからこそ
『正義はある日逆転する。逆転しない正義は献身と愛です。』
これが”正義”の心髄なのかもしれません。 -
なんだかわからないけど、涙がでた。
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やなせさんの自伝的にかたる正義論。最後のアンパンマンのテーマの歌詞でしっかりしめられている。
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アンパンマンは深い。正義とは何かを考えさせる。やなせさんの多才ぶりにも驚いた。
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正義とは何か。
よく、悪がいなくては正義は何立たないという言葉を耳にする。テレビで見ていた典型的なヒーローは怪獣とか星人とか絶対悪がいた。でも漆黒も純白もこの世には誰ひとりいない。ドキンちゃんは悪者側だけど食パンマンが好きだったりする。やなせたかしさんはそのことを誰より心得ていた。アンパンマンはきっと人間の世界に酷似した世界だ。だからアンパンマンには真の正義がかかれている。
そのアンパンマンを通して勿論正義について書かれているのだが、正義以外にも漫画家としてもその他でも幅広いやなせさんの人生が知れた。人生なんだから一筋縄ではいかないけれど、そんな中にやなせさんのメッセージがあって
丁度進路について考えている時期に出会えたとこは幸運でした。
全てを読み終えてアンパンマンのマーチの詞を読むと、体の芯に何か手応えがあるはず。 -
正義とは何か。アンパンマンの作者である著者がどういう思いで正義を主張しているのかがわかりました。
人間は良い面も悪い面も持ち合わせていて、真っ白な人も真っ黒な人もいない。 -
やなせたかしの正義とは。正義って難しい。みんな正義を理解してればもっといい世の中なんだろうな。アンパンマンのことが色々知れておもしろかった。三越のロゴもやなせたかしだったのかぁ。やなせたかし=アンパンマンだけど、遅咲きの人だったんだなぁとびっくり。どんなことでもやり続ける努力が大切。
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含蓄がある。大人が読んだ方がいいのかもしれない。少し冷静になるために。しかし、どこかで読んだことのある話も多かったから、巻末の参考文献にある既刊本の焼き直しもあったのだろう。初めて、やなせたかしを読む人にはオススメ。
私にとって、良かったのは第3章「正義の戦い方」
・正義は勝ったと言っていばっているやつは嘘くさいんです。
・愛と勇気だけが友達さ:これは戦うときは友達を巻き込んじゃいけない、戦うときは自分一人だと思わなくちゃいけないという意味。
・正義を行う場合は、本人も傷つくということをある程度覚悟しないとできません。
・虚仮(こけ)の一念
・好きなもの以外の武器を持て -
やなせたかしさんがお亡くなりになった時にテレビで特集をしていて、アンパンマンの歌詞の意味を初めて知って感銘を受けた。それからずっと、やなせさんの本を読みたいと思っていた。
正義のヒーローだからといって完全無欠ではない、正義で自分も傷つく。「正義=真実」というより、「正義=愛」なんだろうなと思う。アンパンマンってやっぱり深い…! -
「この世の惨苦、終わらない戦争、(中略)すべてを僕は憎悪するけれども、怒るよりは笑いたい。ひとときすべてを忘れていたい。」
優しい人なんだな、と思いました。
最後は、「アンパンマンのマーチ」の紹介で終わるのですが、こんないいことを言っている歌とも思わずに聞き流していました。
かといって、これからも(人に聞かれるところでは、すくなくとも)口ずさむことはないでしょうけど。 -
2013年に亡くなられたやなせたかし氏が、「未来のおとなたちへ」として思春期を迎える児童向けに執筆した“正義”論。生い立ちや実体験を通して学んだ“正義”とは、そして自身の行き着いた“正義”がどのように『アンパンマン』に反映されていったのかを説く。
正義のための戦いなんてどこにもないのです。
正義はある日突然逆転する。
逆転しない正義は献身と愛です。
本文から引用した上記がやなせ氏の不動の姿勢なのだと思う。読めば読むほど、ものすごく多面的に物事を捉えられる方だなという印象。一概には言えない立場や考え方を持つ人がいると知っているだけでなく、受け止める大きさがあるからこそ数多くキャラクターが登場する「アンパンマン」という作品が生まれたんだと思う。
優しい柔らかい文体のなかに、強い意志を感じる作品。 -
幼稚園時代に読んだ「あんぱんまん」のあとがきで、熱く正義について語られていたとは知りませんでした。子どもも大きくなり、絵本に触れることが減りましたが、あらためて「あんぱんまん」と「アンパンマン」を読みたくなりました。
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昨年亡くなられたアンパンマンの著者やなせたかしが正義について子供時代の経験やアンパンマンを描くまでを交えながら語ってる作品。正義とは何かを考えさせられる作品。
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なぜ、アンパンマンは生まれたのか。正義とは何か。どうやって生きたいか。
やなせたかしさんのパワフルな生き方の原点は「人を喜ばせたい」という強い欲求にあったのだろうと思った。良心だけ/悪心だけの人間なんていない。諦めず、良心の割合を少しでも増やせる生き方がしたい。