- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591173992
感想・レビュー・書評
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イギリスの格差社会については、ぼくはイエローで…でなんとなく理解していた。これはその底辺と思しき場所にいる家族の物語。
母親に問題があり、満足に食事も出来ずお腹を空かせることがある姉と弟。どん底の生活状況を見ていると、ザリガニの鳴くところを読んだときに感じたような衝撃を受ける。14歳の少女ミアが、弟の世話を全て引き受け、所謂ヤングケアラーなのだけど、弟をいちばんに気遣い、自分のことを後回しにする様子に心が傷む。ソーシャルワーカーが彼らを監視しているが、子供たちが保護された場合、きょうだいがバラバラになることが分かっているので、素直に救いの手を受け入れられない。
賢い少女ミアは、自分の置かれた状況を小説の中の金子文子と重ねる。他の誰にも打ち明けられない状況を、小説の中のフミコに同情し共感することで孤独を癒す悲しいミア。いや実際何も癒されないんだけど、心の拠り所としている様子が痛々しくて苦々しい。
善人の顔をした悪人には吐き気がする。ラスト3章はページを捲る手が止まらない。エピローグでゾーイがミアに掛けた言葉に泣いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミアが自暴自棄にならなかったことがすごい
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胸が締め付けられました。
金子文子さんは死んで違う世界を見ようとしたけど、
ミアはチャーリーを守るために死ぬことは考えなかった。
境遇が同じならそういう道も考え実行することもできたのに、その心の強さに打たれました。
ここだけが世界とは限らない。
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貧困とは、こんなにも人に苦しみをもたらすのか。空腹、いじめ、やりたいこと、何もかも奪っていく。子どもは、逃げたくても逃げれない。ミアもフミコも最後は家に戻ろうとする。子どもを救えない行政には、ちょっとがっかりした。学校とか地域とか、もっと子どもの力になれないのか?誰か気づいて!誰かミアやチャーリーの気持ちを聞いてあげて!と思いながら読む。
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2つの視点から主人公の気持ちや人生が描かれているところがおもしろかった。ブレイディみかこさんの本は、世界にはいろんな人がいることを教えてくれる。
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胸が痛いエピソードの連続でしたが、希望が感じられるラストでホッとしました。
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最後まで読んでノンフィクションの形では書けなかったという意味がよくわかった。それと同時にこうした貧困は、当事者にとっては日常なんだけど、学校とか他の人と接する中で自分の生きている世界がどうも「ふつう」とはちがうらしいと気づいたとき、本人の中でも葛藤があるんだろうな。
主人公のミアは境遇を考えればとても大人びているし、語彙力もあるから読んでいてすごく共感しやすかった。
現実なら、似たような境遇で、自分の生きづらさや社会への憤りを表現する言葉や術を持たずにただその日を生きることで精一杯な人も山程いるんだろう。 -
主人公達の強さを希望に読み進める事ができましたが、ほんとうに辛かったです…
こどもに光が当たります様に… -
ミアとウィルのラップどんなんか聴いてみたい。