無力感は狂いの始まり 「狂い」の構造2 (扶桑社新書)

  • 扶桑社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594062590

感想・レビュー・書評

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  • 本当に平山さんは面白い方だなぁ、大好き。
    対談している心理学の先生もすごい。こうまで言い切れるのは現場にいる精神科医しかいないものね。
    先生の本も読もうっと。

  • 平山先生、知り合いの狂ったエピソード持ちすぎですよ。

  • サーカスの象は雌で、雌象が発情したら棒を入れてかき回すらしい(某小説の描写)。こういうの読むと人間の罪について考えてしまうっていう箇所が今回とても印象的だった。

    お二人の対談は私の心のオアシスです。

  • [図書館]
    読始:2011/1/11
    読了:2011/1/12

    前巻よりも話にとりとめがなくなっている気がする。一応1~5章に分けられて章タイトルもつけられているのだけど、「あの話ってどこにあったっけ?」ってのが章タイトルから推測できないくらい。

    あと、平山さんがしゃべりっぱなしで春日さんがそれに合わせるだけになっているところが多い。

    p.54 優しさってガソリンにはアメ車並みに燃費が悪い。人からほめてもらっても、すぐ使っちゃう。1キロも走らないうちに、ああ、やっぱり俺はダメだって。
    p.63 特に今の邦画ってさ、親友に強○されて妊娠して援助交際までやっちゃったけど、自分がずっと好きな人が愛してくれたから全部チャラみたいに終わるじゃん。そのあとを考えてみたいよね。女もばばあになって(中略)「お前に真心なんかねえよ。10歳からそこらで淫売こいてるんだぜ」「タイムマシンがほしいな、過去に戻ったら、お前なんか絶対に助けない」って。だからそんなのは別に愛じゃない。成り行きや、惰性でそうなっているだけ。
    p.69 しかも品のなさが、不思議と武器になったりもするでしょう。品を守る人は後手に回されるんだよね。将棋盤をひっくり返して殴りかかってくるんと一緒でさ。外から見れば、よっぽどそいつを怒らせたんだろうと思われちゃう。殴られてる方が被害者なのにね。
    やったもの勝ちになっちゃうんだね。
    変な人間を目の当たりにすると、それを読み解こうと自分の中の翻訳機に突っ込むから。こんなに怒って、ひどいことをしているなら、相当の理由が反対側にあるに違いないって、勝手に状況を組み立てちゃうんだよね。
    p.80 引きこもりは、単に引きずり出せば解決するわけじゃなくて、時間がフリーズしてるから。すべて棚上げ状態なの。引きこもっている間は、俺は何一つ認めないと。俺は負けていないと。(中略)引きこもりだから家族にいろいろアプローチするんだけど、乗ってこないことがすごく多い。確かに引きこもりの状態を何とかしたいんだけど、もし解消すると今まで棚上げにしていた問題と直面することになる。それも嫌なわけよ。だからアリバイ作りに困りましたと来るわけ。
    p.87 テレビとかよく出てくる引きこもり直しますみたいな人。何だろうこれ、と思うんだけど。(中略)
    勢いに圧倒されて一時的にはいぶしだされるけど、そんなの全然ダメよ。(中略)
    1週間ぐらいたって、「ケイコは自分を取り戻す生活を一歩進めた」みたいな。3か月ぐらいすると、だんだん笑顔も見えてきて帰るらしいんだけどさ、 帰った後の話はないのよ。
    でしょう。だって歪みは残ったまんまだもん。(中略)本人がひきこもった辛さというか、困難さは何一つ解決してないんだから。
    家族が言うには、お前がこんなに引きこもって、お父さんはどれだけ恥ずかしい思いをしたかとか。お母さん、あんたを生まなきゃよかったわとか。兄貴はこの野郎!なんて延髄切りを食らわせたり。けいれん発作とか、癲癇症状の人を、狐憑きだとか言って叩いてるのに近いような気がした。
    p.124 ちゃんと違和感を感じているくせに、あえてごまかす。そういうやつは違和感をあえて言語化しない。言語化しなければ、存在しないんだもん。仕事の失敗でも言語化すればいいのに、そのプロセスを面倒臭がって流していると、あとで絶対ひどい目に遭う。
    p.174 懐かしさというか、慣れ親しんだものには惹かれるわけ、どうこう言ってもね。だから旦那がアル中という女って 、だいたい父親がアル中だったというのが多い。 (中略)気が付かないうちに、やっぱり同じパターン。自分を振り返っても、びっくりするくらい同じパターンを引いちゃうことがある。
    またやっちゃったと。
    だけど、まちゃったの「また」にはどこか安心感があるんだよ。人間、未知なところいうのは全然だめよ。(中略)新しいものに踏み出して積極的に幸せをゲットするというより、まあこの辺で言いか的なぬるま湯に落ち着く。ブツブツ文句言いながらね。そっちの方が気が楽なんだよね。楽な方に安住したまま文句は言う。
    p.182 春日先生は小さいとき、利発な少年だった?
    朦朧としてた。
    朦朧少年だったのか。
    p.185 昔は時間のスパンが長い子はちょっと異分子化されていたよね。「何見ているの?」「アリ」「え?」みたいな。
    p.193 他人って死んだらどうなるんだろう?相手を殺したらどうなる?その問いはおかしくないんだけど、実行したらおかしいわけ。だから、子供を投げ落とすとか、(中略)それはいまさら大人が考えることじゃないじゃんって。経験が浅すぎて、想像力が利かない。その後における大惨事の予測がつかない。うっかりでチープな犯罪は、そういう経験の浅さに由来している気がするんだよね。だから、今の子供たちには、死に直面する経験、死に対しての実感が必要なんじゃないかな。ただ、大事なのは傍観者じゃ教育にならないのよ。やっぱり当事者にならないとね。
    p.202 図書館で借りたり、献本で書くやつ。タダで読んで悪口書くのって歪んでないか?と思うけど。
    p.204 自分は得をしなくても、相手を傷つけることで相対的に自分が上がろうというセコイ発想だからさ。
    p.220 自尊心や自己肯定、自分を大事にすることが出来なくなってきた。心の底から自分を認めることが難しくなってきた。
    権利意識を主張する奴って、裏返せば自分が権利を受ける人間だと証明したがっているわけだよね。
    p.233 アメリカに『アンサーズ』という雑誌がある。小さい子供は「なぜ」と疑問を持つけど、その疑問自体が悪魔のそそのかしなんだ、と。化石が違う、サルにDNAがあるというのも、実は神があなたたちの信仰心を試すためのトラップなんだと言うわけ。それで揺らいでいるようではダメですと。神に比べれば何もできない科学者が、小手先の知識で言っていることに惑わされてはダメです、あなたの信仰心を試しているんです、と。
    試されてるんだといえば、どんな過酷な運命もオーケーになるからね。
    p.234 酒と薬を複合すると、いつ結果が出てくるか分からないからね。アルコールだと副作用が妙に強く出たりするから。

  • 第一弾の方が面白かったと思います。

  • 平山夢明と春日武彦(精神科医)との対談。第二弾。
    期待を裏切らない面白さで、もはやこれはコントの脚本か何かと思うほど。

    勃筋(ボッキン)を摘出された床屋のおじさんのくだりで半泣きになった(笑)。
    その他、平山さんの奥さんが催眠術にかかりやすい話と、論点をずらす人達の話も面白い。

  • 有名な精神科医の春日武彦さんとホラー&ミステリー小説家の平山夢明さんの対談本、

    『無力感は狂いのはじまり』

    という本を読みまして、この中で引き寄せ的といいましょうか、
    DAZEww氏が共鳴しそうな箇所があったので抜粋しておきますわ。
    ちなみに平山夢明さんて、よくコンビニの本棚なんかに必ず売ってる「東京伝説」等の
    実話怪談シリーズを書いてたいわばB級ライターだったわけですが、
    4~5年前にオカ板にこの人の怪談単行本シリーズのスレが立っていて、
    私はよく見ていたのですが、真夜中にホントに平山さん自身が降臨したりして
    あの話しはこういう体験から書いたんだよ~的な解説までしてくれて、
    NASAはこの人ねらー相手にフレンドリーな人だなという印象をもっていました。
    平山さんはその頃、コンビニ怪談本シリーズだけじゃなく、本格的なミステリー小説を書いてみたい、
    それが本心は一番やりたいことだと、オカ板のねらーに語っていました。

    ねらー相手に真夜中に公言なんて正直といいましょうか、ユニークな人だと当時は思ってたんですが、
    そしたら平山さん、その後本当にコンビニ怪談本ではなく自ら初の長編ミステリー小説にチャレンジし
    日本ミステリー作家協会賞&日本冒険小説協会賞の大賞を受賞し、
    日本の一流ミステリー作家の仲間入りをしちゃったわけです。
    まさに引き寄せ的人生を歩んでるな~なんて思ったんですが、
    この精神科医春日武彦さんとのガチ対談本の中でもなかなかどうして包み隠さず
    ニンマリするようなお話をなされていましたのでちょっとだけ抜粋してみましたわ↓

    平山「俺の友達に子役上がりの女の子がいて、自分の容姿にものすごくコンプレックスがあるの。
    今もそんなに売れている女優さんではないんだけど。
    小さいときから劇団に入れられてさ。そもそもは、お母さんが女優になりたかったわけ。
    あなたはもっと鼻が高かったらよかったのにとか、お母さんはこんなに高いのに、
    あなたはお父さんに似ちゃったからとか言われて。
    とにかく容姿のことを責められた。本人も小さいときから気をつけて、太らないようにもしてきたし
    身ぎれいにもしてきたし、化粧もうまくしているから、きれいなのよ。俺から見れば十分きれいだよと。
    逆に足りないのは、女優としての勉強だったり、素養だったり、脚本なら脚本というものを理解する力。」

    春日「内面を磨けと。」

    平山「それに気が付けばいいんですよ。そこそこの女優でやっている、食える範疇に入っている。
    女優体が出来ているというか。なのに、本人は外見のみにすごい落ち込んで。
    本当に顔がダメなんだと。それがぬぐいされないわけ。

    片や、近所に宮澤喜一みたいな顔をした女の子がいるのよ。
    俺、見るたびに残念だって思ってるんだけどさ、その子ものすごく明るいの。
    “私ブスでしょう、だから内面で勝負するの“なんてさ、にこにこしてるの。
    ブスって言われたら、えっ、自分はたしかにブスだけどさ、ブスにブスって言うことないじゃな~い、なんてさ。
    あんただってそんなによくないんだしさ、とか言い返してくるの。結構明るい。ブス特有の影がない。
    バグ犬だってかわいいってヤツはいるんだから、たしかに見れば愛嬌というか、味わいもあるのよ。
    その家は、お姉ちゃんは普通の顔で、妹はブスなんだけど、同じようにかわいい、かわいいって育てたんだよね。
    外では人面瘡に似ているとか、今東光に似ているとか、ひどいことを言うヤツがいるんですよ。
    地獄のような赤い舌を持っている人間が大勢いたんだけど、家へ帰ると母親は

    “そんなことはないよ、その子たちは分かってないんだよ。あんたはかわいい、かわいい”

    て本当に言っていた。心底言っていたらしいんだよね。親バカだから。
    そうしたら、ブス的な影がまったくないんですよ。
    整形しないの?と聞くと、う~ん、今のてこ考えてない。とか答える。これはある意味ナルシシズムなの?

    春日「ごまかし力というのも大切なんでしょう。エレガントにごまかすとか。
    そこで人間はどう自分をごまかすか。俺は、そこにすごい興味があるね。」

    →まあこういうのを読みますと、その女の子はたまたまラッキーな親の下に育てられたからいいけど、
    サイアクな環境に育った場合は‥みたいに思いがちですが、
    でも逆に言えば人間は思い込みひとつで世界は違って見えるということだとつくづく思いましたわ。
    上手く行くことも上手く行かない障害も、絶対思い込み(認知の歪みとか
    ケイティーの4つの裏返しの質問でも何でもいいですが)がKEYだとNASAは考えておりますわ。

  • 秋葉原通り魔事件、婚活殺人から巷の怪事件まで。春日武彦と平山夢明が、平易な言葉で、あからさまに狂気について語る。人間の深層に眠る狂気の種を抉りだす、3年ぶりの対談集。

  • 前作『「狂い」の構造~人はいかにして狂っていくのか?~』に続く、精神科医 春日武彦と小説家 平山夢明の対談集。
    『厠の怪 便所怪談競作集』に収録された平山作品、「きちがい便所」の執筆秘話(?)が興味深かったです。ラジオで、「トトロっぽく書いた」って言ってたけど、この本では「アンチトトロの世界に迫ってみた」って・・・逆じゃん。
    前作でも語られていた「行き詰まったら部屋を掃除する」っていうお話、何となくずっと心に残っていて、何かあるとまず掃除してみようと思うようになりました。不思議にうまく作用するんですよね。部屋の掃除と心や頭の整理ってリンクしているのかもしれないですね。

  • むちゃくちゃ時事ネタ本。ただし、時事ネタに関する掘り下げがものすごく浅いからか、平山さんや春日さんの知人の話・経験談・好きな本の話の方が面白い。

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著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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