世界から格差がなくならない本当の理由 (SB新書)

  • SBクリエイティブ
3.56
  • (18)
  • (27)
  • (36)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 344
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797389524

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • フジテレビで放送された『池上彰緊急スペシャル! 世界から格差がなくならない本当の理由』を書籍化したもの。

    かつて、旧ソ連のゴルバチョフ書記長に「世界で最も成功した社会主義国」と評された日本だが、「一億総中流」だったのはもう遠い過去。アメリカ大統領選挙の結果を左右したのも「格差」。

    アメリカでは富裕層が多い街が独立し、さらに富裕層が移り住んでくる、という状況が始まっている。取材で出てくるジョージア州のジョンズクリーク市は、人口8万3000人、平均世帯所得が1270万円、住みやすい都市:全米4位だそう。

    なぜ独立を望んだのか。住民投票で独立賛成に票を投じた人は、「支払った税金は自分たちのために使いたい。そのほうが質の高い生活を送ることができる」「自分の税金が誰か知らない第三者のために使われるのではなく、税金は自分の利益になることが理想だと思ったんだ」と語る。

    背景には貧しい人がたくさんいる地域で犯罪が多く、警察もそちらへの対応が忙しくて、税金を多く払っているはずの富裕層が住む地域がおろそかにされている、などの不公平感があった。
    独立してからは、独自の渋滞解消システムや警察の留守宅への巡回サービスまでも取り入れられ、住民たちは満足しているようです。
    一方、富裕地区が独立し残された地域の税収は44億円も減り、行政サービスが劣化。行政への不満が高まることになる。

    「公平」とは何か?
    富裕層からいえば、低所得層は拠出しているお金は少ないのに公共サービスを優先的に受けている。貧困層からみれば、富裕層は恵まれているのに自分たちのことしか考えていない。どちらかが正しいというのではなく、どこかで折り合いをつけなければならない。
    ただし、このまま格差が広がっていくのをどこまでも見守っていく、というのは、社会不安を引き起こす。

    OECD加盟先進国33ヵ国の「教育機関への公的支出の割合」が日本は33ヵ国中32位、2015年までは6年連続で最下位だった。
    ヨーロッパの国の多くは高校まで、あるいは大学まで教育費が無料である。
    ベースにあるのが、きちんと教育を受けた子供たちは、将来、就職してお金を稼げば税金を国に納めてくれるから、結局、教育に投資したお金は戻ってくるという考え方。
    きちんとした教育が受けられて、就職して税金をきちんと納め、年金の保険料も払ってくれれば、将来の年金制度が維持できるということにもなります。広い視野に立ってこの問題を考えていくことも必要。

    教育にお金を使うこと、教育格差をなくしていくことは、将来の格差解消につながる可能性が高い。
    長期的な視点に立てば、いちばん効率的で確実な投資は教育である。

  • ・富裕層8人と下位36億人の資産が同じ。
    ・相対的貧困は年間の可処分所得が中央値の半分以下。絶対的貧困とは最低限の生活を営むのも困難な状態。日本では相対的貧困が増えている。
    ・グローバル化が格差を広げる。
    ・アメリカではお金持ちが新しく市を作り独立をしている。独立した市では行政サービスが行き届くが、そこから漏れた地域は税収が減りサービスが低下する。
    ・rだいなりgとは。r資本収益率、株式や不動産から得られる利益。g経済成長率 働くことで得られる賃金。
    r 4%、g1% 。ここでも格差が広がっていく。
    ・億万長者は株式投資で資産を増やしている。
    ・お金持ちは寝る間も惜しんで働いている。努力、情熱、責任感がカギ。
    ・安売り競争が格差を広げる。
    ・減税で富裕層の海外流出を防ぐ。
    ・タックスヘイブンとは、税率0の地域にペーパーカンパニーを作り税金逃れをすること。
    ・日本は下位90%の平均所得が下がっている。

    格差の問題について興味があったので手に取ってみた。
    世界はもちろん、一億総中流と言われた日本でも格差が広がっている。
    自分が注目したのは、教育格差が将来の所得格差に繋がるという点だ。貧しい家庭は塾にも行けないため学力に差がついてくる。その子供も同じような生活を送るだろうから、貧困の連鎖が続いていく。
    働いて手にする可処分所得は社会保険料の値上がりで吸収されてしまうし、貯金をしても全く増えないとなれば投資で資産を増やす事が大事だと思う。

  • 中高生でもわかる言葉で現代の格差を説明してくれている。

  • 格差は多少あった方がよいと思います。目標を見失うし、共産主義のように平等では働かない人も出てきてしまうから。

  • 東2法経図・開架 KW/2017//K

  • 361.6||Ik

  • テレビでニュース解説番組で出ずっぱりの著者。格差の解説は簡単な様で深淵にて困難なものではないかと思うのだがジャーナリストとして極めてバランスよくとても分かりやすく書かれてあって改めて著者の人気の所以が何たるか理解出来た。文字も大きめ、図解も的確に多用されている。他のも読んでみようかなと思った。

  • 世界の大富豪トップ8人が下位36億人の富と同じ。衝撃的な数字に思えたし、戦争が起きない限りこれは覆らないとも思えました。

    グローバル化が格差を生み出す。頑張れば報われる社会と言うけど、それは平等な競争の環境があるからだと思う。教育の問題を最後に扱っていました。欧米の様な大学まで無償で教育を受けられるとしても、富裕層が更にその上のサービスにこどもの教育費をつぎ込めば、格差はやはり広がるのかな。ただボトムアップの効果も考えられなくはないか。

全47件中 31 - 40件を表示

池上彰+「池上彰緊急スペシャル!」制作チームの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンデシュ・ハン...
村田 沙耶香
恩田 陸
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×