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- / ISBN・EAN: 4547462082725
感想・レビュー・書評
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不慮の事故で両親を亡くした少年と
難病に侵され余命幾ばくもない少女の物語。
他人の葬式に勝手に出向くことで死そのものを茶化したい。
自分の葬式の演出を愉快に考えることで笑い飛ばしたい。
何も考えない振る舞いをすることでなかったことにしたい。
僕らはいつになったら死を受け入れることができるのだろうか。
これを読んでいる貴方も書いている僕もいつか死ぬ。必ず。
地球上に存在する60億の人間のみならず、
動物も植物も細菌も、あらゆる生命体はいつか必ず死ぬ。
なのに、死はいつまでたっても抗いがたく受け入れがたい。
まして自我も未成熟なアーリーティーンであればなおさら。
いつもは説明的な科白を排するガス・ヴァン・サントが、
今作では10代の青々とした直接的な言葉をいくつか吐かせる。
それをお互いが真正面から受け止めざくりと傷つき途方に暮れる。
だけど、その不器用で、馬鹿正直に真正面から捕える様に、
僕らは、変に格好つけて大人ぶって散じてきた何かを見つけ共鳴する。
詰まるところ死は、どうやら愛と理不尽とを繰り返して、
ゆっくりと形象化していく以外に術はなさそうである。
ガス・ヴァン・サント作品らしく、
主演を務めたヘンリー・ホッパーが息をのむような美少年。
調べてみると名優・デニス・ホッパーの4番目の奥さんとの息子だとか。
恋人役のミア・ワシコウスカも、死に翻弄されながら、
生を迸らせるキュートな少女を見事に演じている。
カミカゼ・加瀬亮も重要でともすれば醒めちゃうような役どころをきっちり演じきっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
愛していて、同じくらい年が近くて、そんな人を看取った経験のない僕にはこの映画の持つ重みがよくわからない。
でも、もし自分や相手の死ぬ日がわかっていたら、必死に愛そうとするだろう。でも、それをいじらしくもはっきりと表現できないイーノックの悲しみは、ガス・ヴァン・サント的な淡い進行の中で胸に来るものがあった。
死を大きな世界の中の小さな出来事のように捉えて、それを受け入れることをまるで普通のように振る舞うアナベル。
でも、そんなアナベルにとって生きていることの温もりを肌越しに伝えてくれるようなイーノックの存在はとても大切に思えたにちがいない。
二人が体を重ねる小屋でのシーンは、焦点距離のずれたカメラワークが本当に美しかった。
とくに、アナベルの肩に鼻先を近づけるイーノックの顔がぼんやりと溶けて、二人の肌色が一つに混ざり合うようなところ…
ガス・ヴァン・サントは直接の言葉をもちいないで、間接の表情や仕草から素晴らしい物語を組み立ててしまう。
彼の得意とする間接性、そこには無限の解釈の自由があり、それがある意味淡々とした…悪く言うなら退屈に近いものに感じるのも確かだけれど、映画のストーリーに一度没頭してしまうと、それが余計に胸に迫ってきて…無言でうなづけてしまう。
死を目前としたアナベルの冷静さにイーノックが悲しみよりも怒りすら抱いてしまうことも、冷静さの裏にどこか自分の生を刻み付けておきたいと感じるアナベルのことも、なんだかとてもわかるような気がする。
エレファントにしてもラストデイズにしても、ミルクにしても、ガス・ヴァン・サントは死に魅入られた人の最後に至るストーリーを描くのに、繊細で美しい手腕を発揮する監督だと思う。
そしてそこには余白の美あるいは間合いのようなものがつねに織り込まれて、それがどこか心の琴線に触れるものとなっている。
今までアナベルにとって見えない存在であったはずのヒロシが見える存在となり、イーノックにとって見える存在であったヒロシが見えない存在となる最後のシーン。
二人のいく先の相違をまざまざと焼き付けられて、涙が止まらなかった。しかも、そのヒロシはいつもの飛行服ではなく、礼服姿。
最後に。使用される音楽もよい。
冒頭のTwo of Usから始まり、最後にnicoの歌うThe Fairest Of The Seasons
…そういえば、ガス・ヴァン・サントってヴェルヴェット・アンダーグラウンドみたいなアングラな感じが好きだよね。彼の作品にはやっぱり反抗心があるんだなと、気づかされます。
ラストデイズでもVenus In Fursがかかってたしね。
スパイク・ジョーンズとかソフィア・コッポラとかもそうだけど、最近の監督さんの音楽セレクトにはみならいたくなるものがたくさんあります。
すこし話ずれたけど、好い映画だった。 -
綺麗すぎなのと、今でこそ王道過ぎかとすら感じるんだけど、そうじゃないよね。
中学生の時に観てたらきっとぼろぼろ泣いてるもん。たぶん。
まずオープニングにTWO OF USがかかった時点で、自分にとってはわりと特別な曲だったから嬉しかったし、この曲を使った監督にも特別であるんだと思った。
ガスヴァンサントは音楽と絵のこだわりがやっぱり素敵です。素直に。
何故日本兵の幽霊?は特に気にならず。むしろ面白かった。っていうより、死 が彼の存在で遠くもなく近くもないものに、怖いものでもなく優しいものでもない存在になっていて、いい。
監督にとって死ぬことが、今まで味わったことのない感覚で想像もつかないくらい奇妙で怖いから、こういう綺麗なものにして、自分の中で怖いものから遠ざけたのかも。(深読み中)
加瀬亮がどうアメリカ映画に入っていくのか公開当時から気になってたけど、発音も上手で、違和感なくて良かった。
観てすぐ、好きだな、と思ったけど、しばらく経ってからも絵が出てくるので、星5つ。
みんなのタグの「透明感」ってなんやねんと思います。「透明感のあるバンド」とか、無音じゃん、それ、と思います。よくわからないことが多いです。 -
3ヵ月あればなんでもできるって台詞が、今の私には一番ぐさっときた。
ガンバロウ、マダマダデキル。
そして観終わった後、あたたかい気持ちになれる。
アナベルの告別式で、ほほ笑むイーノックが素敵でした。
こんな恋をしたくなる。
それだけじゃなくて人生の尊さを改めて感じさせてくれる。
穏やかに死ねたら素敵だよなあ。
アナベルのファッション参考にしたいな。 -
まず、ヘンリー・ホッパーの顔が美しくて、父デニスの面影を見ただけで泣きそうになった。
3分間の死を体験したことのある登校拒否の少年イーノックと、余命3ヶ月の少女アナベルと、特攻隊員として死んだ日本人幽霊ヒロシが主要な登場人物。
「死」というシリアスなテーマを扱いながらも、観たあとは爽快感が残る。
印象に残ったのは次のシーン。
死体安置所で、音声にいくらかエコーがかかるシーン。
それから、後半、ヒロシ(加瀬亮)が後半、シルクハットと眼鏡姿で登場するシーン。監督はたぶん自覚していると思うのだけれど、その衣装は昭和天皇を模している。これはものすごくアイロニカルなシーンだと思い、日本人の監督が撮るべき「だった」シーンだと思った。
ほかにもいくつも挙げたいシーンはある。つまり、とても面白い映画だった。 -
ミアワコウシュカがめちゃ可愛い。ベリーショートが似合う女優ベスト3に入る。主人公役の男の子はお父さんそっくりだよね。顔見ただけでだれがお父さんかわかった程。
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死ぬのは容易くて、愛を伝えるのはハードだけど、だからこそ伝えなくちゃね。ヒロシが不思議な存在感だった。アナベルの衣装がキュートだったけどアナベル自体が超キュートだもんな。あんなベリーショート似合う顔になりたいわ
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「ミッドナイト・アート・シアター」にて。いわゆる難病系。あまり素直に感動できない自分がいまして、主人公が美男美女だから絵になるけど、このメンヘラカップルぶりはなかなかしんどい。
加瀬亮がすごく流暢な英語をしゃべっているのが一番印象に残ったりするのですが、彼の役柄は、主人公だけがみることができる特攻隊員の幽霊。いろいろすごいです。 -
水鳥や虫が好き設定と寝癖キャラ設定の作り込みに好感。
「17歳のカルテ」ウィノナ級のベリーショート名人でした -
元気な病人…と思ってしまったからか、何か上手く世界に入れない映画だった。だからと言ってつまらないわけではないんだけど。