京都「奇談」ではなく京都「綺談」です。
赤江瀑「光悦殺し」
光悦寺が舞台。
光悦を殺したのはだれか、ではなく、光悦がどうやって現代の人間を殺したのか、という話。
読めば当たり前の話なのですが、赤江さんはやはり雰囲気が良いです。
どうせならもっとドロドロした作品を取り上げて欲しかったですが、京都が舞台という縛りがあるから仕方ないですね。
芥川龍之介「藪の中」
あまりにも有名過ぎて、この作品の舞台が京都であることを忘れていました。
山科が舞台。
改めて読んでみてもやはり面白い。
岸田るり子「決して忘れられない夜」
男も男なら、女も女。あまりに可哀想なのは…。
ホラーというかスプラッタというか。
最後のオチが現実的かどうかはともかく、強烈なインパクトな作品です。
柴田よしき「躑躅幻想」
こういう妖しい作品は、柴田さんでは久しぶりに読みました。
鴨川が舞台。
美しすぎる少年との猫探しがこのような展開になるとは…。
ドキドキさせます。
澁澤龍彦「女体消滅」
平安朝を舞台にした怪異譚。
ちょっと滑稽な…最後は全くタイトル通り。
まぁ、鬼の言うことは間違いないということか。
高木彬光「廃屋」
哲学の道に近い廃屋を舞台にしたある青年の体験談。
『この世にこわい物はない』と豪語するやくざ者すら逃げ出す廃屋で、青年が見たものは…。
本当に怖いものは実は美しいものなのかも。
水上勉「西陣の蝶」
六孫王神社で起きた殺人事件を発端にした父娘の悲劇。
初めて聞く作家さんでしたが「飢餓海峡」を書いた方でした。
これが一番読み応えがあり、最後は切ないですがスッキリもする話。
昔はこういうことはたくさんあったんでしょうね。
森鴎外「高瀬舟」
罪人を乗せて大阪へ回される時に乗るのが高瀬川を行く高瀬舟。
教科書で習った作品をこのような形で読むとまた一味違った感があります。
教師から一つ一つ解説されながらではなく、こうやってじっくり読んだ方が良いです。
新旧、あちこちの様々な京都を巡りながら読む作品もまた一興。
実際に京都にいながら読むとまた面白いかも知れません。
- 感想投稿日 : 2015年10月6日
- 読了日 : 2015年10月6日
- 本棚登録日 : 2015年10月6日
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