巻頭の小熊英二との対談は56ページに渡る超大作。上野さんの辛辣な『1968』批判や私的な質問をするりと交わすも出てくるが、小熊さんの素晴らしい上野千鶴子の思想まとめ手腕は、さすが敏腕編集者だっただけあるなあと思った。
上野さんと小熊さんが鶴見俊輔さんにインタビューする形の「戦争が遺したもの」という本を、私は付箋だらけにしてすり切れるほど読んでいて、そのときから鶴見俊輔さんの発することばの虜だけれど、この特集の中でたった3ページだけ寄稿してる鶴見さんの文章は、上野千鶴子という研究者の的確な位置把握と、敬愛の念が現れている気がした。
他にも辛淑玉さんの一稿は、鋭くて痛快な(そしてこれに嫌悪感を抱く「男性」や「ウヨク」のひとたちを簡単に想像できそうな)コメントにも多いに笑わせてもらった。
まだすべて読み切れていないが、これほど多くの人が上野千鶴子や、彼女の思想や生きた時代について、こんなにも真剣に熱く語れるということが、上野さんが思想界にもたらしたインパクトの大きさを物語っている気がする。思想家として、社会活動家として、教育者として、そして等身大の女としての上野千鶴子に迫る、素敵な特集だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
feminism
- 感想投稿日 : 2011年12月8日
- 読了日 : 2012年9月16日
- 本棚登録日 : 2011年11月21日
みんなの感想をみる