イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003318515

感想・レビュー・書評

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  • 前期コーラン・後期コーランそれぞれから
    アラブ的イスラムとペルシア的イスラムが分流しているのが良く分かった。
    日本にいると同じイスラムでしょと思うが、
    経典は同じで実質の別宗教のような印象を受ける。
    特にスーフィズムなどは。

    スンニ派にとってはイスラム法という聖俗を廃した厳格な規律がよく帝国を支え、
    共同体形成のニーズに対して上手に応えてきたのであろうことを推測できる。
    また、それが当時と異なる現在の国際情勢と摩擦を引き起こす一端となっていることも推測できる。

    またシーア派にとっては現世が神の国でない以上、
    より現世においては極端な思想と行動を促しやすいことも推測できる。

    イスラムへの理解が深まる講演内容だった。

  • 初心者にも読みやすく、わかりやすい。

  • イスラームの考え方に関して目からウロコが落ちました

  • 読む前は岩波文庫でとっつきづらい本かと思っていたら大間違い。私のような素人にもイスラームの基本的な考え方とその広がりを理由をちゃんとつけて丁寧に教えてくれる良書でした。薄くてすぐ読めますので、ムスリムとお付き合いすることがある人は読んでおいて損は無いです。

  • タイトルの通り、イスラーム文化の根底にあるものを解説した本で、イスラームの入門書として非常に良著です。2012年末に34刷まで行っているのも頷けます。

    イスラーム文化とは、著者の言葉を引用すると次のとおりです。
    『第一にシャリーア、宗教法に全面的に依拠するスンニー派の共同体的イスラーム、第二に、イマームによって解釈され、イマームによって体現された形でのハキーカに基くシーア的イスラーム、そして第三に、ハキーカそのものから発出する光の照射のうちに成立するスーフィズム、(略)。
     (略)このような相対立する三つのエネルギーのあいだに醸し出される内的緊張を含んだダイナミックで多層的な文化、それがイスラーム文化なのだ、(略)。』

  • 再読。一般の聴衆相手の講演をまとめたイスラム文化を理解するにおいて最良の入門書。イスラム文化は砂漠の文化として簡単に類型化できるものでなくヘレニズム的異文化の網の目の中で生まれた国際的文化を起源とし、コーランもまた商業専門語の表現に満ちている。神との関係はキリスト的父子関係を否定し主従関係的であるが、そもそもイスラムという言葉自体が「絶対帰依」の意味を持つが為。因果律を認めず、時間に対する非連続的存在感は興味深い。封印された聖典解釈の扉を開くことで、イスラムのルネサンスは果たされるとの指摘は現実となるか。

  • 非常にわかりやすい。スンニ派、シーア派の違い、よくわかりました。

  • イスラム学の泰斗井筒俊彦が石坂記念財団で三回に渡り行ったイスラム文化に関する講演をまとめたもの。イスラムとは、シーア派とスンニ派、スーフィズムetc,恐ろしく深く、そして恐ろしくわかりやすい。

  • 読みやすかった。
    土地の色ってのは、簡単に変わらないものなのかね。
    外からでないと、その色は見えづらいのかもしれない。
    ここ100年で、日本の色は変わったのだろうと思えるけど、どうなのだろう?と余計なことを考えました。

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著者プロフィール

1914年、東京都生まれ。1949年、慶應義塾大学文学部で講義「言語学概論」を開始、他にもギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学などの授業を担当した。『アラビア思想史』『神秘哲学』や『コーラン』の翻訳、英文処女著作Language and Magic などを発表。
 1959年から海外に拠点を移しマギル大学やイラン王立哲学アカデミーで研究に従事、エラノス会議などで精力的に講演活動も行った。この時期は英文で研究書の執筆に専念し、God and Man in the Koran, The Concept of Belief in Islamic Theology, Sufism and Taoism などを刊行。
 1979年、日本に帰国してからは、日本語による著作や論文の執筆に勤しみ、『イスラーム文化』『意識と本質』などの代表作を発表した。93年、死去。『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻1、2013年-2016年)。

「2019年 『スーフィズムと老荘思想 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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