砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書 276)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005002764

感想・レビュー・書評

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  • 高校生に向けて書かれており読みやすい。

  • 名著としてよく、引用、参考文献に出される本。

    世界システムの中に組み込まれた砂糖というモノが世界史を動かすちょっと一例を見たように思う。

    全ての歴史が現代史であるという考えならば、今後の世界の動きはどういったモノで動いていくのだろう。と考える。

    その時、私たちは対応して生きていけるのだろうか。
    考えさせられた。

  • 原産地インドネシアからイスラム世界、十字軍によって欧州へ。黒人奴隷によりサトウキビ規模プラントが中南米で発展。仏お菓子文化、英国ではお茶と出会い消費拡大。ビート開発にかけた植民地を持たない露、独。ダイエットの時代に砂糖に未来はあるのか?岩波ジュニア新書で読む甘くない世界システム論的砂糖物語。

  • みんな大好きな甘いお砂糖。16世紀には貴重で高価だったが、19世紀にはイギリスの貧しい工場労働者まで紅茶に砂糖を入れるようになり、今ではダイエットの敵とすら言われることもある。なぜこうなったのか、こうなるまでにどういう歴史的変遷があったのかを、分かりやすく解説している。
    ヨーロッパ各国による植民地争奪戦、大規模プランテーション、奴隷貿易、産業革命あたりの流れが分かりやすく、砂糖が世界の歴史に与えた明暗二つの側面も考えさせられる。エピローグやあとがきも良い。
    岩波ジュニア新書は初めて読んだけど、大人の入門書としても良さそうだ。他のも読んでみようという気になった。

  • 面白い。昨今改めて問題となっている黒人問題の根幹ともいえる奴隷制度を砂糖の歴史に紐付けた岩波ジュニア新書。子供向けと侮れない、軽やかな描き口とテンポの良さ。さっと読み返して、近代の歴史を振り返れる。高校で世界史をまともに勉強していなかった理系にはちょうど良い。

  • 課題用
    高校の時世界史の先生がおすすめしていたので。
    改めて世界史を学び直したいと思い選びました。

    • myknakaさん
      ロングセラーですね
      ロングセラーですね
      2020/05/31
  • 『歴史を学ぶということは 、年代や事件や人名をたくさん覚え込むことではありません 。いま私たちの生きている世界が 、どのようにしてこんにちのような姿になってきたのかを 、身近なところから考えてみることなのです 。』

    時系列に歴史を見ても面白くない。
    いま私たちの生きている世界がどう作られたかを知ることが、歴史を、社会を学ぶ楽しさだなあ。

  • 「世界商品」である砂糖を巡り、世界がいかに変容していったかを辿る本著。著者がエピローグで、「ここにくるまでにはどのような歴史的変遷があって、いまこうなっているのか。そういうことを研究するのが歴史学なのです」と述べるように、砂糖を切り口に、イスラム教の興り、大航海時代、植民地支配、帝国主義、資本主義社会と、現代社会を俯瞰するために触れておきたい、羅針盤のような世界史的な知識を改めて整理してくれる良書だった。

  • 深いことを易しく伝えてくれる良本。働いてても2~3日で読み終わる。岩波ジュニア、ほんと素晴らしい。
    エピローグとあとがきという僅か数ページに筆者主張のエッセンスが詰まっている。そこでも記載があったけれど、読んで思ったとおり、世界システム論の手法を用いつつ、ミンツの歴史人類学(「歴史上の人々の暮らしの実態をモノや慣習などを通じて詳しく観察しようとする学問」)の観点からアプローチしているようだ。
    大きめの文字と短いページ数のなかで、近代大英帝国史とその競合国・植民地などの歴史が見事なスケールをもって論じられていた(各大陸の歴史にも触れられてはいたが、「世界史」というにはやや範囲が狭い感じはある)。

  • 砂糖とはどのように世界を駆け巡り、どれほどの人の犠牲の上に成り立って大量生産していたか、茶とチョコレートとの相性、国の違いによる喫茶習慣の違い、当時の知識人の中にも奴隷制度に反対する人が少なからずいたことなど平易な文章でわかりやすく読めます。
    砂糖と奴隷制度は密接だったんですね。世界史は調べれば調べるほど西洋(イギリスフランススペインあたり)ヤバいことやってないかとドン引きする。モノみたいに船に人を積んで水も足りず不衛生な環境で、今まで住んでいた土地と気候が違う場所で鞭打って働かせるの鬼畜ってもんじゃない…。
    スペインとポルトガルとローマ教皇で勝手に世界の土地を分割してここからここまで俺のもの!と決めましたとかってスルッと出てくるけど東洋の片隅の現代人にはマジでわからん思考回路すぎる。だから南米はスペイン語やポルトガル語がいまだに根付いてるんですねえ……。怖いよー!
    世界の歴史って紛争一つ取ってもありとあらゆる国の思惑なり愚かな人間賢い人間その中で翻弄される名も無き人たちが複雑に絡んでいて知れば知るほど暗澹たる思いになります。
    歴史を学ぶということは年代や事件や人名を覚えることではないよ、という著者の言葉が色んな人に刺さるといいなと思います。

    ただ、「古来から日本は塩で浄めの儀式をしてきた、それは塩が真っ白だからでは?」という文章にはちょっとウーン?とはなりましたが。私も詳しくないので断言は出来ないんですがなんか違う気がする。

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著者プロフィール

1940年大阪市生まれ。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。大阪大学大学院文学研究科教授、名古屋外国語大学教授、京都産業大学教授、佛教大学教授などを経て、現在、大阪大学名誉教授。著書に『工業化の歴史的前提』(岩波書店)、『洒落者たちのイギリス史』(平凡社)、『民衆の大英帝国』(岩波書店)、『砂糖の世界史』(岩波書店)、『世界の歴史25 アジアと欧米世界』(共著、中央公論新社)、『イギリス近代史講義』(講談社)、訳書にウォーラーステイン著『史的システムとしての資本主義』(岩波書店)、コリー著『イギリス国民の誕生』(監訳、名古屋大学出版会)、イングリッシュ/ケニー著『経済衰退の歴史学』(ミネルヴァ書房)、ポメランツ著『大分岐』(監訳、名古屋大学出版会)他多数。

「2013年 『近代世界システムIV』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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