- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022502728
作品紹介・あらすじ
保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。
感想・レビュー・書評
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「国宝」、「路」が良かったので、他の作品も読んでみたくなった。
が、こちはら半分くらいまで読んで、あまり好きな類だと感じ、途中でやめてしまおうかと思ったくらいだった。それでも続けて読む気になったのは、いつもながらの場面の状況や登場人物たちの心情などの描写が丁寧だったこと、そのためその場面が映像となったからだと思う。この場面では誰が主となり、この人物の立ち位置や感覚的な物も捉えることができたためだ。読後は、やっぱり面白かったかもしれないと、好きな作家のカテゴリーなのかもと考える。
本作も結果としてだが、半分を過ぎたくらいから、何が好きでなかったのかと、思うくらいに集中して読んでいた。
「悪人」とは、いったい誰のことを言っているのだろう…と、読みながら考えてしまう。だから最後4行の言葉と最終章のタイトル「私が出会った悪人」で、ようやく腑に落ちる。
それでも、素直に考えて、本作での「悪人」は、主人公・清水祐一を指しているのだなぁと、法的に考えても「悪人」だし…そう思わせながら、読者自身に「『悪人』とは、誰だと思うか?」と、問いかけているように感じる。祐一を悪人にした人たちが悪なのではないかと、他に「悪人」と呼ぶに相応しい人物がいるのではないか、と考えてしまう。素直過ぎて、優しい、それを表現できる環境がなかった。それ故に祐一が導かれた結果を受け入れるしかなく、光代に対する優しさからさらに悪い結果となることも寂しさ、やるせなさを増幅させているのかもしれない。
物語は、主人公・清水祐一が、出会い系サイトで知り合った保険外交員の石橋佳乃を殺害するはなし。前半は、祐一が殺人にいたった背景、過去の環境の話し。物語後半で馬込光代と出会い、犯した罪の重さを知らしめることになる。
残酷な現実を突きつけられた人間の行動、心情。犯罪を犯してしまったことにより、光代と離れなければならない祐一の現実。愛した人が殺人犯であった光代の現実。娘が殺された石橋夫婦の現実。孫の殺人を突きつけられた房枝の現実…
この犯罪に関係する人たちに突きつけられた現実は、回避することはできない残酷なものである。殺害された石橋佳乃が被害者とは言い難いくらいに、どれほどが酷い人間であったとしても、命の尊さは、その受けるべき罪の重さと同等、それ以上であるということである。
祐一に殺人を告白された光代は、自首しようとする祐一を止め、一緒にいたいと強く願う。初めて心から愛した人と別れなければならない現実を突きつけられて、結局、光代は自分の感情を優先して、祐一と共に逃げる。それにより祐一の罪が重くなることも考えれないほどに。祐一も最後まで、光代のことを思い、自分の立場をさらに悪くする行動をとる。
これは、男性と女性による差(特徴)というよりも、祐一の優しさによる差のように感じた。
「悪人」というタイトルの恋愛小説のような後味であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文章力は凄い!とは思えないのですが、ストーリーに引き込まれました。
読了後は、絶対に映画化されると思ったものでふ。 -
本当の悪人てなんだろうか⁈
増尾や悪徳商法のチンピラ
殺人を犯して逃亡する祐一
この対比によって罪の重さを計るのは難しいとかんじました… -
出会わなけれ良かったのか
好きにならなければよかったのか
出会う順番が間違っていたのか
「悪人」は誰なのか
切ないよりも やるせない
殺さないで欲しかった
ただそれだけ -
読みやすくてラストまであっという間。読み終わった後、悪人とは…じわじわ考えた。読みごたえあり面白かったけど、どうも心がザワザワして落ち着かなかったので評価は低めです。
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日常の暗い描写が凄まじい
満たされた生活をしていないの人間の解像度が高過ぎる
読んでいるだけでメンタルが少しずつ削られる
それだけ描写が上手いということではあるが読んでてしんどい
ただ終盤にかけて絶望の中から希望を見出す人々の姿は素晴らしかった
誰が悪人だったのかというのは考えさせられた
というか悪人が誰かのために悪人になっているケースがあるのか -
じわじわやりきれない感じ
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朝日新聞に2006年に連載された。今から17年前であるが、全く記憶にない。
朝日新聞の佐賀か長崎か福岡を舞台にした小説ということで紹介されていた。場所が不案内なせいかいまいちよくわからない。長崎の坂と中華街が少しわかる程度である。2時間ぐらいで読み終わると考えていたら意外と時間がかかった。