- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023308985
感想・レビュー・書評
-
すごく良かった。
*********
まだ読んでいない本を、その本を読みたいと思ったときの記憶と一緒に並べておくものだ。「この本を読みたい」と思ったその瞬間こそ、この世でいちばん愉しいときではなかろうか。
*********
終わらない本棚。
少し見失いかけていた、本質を見つめ直せた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人の本棚をのぞくことは、なんとひめやかでワクワクするものでしょう。
クラフト・エヴィング商會が手掛ける本棚の本。
凝り過ぎていないながらもセンスの良さに裏打ちされた本棚が、テーマ別に紹介されています。
別にタイトルから連想される、変な本棚というわけではなく、どのテーマに沿ったものも、手を伸ばして読みたくなるようなラインナップ揃い。
「金曜日の夜の本棚」や「波打ち際の本棚」というテーマだけでも、惹きつけられます。
「読んでない本があることが魅力」とする著者によって選ばれた本。
紹介されているのは、テーマを持つ本棚を作り上げるために選ばれた書物たち。
そのため、内容の質については問われていません。外観の存在の雰囲気が何よりも重視されています。
読書好きというよりは、本の装丁を愛でる人向けのように思いますが、多少なりとも非現実感を伴うことで、実際にはあり得ない選書集という不思議な魅力が、かもし出されています。
装丁やデザインで選ばれたものであり、誰もが知っているような有名図書は省かれているよう。
かなり専門的で、私の知らない本が圧倒的に多い中、小さな回文集『軽い機敏な仔猫何匹いるか』を見つけて、見知らぬ人の中に古い友を見つけたような、懐かしい気持ちになりました。
本好きで、自分の本棚を持つ人は誰もが、世界の果てにある<ロンリー・ハーツ読書倶楽部>永久部員だといいます。
世界に一つしかない、オリジナルの本棚を作り上げた喜びと満足感が、静かに満ちているような一冊です。 -
本書に全面的に同感・同意!!
私がモノゴコロついて以来ずぅーっと続けてきているのは、「本を並べる」ことかもしれません、ただそれだけかも。
地震で家の中のいろんなものが散乱して、思い知りました。
心身ともに「タイヘン」なこと・優先せねばならぬことは他に挙げればもっとたくさんありましたが、私が涙した(正確には気づかぬうちに涙が流れていた)のは、実は、崩れた本たちをスニーカーを履いたまま跨がなければならなかった時だけでした。
本が、或る側面「モノにすぎない」ということはわかっているつもりですが、それならば私という人間だって、つまるところ物質にすぎない。
「自分ひとりのことなら何が何でも生き延びたいとは思わないなぁ」と改めて感じたのとまったく同じ意味で、「生きている(生きなければならない)間はきっと本を並べ続けるんだろうな、その時々に許される仕方で…」と思い知ったことではありました。
崩れても、その都度。
すべて無くなっても、また1冊から。
賽の河原かくの如くか、…ならば如何なる業によるものか…??
などと、いろいろ考えました。
大仰な感想になっちゃいましたが、本書は「2011年4月30日 第1刷発行」、そういう意味でも、ここにこのタイミングでこんな私的感想を残しておきたいと思います。
さて。
もう何年も前から、クラフト・エヴィング商會の「二兎」の意匠が大好きなんだ!
こんなふうに並んで本を眺める仲間が欲しいようなものですが、二兎はいずれもわが分身。
本ってそういうものでしょう?
つまり、未知の誰かに遭いに行くとともに、自らの内に分け入って自分自身と仲良く肩を並べて何かを覗き込むような、そういう営みを促す、それが、本。
「終わらない本棚」こそ本質的に本来的な本棚の本当の姿、です。 -
ニマニマしながら読んだ。楽しい!背表紙眺めるのわたし大好きなので、もうそれだけで、この本は垂涎もの。楽しくて仕方なかった。
吉田さん(ご夫婦)が本が好きで好きでたまらないってことが伝わってくる。
吉田さん「罪と罰」を読んでいないのね、宮沢賢治が苦手なのね(わかるわ)。
昔の新書は「月」「火」「雪」(中谷宇吉郎さん!)など、タイトルが「ただひとつだけ」だったのね。
「遠ざかる本棚」では埴谷雄高「死霊」がぼんやりと写真に写っているのがおかしくって。そういうユーモアが随所に散りばめられてる。岸本佐知子さんと三浦しをんさんとで雑誌のような本「グウネル」を作ろうとしているんだとか、今後の出版企画構想についても色々語られていて興味深い。
これ読んでる途中に、古本屋で「ふところ手帖」(子母澤寛)に出会ってしまってびっくり。中公文庫でした。
読もうと思った本→稲垣足穂「一千一秒物語」。坪内祐三「1972」「文学を探せ」、三浦しおん「しをんのしおり」、武田百合子「日々雑記」
「犬は吠える」はカポーティの随筆で、「愛と笑いの夜」はヘンリー・ミラーの作品だったんだ!(前者はオザケン、後者はサニーデイのアルバムタイトル…どちらも「金曜の夜の本棚」にあったのもおもしろい)
うちの本棚には、まだ読んでいない本がたくさんある。それが何より嬉しい。ぼくにとって本棚とは「読み終えた本」を保管しておくものではなく、まだ読んでいない本を、その本を読みたいと思ったときの記憶と一緒に並べておくものだ。「この本を読みたい」と思ったその瞬間こそ、この世でいちばん愉しいときではないだろうか。それをなるべく引きのばし、いつでもそこに「読みたい」が並んでいるのが本棚で、その愉しさは、読まない限りどこまでも終わらない。永遠につづいてゆく。何と素晴らしい本棚。(p.4-5)
この引用文の続きは「引用」コーナーにて。 -
あのクラフト・エヴィング商會が本棚の本なんか作ったら面白いに決まってる。本それ自体へはもちろん、その並べ方にも愛があふれてる。そう、どの本をどの本の隣に置くかで意味が変わってくるのよね!あと、私の子供の本オススメNO.1のほらふきだんしゃく出てきて嬉しくなりました。
-
普段、NDC分類順に配架された本に囲まれて生活しているので、古本屋さんの店主のこだわりが見える配架にとても憧れます。
本を並べることを楽しむ、なんて自由な本の楽しみ方だろう!…と目から鱗が落ちました。
友人宅へ遊びに行くとついつい本棚に目がいってしまうのは、並べてある本そのものも気になるけれど、並べ方がよりその人らしさを醸し出すからなんだ!
終始、ほぅっと溜め息をつきながら読んでおりました。
まるで手が届かない憧れの先輩を遠くから眺めているような…そんな尊敬と切なさが入り混じったような気持ちです。
私の"はじまりの本棚"には、多くの人に愛され続けているあかがね色の本が並びます。
そして『おかしな本棚』も、私の本棚に並ぶ大切な1冊になるのでした。-
はじめまして。フォローしてくださり、ありがとうございます。
「ふしぎなオルガン」もお気に入りに入れてくださって嬉しいです。
本棚のラインナッ...はじめまして。フォローしてくださり、ありがとうございます。
「ふしぎなオルガン」もお気に入りに入れてくださって嬉しいです。
本棚のラインナップがため息が出るほど素敵ですね。
とりわけ「ステキボン」というカテゴリーには眼からウロコが何枚も(笑)
そうか、私もこういうカテゴリーを作れば良かったわ。
吉田篤弘さんは私もファンです。
でもこれは未読なので、こちらでコメントさせていただきますね。
本棚の本ということは、ビジュアル的にも楽しめそうです。
早々に手に入れて読みたいものです。
これからも、面白い作品に出会ったら教えてくださいませ。2013/04/21
-
-
"愛すべきは常に停滞であります"という一文のとおり、本棚には読みたくてもなかなか読み進められない本があったり、読もう!と買ったはいいもののいつまでも読んでいない本があったり、はてこれはなんだっけ?となる本があってもいいのだ、とさらに読書生活がたのしくなる本。終始、吉田篤弘さん節にのらりくらりんとのってゆかいな本。自分の前に果てしなくよい本があるのだ、とみなぎる気持ちになりました。
-
本が好き。並んでいる本を眺めるが好き。だから、この本が好き。ブクログも、表紙だけじゃなく、「本の背中」いや「本の背骨」も並べて見せるようにしたらいいのに。ランダムに並べたり、横にしたり、本って綺麗に並べるだけじゃないよね。
-
一字一句きちんと読むのではなく、本棚に置いておいて、たまにぱらぱらと読むともなく読む本。本はそういう読み方をしてもよいのだと教えてくれる一冊。
-
批評家の目ではなく、本好きの極めて個人的な分類による本のガイドブック、と言うより本棚の分類の仕方、あるいはコレクション。分類自体に個人独特のこだわりがあるので、他の人にはできない分け方が面白い。ジャケ買いして読まない本も多い私にとって、読まなくてもいいのだという話は救われた思い。本を並べて楽しむのは紙の本でしかできない。本の中身はもちろんだが、「本という物」を愛する気持ちに大きな共感を覚えた。