夏美のホタル (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • / ISBN・EAN: 9784041016879

感想・レビュー・書評

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  • 2020年8月29日読了。

    写真家になる事を夢見る大学生の相羽慎吾。
    慎吾の彼女で、幼稚園の教諭として働いている河合夏美。

    卒業制作の写真のテーマを探す目的で、夏美の運転するバイクでタンデムツーリングをしている最中、山奥にぽつんとある小さくて古びた一軒のよろず屋『たけ屋』を見つける。

    そこに暮らすヤスばあちゃんと地蔵さん親子は、見ず知らずの二人をとても温かく迎え入れてくれ、
    「来月になったらすぐそこの川に蛍がいっぱい飛ぶからまた来ればいいよ」
    と提案してくれた。
    蛍や村の自然や人々の温かさを卒業制作のテーマにしようと決めた慎吾は、夏休みの間『たけ屋』の離れを借りて夏美と暮らすことになった。
    そこで過ごす二人と、村の人々とのふれあいをほのぼのと描いたストーリー。


    そろそろ夏が終わりを迎えそうなので、終わる前に夏らしい本をもう一冊と思い手に取る。
    自分がバイク乗りということもあり、以前バイクが出てくる映画を片っ端から探していた時に、女優の有村架純がバイクに乗っている作品として映画を先に鑑賞済み。
    当時は単純にバイクが見たいだけで内容はイマイチ覚えていなかったので、今回原作をちゃんと読めて満足。

    登場する人物がどの人も良い人ばかりで、嫌な奴が存在しない。
    仏師の雲月という一見強面でぶっきらぼうな人物は、始めこそ口の悪い嫌なキャラかと思いきや、付き合い方が不器用なだけで次第に慎吾と心が通じ合っていく様子を読んでいて
    、一番粋でカッコイイ人だった。
    飼っている黒猫の夜叉にちゃんと煮干しを買っていく所も素敵だ。

    著者の空の色の表し方が他ではあまり見ない表現方法で目に付いた。
    『空が見事なパイナップル色に染まる』
    『グレープフルーツの果肉みたいな中途半端な色をした空』
    『夕日でみかん色に染まる』
    『檸檬色の夕空』
    果物表現多めで珍しくて面白い感性。

    そして、映画で登場するバイクはヤマハのSR400だが
    原作ではホンダのCBX400F
    これはバイク好きには大きな違い。
    単気筒のSR400と4気筒のCBX400Fではまったく雰囲気が変わってくる笑
    ほのぼのした作品の中に
    『フォォォォーン、フォンフォン、フォォォーン!』
    って、めっちゃ速そうな4気筒サウンド笑
    単気筒乗りとして、この作品には映画版のSR400のトコトコした感じの方が雰囲気的には合ってるような気がしてしまった。

  • 一期一会を大切にしたいな。って素直に思えました。
    夏の描写は本当にステキで、そんな夏休みを過ごせたら楽しく充実し一生の思い出になるだろうな。と思いました。

    映画にしたら素敵だな。って思ってたら映画化されているんですね。これからみます!
    追伸:映画は原作を無視した内容でがっかりだった。。

  • とても優しく懐かしい香りのする物語でした。
    自然の中で、優しい笑顔を見ながら
    優しい言葉を交わし、素敵な写真を撮る
    慎吾の写真を見てみたいなぁ。と心から思いました。
    地蔵さんやおばあちゃん、雲月さんなど
    登場人物もあたたかい人ばかり。
    幸せとは、些細なことでも喜びを感じ、毎日を大事に生きていくことだと心から思いました。

  • いつもは出勤前に喫茶店で読書していたが、
    この本に関しては
    地蔵さんが亡くなったページから
    涙が止まらなくて、
    喫茶店で読むのをやめた。
    「人生はひたすら出会いと別れの連続」
    出会った人を大事に!
    これから私も
    ママと愛猫にありがとうを言おう。

  • 人との出逢いを大切に、人との関わりを丁寧に。
    そんな風に思わせてくれる一冊。

    途中何度も胸が詰まって、文字が滲んで。。。

    心が温かくなる、優しいお話です。

  • CBX400Fはプレミアバイクだけど、夏美はその価値がわかってるのだろうか。脱線した、身近にこんなに思いやりある人達がいるだろうか。。
    人は生まれて死んでいく。そのどちらにも立ち会う【生まれる方は存在だけ】お話。。

  • 映画化できそうと思ったら、映画化されていた。
    ありがとう、たった5文字のラブレター。
    神は細部に宿る。等々
    心に残る言葉が多かった。

  • すっごくあたたかい話。
    夏にゆっくり、ゆーっくり読んで欲しい本。

    本の残りが薄くなってきて終わりが近いことがわかると、終わってしまうのが寂しくこの優しい世界から出て行きたくない気持ちになった。何度もポロポロした。

    森沢さんの本は速読するのではなく、その世界観をゆっくり味わいながら読む本という感じがする。

    夏美には敵わない、と何度も出てきて、こういうのっていいなと思った。唯一無二、特別な感じ。

    風鈴が欲しくなった。

    慎吾、夏美、地蔵さん、ヤスばあちゃん、雲月、拓也とひとみ。みんな温かくて優しくて好き。ゆっくり浸りたい気分。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      nさん、こんばんは!
      「いいね」の炸裂 & フォローありがとうございます♪
       私、めんどくさい名前付けてしまいましたが、最近、
      略して「本と...
      nさん、こんばんは!
      「いいね」の炸裂 & フォローありがとうございます♪
       私、めんどくさい名前付けてしまいましたが、最近、
      略して「本とコ」で通してます。
      今後もよろしくお願いします(^^)
      2023/07/28
    • nさん
      本とコさんこんばんは♩

      こちらこそいいねの炸裂ありがとうございますo(^o^)o
      ブクログで初めて人とお話ししててワクワクしています!笑
      ...
      本とコさんこんばんは♩

      こちらこそいいねの炸裂ありがとうございますo(^o^)o
      ブクログで初めて人とお話ししててワクワクしています!笑

      感想読んでてすごく面白くて「コーヒー」「吉田篤弘さんの本」「鯨月刊」など全部わたしの旬で、いろいろ堪らなかったです(°▽°)
      どうぞよろしくお願いします♩
      2023/07/28
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      あはは、本の面白さを共有できてよかったです。
      こちらこそよろしくお願いします。
      あはは、本の面白さを共有できてよかったです。
      こちらこそよろしくお願いします。
      2023/07/28
  • 「他人と比べると自分に足りないものが目に入り、自分が満ち足りていることを忘れてしまう」
    「幸せは本当に単純なこと」

    この言葉はすごく心に刺さりました。

    雲月は不器用だけどとても仁義があり、最後まで読んでもう一度最初のページを読み見返してこの菩薩は恵三さんなんだとホッコリ感動しました。

  • 写真家志望の大学生慎吾が、夏美の真っ赤なホンダのCBX400Fと出かけた先のよろず屋たけ屋で温かく迎え入れられた。そこで暮らすヤスばあちゃんに料理、息子の地蔵さんに蛍狩り魚釣りなどの川遊びを教えてもらいひと夏を過ごすのだが、どれもキラキラ輝いていて自然と顔が綻んだ。「他人と比べちゃうと自分に足りないものばかりに目がいっちゃって、満ち足りているもののことをわすれちゃう。」地蔵さんの過去を知って涙腺崩壊してしまった。蒲公英、風鈴があるお地蔵さんの祠が目に浮かぶ。彫刻家雲月もいい。生まれてきてくれてありがとう。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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