夏美のホタル (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041016879

感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品らしく「ほっこりしている」「いい人」ばかりが登場。
    山里でひっそり暮らすヤスばあちゃんと地蔵さんの母子。ひと癖ある仏師の雲月。母子の離れに暮らすことになり、大自然の中で、気のいい村人たちに囲まれて成長してゆく大学生の慎吾と幼稚園給油の夏美。
    慎吾と夏美の物語とともに、ヤスばあちゃんと地蔵さんの哀しい過去も明らかになってゆく。
    地蔵さんの本名=恵三に込められた意味。
    三つの恩恵ーこの世に生まれてくる喜び、親に愛される喜び、伴侶と一緒に子供の幸せな姿を見る喜び
    親子の絆がテーマであり、親しい人への感謝が込められており、読後には心が温かくなる。
    彼らの語る言葉のひとつひとつが胸に落ちる。
    「人間ってのは、何かと何かを比べたときに、いつも錯覚を起こすんだって。だから、自分と他人をあまり比べないほうがいいって」
    「そもそも、完璧な正解など無いのかもしれない。人はきっと、その人生におけるすべての分岐点において、少しでも良さそうな選択肢を選び続けていくしかないのだ。そして、それだけが、唯一の誠実な生き方なのではないだろうか」


  • 読み終わってすぐ、プロローグの雲月さんの話を読み返しました。
    全て読み終わった後にもう一度読むと
    雲月と恵三の関係性がよく分かるし、
    雲月の人柄が滲み出るようにわかる。

    夏美と慎吾が過ごした中身がぎゅっとつまった
    短い夏休みのシーンは、ずっと読んでいたくなって小さい頃に感じた
    「夏休みが終わらないでほしい」
    そんな感覚になりました。

    名前は親からの形見…今までそんな風に
    考えたことがなくて、自分の名前を大切にしたいと思いました。

  • ーひと夏のきらめきはいつまでも

    彼女の夏美と、卒業制作の写真を撮るために出かけた山里でたまたま寄った「たけ屋」で、慎吾はタケばあちゃんと地蔵さんに出会う。夏休みの間だけ「たけ屋」で卒業制作のために過ごさせてもらうことになった慎吾と夏美は、夏の一瞬を切り取る日々を過ごす。

    ものすごくいいお話でした、、、。
    おばあちゃんっ子だったからか、おじいちゃんおばあちゃんが出てくる本に弱いです、、、笑
    山里の夏の風景や、川での釣り、蛍の舞う夜、子どもたちとする花火、全てが読んでいるわたしにも見えてきます。

    こういう、心に染みる本に出会えると、本当に自分の人生が素敵なものに思えてくるから、読書はやめられないなぁと思います。

  • 相変わらずこの作者の本は随所に琴線に響く言葉が散りばめられてるんだけど、自分の歪んだ性格からか、泣かしにきてるな。と思ってしまうと急に覚めてしまうところがあって。
    もう少しドラマがあるのかと思ったら結構あっさりと言うか現実的と言うか、もう少し膨らんで欲しかったかな。
    それだけ期待していたということは物語に没入していたんだろうし、ほっこりはしました。

  • 「現実と小説なんて、鯵の開きの上と下みたいなものでしょ。頭と背骨がついているかいないかの違いだけで、きっと味はほとんど同じなんだよ」

    「才能ってのはな、覚悟のことだ」

    森沢さんの言葉は優しくって沁みる

  • 優しさと思いやりがあふれ出している本。
    人は、心のこもった言葉や思い出、誠実さが自分も周囲の人の心も満たしている。
    そんなふうに毎日を積み重ねて生きていけたら素敵だなと思った。

  • 【もうやばいくらい泣けます。覚悟してお読みください。】

    写真家志望の大学生・慎吾。卒業制作間近、彼女と出かけた山里で、古びたよろず屋を見付ける。そこでひっそりと暮らす母子に温かく迎え入れられ、夏休みの間、彼らと共に過ごすことに……。心の故郷の物語。


    どこか懐かしい田舎が舞台で夏にぴったりの作品だ。
    都会に住む学生がひと夏を田舎で過ごす描写がとてもいい。田舎に行って川遊びがしたくなる。

    登場人物にいい人しか出て来ず、大人も子供も安心して読めるのもいい。

    優しさは伝染するんだなと改めて思う。
    読了後はきっと心があたたかくなる1冊だ。


    こんなひとにおすすめ .ᐟ.ᐟ
    ・優しい物語が好きなひと
    ・田舎の暮らしが舞台な話が好きなひと
    ・感動する話が好きなひと
    ・あたたかくなる話が好きなひと

  • はぁ……良かった。最高の読後感。
    今までに読んだ森沢作品の中でも特別好きな作品になりました。
    読みながらずっと温かい気持ちに満たされて、童心に戻って楽しみました。

    ヤスばあちゃんと地蔵さんとの出会い。なんて素敵な出会いなんだろう。
    お二人も素敵だけど、慎吾と夏美だからこんなにキラキラした日々を過ごしたり素敵な関係を築けたんだろうなって思う。
    私も一緒に夏休みを大自然の中で過ごした気分でした。
    美しい自然、人の優しさ、ゆったりと流れる時間。いつも優しい地蔵さんの話し方も耳に心地よくてホッとする。

    子どもの頃、野生児だった私。川で遊んだり、木に上ったり、田んぼや用水路の小動物を観察したり…。そんな自然豊かな田舎のアレコレを思い出して懐かしくなった。
    爽やかで、温かくて、多幸感を味わえる作品。
    読後は静かな感動で胸がいっぱい。

    本作はフィクションだけど、森沢さんの実体験をもとに描かれたそうです。著者のあとがきも良かった。

  • 死んだばあちゃんに会いたくなってしまった。

    夏美と慎吾、ヤスばあちゃんと地蔵さん。
    ひょんな出会いから始まるひと夏の交流は、季節を越えてもずっと続く命と親子の情の温かさを教えてくれました。優しい、優しい“ありがとう”に包まれた一冊。。

  • 物語と共にその時に在る感動や人のあたたかさを感じながら読了。伏線や結末など余計な事にとらわれず、情のある物語だった。後半の涙誘う波がすごい。涙流して、ひっこんだと思ったらまた来る。
    一期一会、大事なことをちゃんと大事にできる人たちだなと思います。私もそうありたいですね。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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