ぼぎわんが、来る

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.82
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本棚登録 : 915
感想 : 182
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041035566

感想・レビュー・書評

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  • ぽぎわん、というおばけの話。第一章では、新婚のイクメンが襲われる話。第二章は、その妻と子供が襲われる話。第三章は、除霊師の比嘉琴子がやっつける話。

    ぽぎわんについては、こわいぞこわいぞと脅かしつつも、ちょっと手を緩めて、あれ大丈夫じゃないか、と思せておいて、、、、ギャーという、まあ表現は稚拙ですが、ホラー映画だったり、ホラー系のゲームだったりの王道を行っています。

    個人的には、新婚のイクメンのホントの姿が暴かれる第二章が好き。やっぱり世界で一番怖いのは人である。

    ただ、この物語で一番強烈なインパクトがあるのは、比嘉琴子です。最強です。警察本部や政府にもコネがあります。全国の除霊師のボス的存在です。シリーズものらしいので、読んでみようかな。

  • 民俗学的怪奇譚のそれっぽさ、オカルト業界人たちのケレン味が堪らない。
    反面、子育てを巡る夫婦のすれ違いの描写は痛々しいほどにリアル。

    リングシリーズに匹敵するような新時代のエンターテイメントとなるのか、今後が楽しみ。

  • 図書館にて。
    以前から読みたいと思っていたが、思いがけず本棚にあり最新刊(もなぜかあった)と迷って借りてみた。
    ぼぎわんと呼ばれる化け物が予想より強くて頭が良く、楽しめた。
    映画化された後だったので(まだ見ていないが)、知っていた主要キャストを当てはめて読めたのも楽しかった。
    お姉さんが松たか子というのは適任、田原秀樹が妻夫木聡というのはちょっと線が細い気がした。
    ラスト近く、普通の人である野崎が活躍するのは爽快。力を持つ人ばかりが人を救うわけではない展開はリアル。
    ぼぎわんが生まれた理由について今現在も似たような事件が起きていることが本当に悲しい。
    真琴にそこを指摘されていて本人も気づいていたのに改善できなかった秀樹を、最後の方で香奈が命がけで守ってくれたと言っているのは違和感。
    男性の不器用さ、と言ってしまうにはあまりに稚拙だし、秀樹が死んだ直後は冷静に振り返ることが出来ているのに時間が経つと良いことだけが残るのか。
    きれいなラストはいらないから、娘をひどいことに巻き込んだ夫に対しての妻、母の気持ちをもっとちゃんと描くべきだったかと。
    ひどいこともされたけど、やっぱりあの人はいい父親でしたってのはさー。典型だよね。ここまできたら強く変わった母親像が見たかった。
    そんなんだから結局我慢しちゃうタイプの妻、それじゃまたぼぎわんきちゃうよという、娘の寝言よりホラーのラストねらいだとしたらすごいけど。ものすごく怖い。

  • 幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。正体不明の噛み傷を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのだろうか? 愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん"の魔の手から、逃れることはできるのか……。怪談・都市伝説・民俗学――さまざまな要素を孕んだ空前絶後のノンストップ・ホラー!!

    すごく面白かった。王道的なまさにホラー!な作品。
    最初「ぼぎわん」っていう微妙に間抜けな響きで、何だこれと思いつつ読み始めたけど、テンポよく不穏な展開が続いて読み出したら止まらなくなった。
    第一章を読み終わったところで、彼が主人公ではなかった事実に驚かされた。冒頭の展開がずいぶん早く来たからおかしいとは思ったけど、まさか普通に殺されちゃうとは。
    全三章で毎度語り手が変わっていく手法が面白い。語り手が変わることでキャラクターの別の側面が浮かび上がって印象がすごく変わる。とくに最初の主人公・田原は女性目線だと本当に厄介な夫だったんだなと…。本人の語りの時にも違和感感じる部分あったけど、想定以上に厄介だった。
    二章の妻・香奈さんも最後まさかの展開で本当にびっくり。知紗ちゃんそんな…。
    そして決着の三章。今まで脇役だとしか思ってなかったのに、まさか野崎さんが語り部にとは。比嘉姉妹がメインだったんだなこれ。最後のバトルは大変だったけど、何とかぼぎわん倒して知紗も取り戻したし、香奈さんも正気に戻ったりでハッピーエンド…とみせかけて不穏を残す、このあたりがまたホラーの定石で好き。
    ぼぎわんという怪物が本当によく練られていて、すごく読み応えありました。

  • 何が来るのぉおおお?と思わずにはいられないタイトルの秀逸さ。
    いや、あんなふうに来られたら怖いわ!!泣くわ!!

    とはいえ、何より予想をことごとく覆すキャラ設定、展開がいい。
    ホラー要素そのものより、人間のほうが断然怖い。

  • 2017.8.16

    もう、田原少年が幼い頃、玄関にやってきたぼぎわんがのっけから怖かった。そこから一気に引き込まれ、2部までは夢中で読みました。
    三津田信三氏が得意とする、とある地方に伝わる妖怪や化物の類の話が好きなので、唐草氏とのシーンもわくわくしましたが、3部の戦いシーンで失速した感が。
    1部→ぼぎわんがただひたすら怖い。
    2部→旦那死ね。くそむかつく。知紗どうなっちゃうのハラハラ。
    3部→ひたすら恋人の姉と化物との戦い
    という感じで、霊能力で解決するのではなく謎解きの果てに退治、という流れを期待していたので3部から急に怖くなくなってしまったのが少し残念でした。

  • 引き込まれるストーリーで一気読み。第2章までが秀逸。お姉ちゃんが活躍する最後はちょっと毛色が違ったかな。新幹線のトイレのところは本当怖かった。

  • 第22回日本ホラー小説大賞受賞作。
    モダンホラー?ジャパネスクホラー?・・・こういうのが大好きです。
    (実話怪談系は、私ダメなんです。)
    ホラー小説にリアルは求めてないので
    (っていうかリアルなホラーは嫌。)
    ちょっと突っ込みどころがあっても、全然オッケー(笑。
    そういうのが気にならないくらい、この作品はお気に入りです。

    恒川光太郎とかが好きな方にはタマラナいと思います。
    次回作が楽しみです。

  •  読み終わった後も後を引く怖さ。1章の冒頭で書かれる「まじない」が、章の終わりで罠だったことが分かる瞬間が一番怖かった。ゾクリとするとともに、あの冒頭がこんな風に繋がってくるのか!と感動さえ覚えた。

     しかも、そんな盛り上がりを見せながら、物語はまだまだ中盤。語り手を変えての3部構成で、1章で感じていた違和感の正体が少しずつ分かるようになっている。
     
     民俗学の要素も含まれていて、怪異の正体に至る過程はミステリ的でもある。ホラーとして突飛な表現などはないけど、もう一つのテーマとして自称「イクメン」の独りよがりな父親が描かれているのが、現代的だなあと感じた。程度の差はあれど、こういう人、たくさんいそう。
     「ぼぎわん」を呼び寄せてしまった原因が特殊なものではなくて、自分にもありえるかもしれないというリアリティが、この小説の怖いところの一つ。読み終わった後、玄関の方が気になって鍵を確かめてしまった。

  • 大絶賛!しかし初項から怖い…
    けど面白い…
    けど怖い…
    けど先を読まずにいられない…
    そしてあらゆる伏線やなぞもスッキリ、
    はっきりとまとまり、
    だからこそまた怖い…
    そして大満足の一冊!

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著者プロフィール

1979年、大阪府生まれ。東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂を敬愛する。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞<大賞>を受賞しデビュー。2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で、第72回日本推理作家協会賞【短編部門】受賞。他の著作に『ずうのめ人形』『などらきの首』『ひとんち』『予言の島』などがある。巧妙な語り口と物語構成が高く評価されており、新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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