ぼぎわんが、来る

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.82
  • (89)
  • (176)
  • (117)
  • (18)
  • (3)
本棚登録 : 915
感想 : 182
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041035566

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第22回(2015年)の日本ホラー小説大賞受賞作。

    視点がかわる三部構成で、一部は本の紹介文にも出てくる秀樹の視点。二部は秀樹の妻・香奈、三部はオカルト系ルポライター野崎の視点とうつっていく。

    一部はTHE怪異!THEオカルト!という感じで、ぼぎわんの得体の知れなさ、怖さがたっぷり。秀樹が子どものころに遭遇したぼぎわん(らしき何か)のこと、ぼぎわんから(と思しき)の電話を取り次いだ部下の身に起きた怪異、ぼぎわんをなんとかしようとした霊能者を襲う怪異…と、とにかくオンパレード。

    変わって二部は、香奈から見た秀樹という”夫”。一部で秀樹視点で語られてた「イクメン」「妻への理解が深い夫」「仕事と家庭の両立に奮闘する姿」の実像は…っていう。秀樹については一部の時点で正直違和感はあったんだけど、こういう男の人って実在してそうで、一部がオカルト板なら、二部は発言小町…。
    もちろんぼぎわんも健在(というのもどうかと思うんだけど…)で、今度は娘の千沙が狙われる。

    三部は…一部から登場していた野崎の視点で、解決編(ラストバトル編)
    雑に説明すると、霊能者姉妹の妹(真琴・野崎の恋人)が二部の終わりにやられてしまったので、ついに真打の姉(琴子・俗にいうチートキャラ)が満を持して登場。ぼぎわんと対決って感じ…。

    たぶん琴子のキャラクターのせいもあって、ええと…オカルト板・発言小町からのラノベ展開?というイメージは否めない(※あくまで個人の感想です)
    ただ、ぼぎわんとは何か、ということについても一応の説明がついてるし、きっちりオチをつけようと思ったらそっちに切るしかないような気もするので、個人的にはありだった。

    この手の作品って、結論丸投げ(伏線未回収&怪異の正体はみなさんの解釈にお任せ!)とか、とにかく「後味悪ければいいよね!怖いよね!」みたいなのとかが多い(私が偶然あたっちゃてるだけかもしれません)中で、きちんと着地させてくれる作品だったし、夜中に一気に読んでしまうくらいに読みやすかった。

    比嘉姉妹でシリーズ化されてるようなので、次作も読んでみる予定。

  • 怖かった…!一回食事の為中断してたけどその間も怖かった…

    ミステリ、ホラー、人間の闇、色々な要素が合わさっていて読み応えありました。
    活字なのにここまでぞくぞくさせるとか恐ろしい…!

  • もう、さいこうに面白かった!
    わたしは怖がりのホラー好きなんだけど1章は特に怖かった。面白いけど怖くてたまらなくて数日かけて読んだ。
    1章・2章・3章それぞれ個性があって、どれも深く読ませられた。2章は人間のこわさ、3章は派手で読み応えある。全編を通じての構成も巧みで、伏線回収でぞっとさせられたり、気付いたとき戻って読み直して考察してみたり、登場人物が調べてすこしずつ何かわかっていく、でもわからないモヤモヤーって流れも読んでて楽しかった。ラストも好き。
    澤村那智さんの著書初めて読んだけど、姉妹がシリーズ化してるようなので(いましった)ぜひ読みたい。

  • 普段ホラー映画など観ないのですが
    夫がみるだろうと録画していた「来る」を観てしまい
    その映像のカッコよさに惹きこまれ 二度観しました

    登場人物の細かな設定をもっと知りたくて本を借りる

    なるほど~と納得する場面も多く
    とても楽しんで読み進めることができ

    そしてまた 映像を観たくなってしまいました

  • 映画を観たので、未消化の部分が気になり読んだ。
    映画では近寄らなかった田原の実家に立ち寄り、ぼぎわんとは何か、について調べているのが良かった。
    文書は惹きつけるものがあり、一気に読ませる。
    比嘉姉妹の続編と、「二階の王」が読みたくなった。

  • 読み始めたのが夜だったということもあって第一章訪問者はちょっとドキドキしました。ぼきわんが来ても返事しちゃいけないって、あんなの普通絶対応対してますよ。部屋のドアの向こう側が気になって気になって。第二章からは昼間に読んだせいなのか、恐いというより人間の嫌な側面に嫌悪感。結局は人間が作りだし呼び出したものなんですよね。あれは。名前、本名を名乗るのは恐いなと思いました。装幀や装画がきれいだなと思いました。読みやすかったので、このシリーズ、気になります。

  • 怖かった。

  • ホラー大賞受賞作。
    本書より先に『キリカ』を読んでしまい、急いで手に入れてきたぼぎわん。
    ぼぎわんも怖いがエセイクメンが一番怖い。
    頭からガブリ…のシーンは、ぼぎわん、やるじゃん!
    と喝采を送りたくなった。
    霊媒師一家も非常に気になる。
    しかし上手いなぁ。受賞も納得です。
    これはすぐに『ずうめの人形』も手に入れてこなければ。

    2作目にしてお気に入りの作家さんとなりました。
    私の中のホラー作家ランキングが覆った。

  • ぼぎわんにじわじわと追い詰められている描写がよかったです。一撃で仕留めに来ないで何度も襲撃を繰り返しては帰っていく、その姿が不気味で好みでした。また、全体が三部に分けられており、それぞれ語り手が異なるので飽きることなく、むしろ先が気になってしまい、一気に読み進めることができました。
    最後の、直接対決の描写は個人的にはあまり好きではありませんでした。たぶん、得体のしれないものが陰からジッと覗いてくる、イメージだったぼぎわんが、正体の判明した超人的な力をもった化け物になってしまった(作中ではぼぎわんに関して調査が進められるので、一概に悪いとは言いませんが)からかもしれません。悪く言ってしまうと、底が知れてしまったような、なんとなく、魅力が薄れてしまったような印象でした。

  • 第22回 日本ホラー大賞 受賞作
    三部構成。
    一部、二部が秀逸。
    登場人物の視点が変わって行く構成が良かった。
    一部〜二部での、得体の知れない化け物の怖さだけでない「人間の怖さ」が心にくる。

    ホラーの語り方のお手本のよう。

全182件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1979年、大阪府生まれ。東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂を敬愛する。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞<大賞>を受賞しデビュー。2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で、第72回日本推理作家協会賞【短編部門】受賞。他の著作に『ずうのめ人形』『などらきの首』『ひとんち』『予言の島』などがある。巧妙な語り口と物語構成が高く評価されており、新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

澤村伊智の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×